「パート・アルバイトも雇用保険加入対象になった」ということを知ってはいつつも、詳しい内容についてまではわからない方も多いのではないでしょうか。本記事では、パートタイマー、アルバイトの雇用保険の加入条件について解説します。
雇用保険の加入要件は、次の要件をともに満たせば、「パート」や「アルバイト」という名称、事業主や労働者の希望の有無にかかわらず、被保険者として加入義務があります。
この条件はどちらかではなく、両方が満たされることが必要です。 雇用見込みが 31 日以上あったとしても、1週間の所定労働時間が 20 時間未満(1日5時間の勤務を週に3回など)であれば被保険者とはなりません。
「所定労働時間」とは、残業時間や休憩時間を含まない、「1日8時間(休憩含む)、週40時間」という「法定労働時間」以内の勤務時間のことです。
雇用契約書では所定労働時間が週20時間未満だということで入社したのに、実際に働いてみたら、週の所定労働時間が20時間以上になっている実態がある場合はどうしたらよいのでしょうか?
繁忙期に一時的に所定労働時間が20時間以上になったというような場合は、あくまで「一時的」なもののため、雇用契約書の内容が優先されます。
しかし、日常的に一週間の所定労働時間が20時間を越えるような状況である場合は、実態を優先することがあります。
パートタイマー・アルバイトの場合は、その雇用形態によっては1週間や1ヶ月ごとに希望によって勤務スケジュールが変わるシフト勤務形態の場合もあります。
その場合、週の所定労働時間が20時間未満になることもあれば、20時間以上になる週もあり、1ヶ月の中で所定労働時間が週ごとにバラバラになってしまいます。
この場合は、元々の契約がどうなっているかで判断します。仮に週20時間未満になることがあっても、元の契約が20時間以上であれば雇用保険の加入対象になります。
所定労働時間が1週間ごとに決められていない場合は、以下の計算によって、週の所定時間が20時間未満になるかどうかで雇用保険の加入資格を決めます。
各週の平均労働時間が20時間以上になる場合が対象です。
1ヶ月の所定労働時間を 12 分の 52 で除して得た時間
週20時間×52÷12=86.66666666となるので、月87時間以上の勤務であれば雇用保険の加入対象になります。
1 年の所定労働時間を 52 で除して得た時間を、それぞれ1週間の所定労働時間とします。
年間の所定労働時間を52で割った場合に20時間を上回る必要があるので、
52×20=年間1040時間以上の勤務であれば雇用保険の加入対象となります。
今までは雇用保険対象者だった人が、途中から勤務日数や時間を減らし、所定労働時間が週20時間未満になってしまった場合は、どうなるのでしょう。
その場合は、所定労働時間が20時間未満になった時点で雇用保険の被保険者資格を失います。つまり、雇用保険上は離職とみなされます。
その日以降も働き続ける場合、資格喪失日の翌日から1年を超えて退職した場合には、失業手当の給付はありません。
失業手当は、あくまで加入対象の方が雇用保険に退職まで継続加入していたことによる給付だからです。
もし、途中から勤務日数や時間が削減されたのが、自分の意思ではない場合は、早目の転職活動をおすすめします。
失業手当を受給する場合は、自己都合退職の場合は3ヶ月の給付制限期間がありますので遅くとも資格喪失の半年以内には退職しないと手当を受給するのは日程的に厳しくなるでしょう。
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