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30代でも転職できる!公認会計士試験や合格後の流れ、就職事情まで

HUPRO 編集部
30代でも転職できる!公認会計士になるための条件と流れについて

転職は年齢が若い方が有利ですが、資格を持っている場合は例外です。国家資格である公認会計士試験に合格すれば、転職に有利になるのはもちろんのこと、公認会計士の資格がないと行えない独占業務等を専門にして活躍できます。

この記事では、公認会計士試験の概要や会計士になるまでの流れ、会計事務所や一般企業への就職事情などを総合的に解説します。30代からの転職活動でスキルを有効にアピールして年収アップを狙いたいという方は、ぜひ公認会計士資格を取得してご自身のスキルとして転職活動時にご活用ください。

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公認会計士は企業の監査と会計の専門家!仕事内容や社会的役割について

公認会計士は、その名の通り、会計の専門家です。企業の会計監査を独占業務として執り行う一方で、会計・経理・税務・コンサルティング業務を仕事内容として活動します。

一般的に各企業の中には経理担当の人材が配置されているにもかかわらず、公認会計士は今現在も社会において重要な役割を担当しています。それは、企業とは独立した立場から企業の経営状況を監査することによって資本主義経済の公正さを守るというものです。

現在、多くの企業が日本だけに限られない範囲で、社会において活動しています。このような活動をする中で、各企業の経営状況などに関する情報は、常に株主や投資家、企業に融資をする債権者、あるいはすべての消費者に対して開示されなければいけません。

もし公認会計士がいなければどうなるでしょうか?ある企業は緊急的な資金繰りの必要に迫られて経営状況の悪化を隠すでしょう。また、ある企業は株価の下落を怖れて粉飾決算を行うでしょう。これでは、株主などの利害関係者が損害を被るだけではなく、資本主義経済の公正それ自体が機能しなくなってしまいます。

公認会計士は、各企業の財務関係書類を中立的な立場から監査することによって、企業の経営状況等の正確な情報を社会に対して開示します。このように、現在公認会計士が社会において果たす役割は非常に大きなものと言えるでしょう。

公認会計士試験の特徴やメリットについて

公認会計士になるには、公認会計士試験という国家試験に合格しなければいけません。これは、司法試験、医師国家試験と並んで、日本の三大難関国家試験に位置付けられます。

このように、公認会計士試験は非常に難易度が高い資格です。だからこそ30代、40代、あるいはそれ以上の人にとっても、就職や転職の際に武器にすることができる資格なのです。

以下で、公認会計士試験の特徴やメリットについて説明します。会計士への転職に興味がある方はぜひご参考ください。

関連記事:公認会計士試験の日程と出願受付期間について

公認会計士は受験資格がない

公認会計士試験の最大のメリットは受験資格がないという点です。同じ難関国家資格である司法試験や医師国家試験と比べるとその差は明らかです。

例えば、司法試験について言えば、司法試験予備試験に合格するかロースクールを卒業していることが受験資格として求められます。司法試験予備試験は司法試験以上に合格率が低い国家試験ですし、ロースクールを卒業するには2年ないし3年間厳しい学習を継続する必要があります。医師国家試験についても同様です。厳しい医学部受験をクリアし、医学部で6年間勉強を積み重ね、卒業してようやく医師国家試験を受験できるのです。

しかし、公認会計士試験は誰でも受験できます。受験にあたって、年齢・性別・学歴・国籍は問われません。30代から心機一転、新しい資格試験にチャレンジするには、受験資格が問われないのは大きなメリットと考えられるでしょう。

ちなみに、例えば平成30年の合格者のうち、最終学歴が高校卒業の人は合格者のうちの6.2%です。高学歴のライバルが多い中で高卒の合格率がこれだけを占めるということは、まさに公認会計士試験は実力さえあれば誰でも合格できることを意味します。

公認会計士の試験の合格率は?

実施年度にもよりますが、公認会計士試験の合格率は約11%程度です。最難関国家資格の一つである以上、例えば簿記試験などとは比較にならないほどに難易度も合格率も厳しいものになっています。

公認会計士試験は30代からでもチャレンジできる資格であると同時に、すべての受験生にとって突破が難しい試験でもあります。30代以上の社会人の方にとっては、仕事をしながらの挑戦になる方が少なくはないと思いますが、日々の努力を怠らないようにしてください。

30代以上の年齢でもある程度の合格率は保っている

実力があれば誰でも合格できるのが公認会計士試験です。現役の国立大学生の合格者もいれば、30代や40代、あるいはそれ以上の人でも充分に合格することができます。参考までに、以下のデータをご覧ください。

【30歳~34歳の合格者数及び合格率】
2015年度公認会計士試験:合格者数159人 合格率8.4%
2016年度公認会計士試験:合格者数155人 合格率8.5%
2017年度公認会計士試験:合格者数160人 合格率8.9%
2018年度公認会計士試験:合格者数123人 合格率6.8%
2019年度公認会計士試験:合格者数142人 合格率8.1%

