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雇用保険の加入手続きが遅れてしまった場合はどうする?

HUPRO 編集部
雇用保険の加入手続きが遅れてしまった場合はどうする?

加入資格がある人が入社したら、必ず手続しなければいけない雇用保険の加入。しかし、「翌月10日まで」という期限は、時間にちょっと余裕があると思って後回しになりがちな作業でもあります。本記事では、雇用保険の加入手続きの期限と、遅れてしまった場合や未加入の場合のペナルティについて解説します。

雇用保険の加入手続期限はいつまで?

雇用保険については必要書類を作成して提出する手続きを所定の期限内に行う必要があります。雇用保険は労災保険と一緒に労働保険と呼ばれていますが、 労災保険と雇用保険の保険料の申告・納付等に対して一元的に扱う「一元適用事業」と別々に扱う「二元適用事業」があります。
雇用保険の加入手続きについての締切はどちらも同じなので、ここでは一元適用事業の場合を例に取って説明します。

出典:厚生労働省:事業主の皆様へ 労働保険の成立手続きはおすみですか

雇用保険の被保険者に該当する従業員を雇用した場合は「被保険者となった日の属する月の翌月10日まで」に管轄するハローワークに届出が必要です。
「被保険者となった日」とは、雇用した日のことで、試用期間・研修期間・アルバイト期間等の雇入れの初日が原則となります。

雇用保険の加入手続はどうする?

届出については「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。
以前は被保険者資格取得届の提出にあたって出勤簿などの確認書類を持っていくする必要がありましたが、平成22年4月1日より、以下の場合を除いて、原則として添付書類は不要となっています。

・事業主として初めての被保険者資格取得届を行う場合
・被保険者資格取得届について届出期限(被保険者となった事実のあった日の属する月の翌月10 日)を過ぎて提出される場合→加入手続きが遅れた場合は次の項で説明します。
・ 過去3年間に事業主の届出に起因する不正受給があった場合
・労働保険料の納付の状況が著しく不適切である場合 など

※ なお、公共職業安定所において、届出内容を確認する必要がある場合には、後日、添付書類の提出をお願いする場合があります。

社会保険労務士、労働保険事務組合を通じて提出される場合には、原則として、添付書類は不要です。 事業主と同居している親族、株式会社等の取締役等についての届出である場合には、添付書類とは別に、雇用関係を確認する書類の提出をお願いすることになります。

出典:厚生労働省・都道府県労働局・公共職業安定所 リーフレット

雇用保険の手続が遅れた場合はどうなる?

何らかの理由により手続きが遅れたり漏れがあったりした場合は、過去に遡って被保険者となったことの確認を行います。

手続が3ヶ月以上遅れた場合は、全期間の賃金台帳・出勤簿(タイムカード)が必要です。また、6ヶ月以上の遅延の場合は「遅延理由書」などの提出を求められる場合もあります。
遅延理由書のフォーマット例(大阪ハローワーク)

従来までは2年以内がさかのぼって手続となっていましたが、2010年から2年以上さかのぼっての手続きも認められるようになっています。
しかし、その場合は雇用保険料が給与から天引きされていることが条件です。

雇用保険の未加入の会社に対するペナルティは?

雇用保険は、資格要件を満たす従業員が1名でもいれば加入義務が生じます。
にもかかわらず、雇用保険の手続きが遅れたり、またはそもそも未加入であったりする企業は確実にブラック企業である可能性が高いといえます。

雇用保険法においても、事業主が届出をしなかった、偽りの記載をした文書を提出したりした場合には「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」という罰則の定めがあります。
つまり、雇用保険に加入しないということは違法行為なのです。

第八十三条 事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第七条の規定に違反して届出をせず、又は偽りの届出をした場合
二 第七十三条の規定に違反した場合
三 第七十六条第一項の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは偽りの報告をし、又は文書を提出せず、若しくは偽りの記載をした文書を提出した場合
四 第七十六条第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反して証明書の交付を拒んだ場合
五 第七十九条第一項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは偽りの陳述をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合
出典:e-Gov 雇用保険法 83条1号

もし、就職・転職時にそうした企業に入社してしまった場合は、早々にハローワークに連絡するとともに、社会保険についても加入しているかどうか確認した方が良いでしょう。

また、パートタイマーやアルバイトなどの短時間労働者においても、週20時間以上勤務する場合は雇用保険の加入が必要です。
もし要件について不安がある場合はお近くの社労士事務所などに相談してください。

当コラム内では、雇用保険についての記事を他にも公開しています。併せてぜひご一読ください。

この記事を書いたライター

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