士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所|HUPRO MAGAZINE
士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

カテゴリ

公認会計士を登録するまでの道のり

HUPRO 編集部
公認会計士を登録するまでの道のり

公認会計士試験の受験資格には制限がありません。職業別合格者に占める割合で最も高いのは大学生や大学院、各種学校に在籍する学生です。しかし、ここ最近では、現役高校生も、合格者に占める割合は少ないものの、公認会計士試験に合格しています。
公認会計士といえば、日本の株式市場に上場している会社の財務諸表を監査できる資格があり、社会的ステータスの高い職業です。現役高校生は、試験に合格すれば、そのまま公認会計士として登録されるのでしょうか?そこで、公認会計士として登録するまでの道のりをまとめてみました。

公認会計士試験に合格する

まず、公認会計士試験に合格しないと、公認会計士として登録はできません。公認会計士試験は、短答式試験と論文式試験の2段階の試験になります。短答式試験に合格すると論文式試験が受けられます。

短答式試験は、4科目(財務会計論、監査論、管理会計論、企業法)の基本的知識を幅広く確認する、マークシート方式の試験です。
短答式試験は、税理士登録者や司法試験合格者、専門職大学院で修士以上の学位を取得している受験生には、一部の試験科目または全科目の試験が免除されます。
短答式試験に合格すると、短答式試験と同じ4科目(財務会計論、監査論、管理会計論、企業法)に租税法と選択科目を加えた論文式試験を受けることができます。

論文式試験とは、多くは1問を1時間かけて論文を作成する形式で行われ、試験時間の合計は15時間にも及びます。試験は3日に分けて行われますが、例年ですと8月に実施されるので、知力だけなく、実質的には、体力、集中力、気力も問われる過酷な試験になっています。論文式試験では、基本的な知識を正確に理解し、その知識を実践に応用して論理的文書を作成する能力が問われています。その能力を身につけるためには、相当な時間を勉強に割く必要があることもあり、比較的時間的余裕の多い学生が合格の多数を占めているのが実情です。

試験と前後して実務経験を積む

しかし、公認会計士試験に合格しても、すぐに公認会計士として登録されるわけではありません。試験合格者は、公認会計士になろうとする専門的知識があることを、試験合格によって示されたことに過ぎないからです。
知識があることと、実際に仕事ができることは異なります。そこで、公認会計士として登録するためには、まず、試験の前後を問わずに、2年以上の監査法人または、公認会計士の業務を補助する(業務補助)、または、一般の企業で監査類似の業務に従事した経験(実務従事)が必要になります。
現役の学生では、このような実務経験を在学中に積むことは難しいので、公認会計士試験に合格しても、公認会計士として登録されるまでは、時間がかかる場合が多くなります。
社会人であって試験を受験する前にすでに2年以上の実務経験があれば、登録までの時間を短縮できます。

試験合格後に実務補習を終了する

公認会計士として登録するために必要な最後の要件は、一般財団法人会計教育研修機構(JFAEL; Japan Foundation for Accounting Education and Learning )が実施する実務補習を受けて、日本公認会計士協会による終了考査に合格し、内閣総理大臣の確認を受けることです。その後、はじめて公認会計士名簿に登録することが可能になります。
 実務補習のミッションは、「試験合格者が『会計職業専門家としてふさわしい品位と幅広い識見を備え、専門的知識を実務上で応用できる能力を有する公認会計士』としてキャリアを歩み、グローバル時代の社会に貢献していくために必要な基礎を身につけるための補習教育を提供すること」(出典:一般財団法人会計教育研修機構)です。
 そのための実務補習は、修業年限は3年であり、実務補習の方法は、教室やeラーニングで受ける講義にとどまらず、宿泊を伴う実地演習、理解度を確認する試験(考査)や課題研究もあります。終了に必要な270単位の習得ができないと、追加補習を受けて、修了要件を満たすまで実務補習が継続されます。
なお、会計専門職大学院で履修していれば、実務補習の単位が減免されます。また、監査法人または、公認会計士の業務を補助する(業務補助)、または、一般の企業で監査類似の業務に従事した経験(実務従事)が2年以上あれば、金融庁長官に申請して、修業年限を短縮することもできます。
 在学中に合格し、業務補助や実務従事の経験がない試験合格者で、会計専門職大学院での履修科目がなければ、少なくとも3年以上実務補習を受け、実務補習が終わるまで、公認会計士としての登録を待つことになります。

まとめ

難関とされる公認会計士試験ですが、公認会計士として登録されるためには、試験合格だけでは足りません。2年以上の実務経験や3年を修業年限とする実務補習を終了しないと公認会計士として登録されません。公認会計士試験には、このような一定の実務経験や補習を義務付けることで、公認会計士に寄せられる社会的ステータスの高さを保持しているのです。

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINEを運営している株式会社ヒュープロ編集部です!士業や管理部門に携わる方向けの仕事やキャリアに関するコラムや、日常業務で使える知識から、士業事務所・管理部門で働く方へのインタビューまで、ここでしか読めない記事を配信。
カテゴリ:資格試験

おすすめの記事