【35歳~39歳の合格者数及び合格率】
2015年度公認会計士試験:合格者数77人 合格率7.3%
2016年度公認会計士試験:合格者数57人 合格率5.5%
2017年度公認会計士試験:合格者数58人 合格率5.3%
2018年度公認会計士試験:合格者数51人 合格率4.4%
2019年度公認会計士試験:合格者数58人 合格率5.0%

【30代の合格者数】
2015年度公認会計士試験:合格者数236人
2016年度公認会計士試験:合格者数212人
2017年度公認会計士試験:合格者数218人
2018年度公認会計士試験:合格者数174人
2019年度公認会計士試験:合格者数200人

参照:公認会計士試験 合格者調

全体の合格率平均が11%前後で推移していることを考えると、30代の合格率もある程度の水準を保っているという情報を読み取ることができます。

30代で最難関国家試験に挑戦するというと、どうしてもハードルが高いような印象を抱きがちです。しかし、特に公認会計士試験についてはそれは当てはまりません。なぜなら、30代で社会人経験を積んでいる人は、社会人として蓄積した数々のスキルを会計士試験に役立てることができるからです。

例えば、実際に企業内で経理部門に配属されている30代の方にとっては、簿記の知識や会社の決算をめぐる実務的な流れは当たり前の常識のはずです。勉強をはじめたばかりの大学生と比べても、公認会計士試験の勉強を始めるにあたってこれほど有利なことはありません。社会の仕組みや構造を知っている社会人だからこそ、むしろ公認会計士試験はチャレンジしやすい資格試験なのです。

関連記事:公認会計士試験の合格率はどのくらい?本当の合格率とは?

30代の転職希望者が公認会計士になるまでの流れ

公認会計士の資格を取得できるまでの流れについて説明します。具体的には以下の3項目をクリアしなければいけません。
・公認会計士試験に合格すること
・2年以上の実務経験
・3年間の実務補修

それぞれについて見ていきましょう。

関連記事:公認会計士を登録するまでの道のり

公認会計士の試験に合格すること

公認会計士の試験は、短答式試験と論文式試験の二段階に分かれています。両方に合格しなければ資格取得に進むことができません。

短答式試験は4科目で合否が決せられます。年2回実施され、合格すると2年間短答式試験が免除されるので、論文試験だけに集中することができます。短答式試験の合格率はおおよそ20~25%程度です。

論文式試験は5科目で合否が決せられます。実施回数は年1回ですが、科目合格制が採用されています。1度合格した科目については、その後2年間免除されるので、残りの試験科目のみに集中できるという特徴があります。論文式試験の合格率は35~40%程度です。

先程説明したように、公認会計士試験の合格率は、トータルで見たときに11%程度で推移していました。しかし、その実情は2段階の試験に分かれていて、各段階の合格率は低いものではない、むしろ高水準の合格率を維持する国家試験であると言えるでしょう。

もちろん、試験範囲も広く難易度が高いために、本来であれば勉強に充分時間を使うことができる学生のうちに試験勉強を開始するのがベターです。ただ、社会人の方でも働きながら合格を目指すことは決して難しいものではありません。

2年以上の業務補助と実務従事の実務経験が必要

公認会計士として働くためには、2年以上の実務経験が必要です。実務経験には「業務補助」と「実務従事」の2種類あります。業務補助とは、公認会計士や監査法人の業務の補助を行うことをいい、実務従事は事業会社で経理などの実務経験を積むことをいいます。実務経験は、業務補助と実務従事を通算して2年以上という条件なので、業務補助のみでも実務従事のみでも問題ありません。

公認会計士試験に合格した人の多くが監査法人に就職して実務経験を積むことになります。ただ、いろいろな就職先の求人条件をしっかりと確認して、どのような研修制度が整備されているのかを理解してから応募しましょう。

試験合格と実務経験終了後に実務補修を受講する

公認会計士になるためには、実務補修を受講しなければなりません。実務補修の修業年限は3年であり、その間に公認会計士としての知識や経験を積むことになります。実務補修が修了し、内閣総理大臣の確認を受けた人が公認会計士として業務登録可能となります。

30代の公認会計士の転職・就職先とは?

