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社会保険に必要な手続きとは?わかりやすく解説!

HUPRO 編集部
社会保険に必要な手続きとは?わかりやすく解説!

社会保険は、厚生年金・健康保険(40歳以上は介護保険も)のことを差し、条件を満たすと強制的に加入適用となります。本記事では、それぞれの手続きの書類や手順についてまとめました。業務の際のチェックにぜひ参考にしてみてくださいね。

会社設立時の社会保険手続き

社会保険の手続は複雑なうえに期限もひっ迫していますので、遅れないように気を付けて行うようにしましょう。
以下の条件にあてはまるに当てはまる事業所は社会保険の強制適用となりますので、加入は必須です。

株式会社などの法人の事業所(事業主のみの場合を含む) 常時、従業員を使用する国、地方公共団体又は法人の事業所
常時5人以上の従業員を使用する事業所(個人事業主含む) 飲食店、接客業、理・美容業、旅館業等 サービス業、法律・会計事務所等は除く(※)

具体的には、a製造業 b土木建築業 c鉱業 d電気ガス事業e運送業 f清掃業 g物品販売業 h金融保険業 保管賃貸業 j媒介周旋業 k集金案内広告業 l教育研究調査業 m医療保健業 n通信報道業など

※2020年3月現在。この基準については現在見直し協議中のため、今後変更される可能性があります

新規適用の場合は「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を郵送で事務センター(事業所の所在地を管轄する年金事務所)に送付するか、窓口に持参します。

書類取得先:健康保険・厚生年金保険 新規適用届

社会保険の被保険者になる対象

社会保険とは健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険(労働災害補償保険)の総称です。
会社を設立した場合、法律によって社会保険に加入することが義務づけられています。社長一人しかいない会社であっとしても、一定以上の報酬(給与)があれば加入しなければなりません。
もし、未加入が発覚した場合は、過去さかのぼって保険料を徴収される可能性もあります。
また、加入資格を満たす従業員が入社・退社した場合もそれぞれ手続きが必要です。

事業所が適用であっても、社会保険の被保険者となる人とそうでない人がいます。被保険者の要件を満たすのは以下に該当する人です。

正社員、法人の代表者、役員 全て対象
パート・アルバイト ♦1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事している一般社員の4分の3以上である方

♦一般社員の所定労働時間および所定労働日数の4分の3未満であっても、以下の5つの要件を全て満たす方
(a)週の所定労働時間が20時間以上
(b)勤務期間が1年以上見込まれること
(c)月額賃金が8.8万円以上
(d)学生以外
(e)従業員501人以上の企業に勤務
派遣社員 派遣元の社会保険に加入するため対象外

出典:日本年金機構:適用事業所と被保険者

被保険者・被扶養者の社会保険手続き

社会保険の手続は、事実発生から5日以内と期限がひっ迫していますので、遅れないように気を付けて行うようにしましょう。
郵送で事務センター(事業所の所在地を管轄する年金事務所)に送るか、電子申請もしくは窓口持参も可能です。

書類取得先
被保険者資格取得届
健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者不該当届
被扶養者(異動)届

詳しい手続きについてはこちら:日本年金機構 従業員が家族を被扶養者にするときの手続き

具体例で見てみよう!社会保険手続き

新しく従業員を雇用した場合の社会保険の手続き

新しく従業員を採用した時は、それぞれ以下の手続が必要です。

・雇用保険は、翌月の10日までに管轄の公共職業安定所(ハローワーク)へ「雇用保険被保険者資格取得届」を提出

・健康保険・厚生年金は採用日から5日以内に、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を日本年金機構(事業所の所在地を管轄する年金事務所、または都道府県ごとの事務センター)へ提出

なお、健康保険の手続き先ですが、協会けんぽの場合は上述の通り日本年金機構ですが、健康保険組合に加入している事業所の場合は、日本年金機構ではなく健康保険組合となります。

パートタイマーやアルバイトなど、短時間の従業員が被保険者となるときは、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届(短時間労働者用)」
被保険者に被扶養者の追加・削除があったときは、「健康保険被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)」となります。

社会保険と一口に言っても、内容によって提出先が異なりますので注意が必要です。

雇用した従業員から提出してもらう書類

社会保険の各種手続きには、従業員からの書類提出が必要です。社会保険の手続を期日内に終えるためには、以下の書類を入社手続き時に速やかに受領してください。

(1)雇用保険被保険者証
従業員が前職で発行された「雇用保険被保険者証」が必要です。被保険者番号はそのまま引き継がれます。

(2)年金手帳
入社の際、従業員から提出してもらいましょう。「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」提出の際には、被保険者番号が必要となります。年金手帳はコピーを取って、原本は本人へ返却します。

(3)給与所得者の扶養控除等の(異動)申告
給与の源泉所得税を求めるときに必要になります。

(4)健康保険被扶養者(異動)届
扶養する家族がいる場合は提出してもらいましょう。

従業員が退職の場合の社会保険手続き

次に、従業員が退職時の社会保険手続きについてみていきましょう。

雇用保険については、「雇用保険被保険者喪失届」「雇用保険被保険者離職証明書」を従業員が離職した日から10日以内にハローワークへ提出します。労災保険については、雇用保険の手続と同時に処理されるため、特にすべきことはありません。

健康保険及び厚生年金、介護保険については、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」という書類を、従業員が退職した日から6日以内に管轄の日本年金機構(事業所の所在地を管轄する年金事務所、または都道府県ごとの事務センター)へ提出しなければなりません。書類の郵送以外にもインターネットによる申告もできます。
なお、健康保険が協会けんぽではなく、健康保険組合の場合は健康保険組合での手続となります。

退職時に従業員から社会保険のために提出してもらう書類は特段ありませんが、保険証を回収しておきましょう。
社員は会社に在籍していることで健康保険に加入できているので、会社の退職と共に保険証は無効になります。協会けんぽの場合は、必ず保険証を日本年金機構に返却する必要があり、もし紛失した場合は、紛失届を提出しなくてはなりません。

退職した従業員に返却する書類

社会保険の各種手続きにおいて、従業員から預かっている書類がある場合は、退社手続き時に速やかに受領してください。

(1)離職票

退職者がハローワークにて失業給付を受ける際に必要な書類です。失業給付はあくまで次の職を探すまでとなっているので、今後の就業意思を確認して発行しましょう。

(2)雇用保険被保険者証
もし会社で預かっていたら返却しましょう。

(3)年金手帳
もし会社で預かっていたら返却しましょう。退職者が国民年金に変更するときに必要です。

(4)源泉徴収票
退職者が当年分の所得について確定申告をしたり、年内に次の職場に就職した際に先方での手続に必要です。

社会保険の手続は、その内容によって提出期限も提出先も異なりますが、いずれも従業員にとってとても大事なものばかりです。処理をもらさないように普段から管理をしっかりと行っておきましょう。

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当コラム内では、社会保険と共に加入が必要な労働保険(雇用保険・労災保険)についての記事を他にも公開しています。併せてぜひご一読ください。

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この記事を書いたライター

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