公認会計士のスキルを活かして転職する場合、主な転職先は以下の4つに分類できます。

・監査法人
・税理士法人
・一般企業(上場企業などの大手企業やベンチャー企業を含む)
・コンサルティング会社

一般的に30代の転職というと求人情報に制限が加えられる時期です。しかし、公認会計士資格を保有している場合には一切問題ありません。むしろ、30代の公認会計士は、幅広い企業や監査法人などからのニーズが高い世代なので、積極的に転職活動をしていきましょう。

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監査法人へ転職して公認会計士の資格を最大限利用する

監査は、公認会計士の独占業務です。その監査業務に特化して多くの企業を相手に仕事をするのが監査法人です。公認会計士しか扱えない専門性の高い業務なので、特に公認会計士試験に合格したばかりの人たちに人気がある転職先です。

現在、日本には大手監査法人(通称BIG4)と呼ばれる4代監査法人があります。世界規模で監査業務を取扱う法人なので、上場企業などを相手に専門性の高い仕事で活躍できるのが特徴です。日本の大手監査法人は以下の4つです。

・EY新日本有限責任監査法人
・有限責任あずさ監査法人
・有限責任監査法人トーマツ
・PwCあらた有限責任監査法人

他方、日本にはこれ以外にも多くの中小規模の監査法人が活躍しています。日本では、中小企業の数が圧倒的に多いために、中小監査法人もまた非常に忙しいというのが実情です。いろいろな業種の企業を相手に幅広い仕事で活躍できるのという特徴があります。

特に30代から転職する場合には、BIG4にこだわらずに各監査法人の求人情報を精査することをおすすめします。単純に初年度年収を考慮するとBIG4は高水準ですが、他方で仕事の幅の広さは中小監査法人に軍配があがります。中長期的なキャリアプランを見据えた上で、転職先を決めましょう。

関連記事:BIG4監査法人とは?それぞれのグループの特徴を比較

税理士法人で公認会計士の資格を最大限利用する

公認会計士の独占業務は監査ですが、公認会計士が監査業務しかしてはいけないというルールはありません。税理士事務所に入所して、会計・経理的側面の強い業務を専門に活躍するのも一つのキャリアとして充分にあり得るものです。

税理士法人も、大手税理士法人と中小税理士法人に区別されます。BIG4と提携している税理士法人では、やはり仕事の専門性も高くなり、年収もそれに比例します。これに対して、中小規模の税理士法人では、確定申告書の作成や税務相談などが中心業務となります。

各事務所の求人情報を見れば、税理士業務だけを取扱っているのか、あるいは監査業務と税理士業務の両方を行っているのかが分かります。両方の業務を経験してから、将来的に自分がどのような形でキャリアを形成したいかを判断するのも一つの選択肢です。

関連記事:失敗しない公認会計士の転職先選び

一般事業会社に転職する

近年、公認会計士が一般企業に就職するという形を採用する企業が増えています。いわゆる企業内公認会計士と呼ばれるものです。大手企業や新鋭のベンチャー企業を問わず、多方面の企業でニーズが高まっています。

一般的に、公認会計士の資格保有者は非常に優秀とみなされます。経理のスペシャリストとして登用されたり、あるいは企業内における内部監査役として組織統治業務を担当したりします。特に、30代の転職を検討されている方は、多様な求人が出されているのでぜひチェックしてください。

会社員としての給与体系になるので監査法人などに転職する場合と比べるとどうしても年収面でのデメリットが生じますが、他方で企業を中から見れるというメリットが生まれます。今後のキャリアの中で、独立などを視野に入れているのなら、企業を中から見ていろいろな見識を深めるのは有意義なポイントだと考えられます。

また、監査法人や税理士事務所に転職したのち、さらなるキャリアアップを目指すための方法として一般事業会社に転職するというルートを選択する公認会計士も少なくはありません。現在、ベンチャー企業などに役員として参入する公認会計士もどんどん登場しているので、幅広い活躍を期待できます。

コンサルティング会社への転職

公認会計士としての資格をコンサルティング会社で活かすのも一つのキャリアです。会計コンサルや戦略コンサルなどという形で、いろいろな企業の経営的側面に切り込んでいく仕事です。公認会計士という会計プロのスキルを活かしてクライアントの経営サポートをできるので、やりがいに溢れる仕事だと言えます。

まとめ

30代からの公認会計士への転職事情については以上です。

転職を考える際、若手でポテンシャルのある「20代の方が有利」というのはよく聞いたことがあると思います。しかし、公認会計士という資格は日本でも最難関のもので、独占業務なども持つことから、会計士資格を取得すれば自身の市場価値は大きく高まります。受験資格はありませんので、もちろん30代でも受験することは可能ですし、一定数合格している30代も方もいらっしゃます。

監査法人へ転職して監査をメインに公認会計士としての力をつけ、一般事業者や税理士事務所などへと転職をするのも一つのキャリアでしょう。あるいは、税理士法人に入所して税務コンサルなどの専門性を高めるのもありです。公認会計士の資格を取得すれば、幅広い選択肢の中から、自分の望むキャリアを形成できるのです。

これからのキャリアを改めて考えた際、自信の強みになるものとして公認会計士試験合格を目指してみるのもよいのではないでしょうか。

この記事を書いたライター

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