士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所|HUPRO MAGAZINE
士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

カテゴリ

IFRS検定だけじゃない!国際会計基準を学べるBATIC

HUPRO 編集部
IFRS検定だけじゃない!国際会計基準を学べるBATIC

IFRSは、日本語では国際財務報告基準と呼ばれ、財務諸表の比較可能性を高めるために、国際的に統一された会計基準を作るという流れのなかで誕生してきた会計基準です。IFRSは原則主義を採用しているため、個別の会計処理については言及されていません。IFRSの理解度を測定するための資格試験としてBATIC(バティック)という試験があります。この記事では、そんなIFRSに関する説明をした上で、BATIC試験の位置づけを詳しく解説していきます。

IFRSとは

IFRSとは、国際財務報告基準(IFRS: International Financial Reporting Standards)の略称で、国際会計基準審議会(IASB:International Accounting Standards Boards)によって公表されている一連の会計基準を指す言葉です。一般に、日本では「イファース」あるいは、「アイファース」と呼ばれています。
会計基準は、もともと各国の基準設定当局で開発されていたために、国ごとに異なるものが存在していました。しかし、企業活動のグローバル化、証券市場のボーダーレス化、経済取引の多様化・高度化に伴い、企業が作成する財務諸表の国際的な比較可能性を確保することが必要になってきました。

国際会計基準の歴史

この取り組みを進めてきたのが、1973年6月に設立された国際会計基準委員会(IASC: International Accounting Standards Committee)です。IASCは、財務報告が国際的に比較可能となるための会計基準を設定することを目的として、各国の会計士団体等によって設立された民間団体で、国際会計基準(IAS:International Accounting Standards)やその解釈指針を開発してきました。しかし、民間機関であるIASCが開発するIASには強制力がないため、また、その内容が各国の会計制度と相容れない部分も多かったために、当初はIASに準拠した財務諸表を作成する企業はあまり見られませんでした。

しかし、1987年9月に、各国の証券市場監督機関の国際機関である証券監督社国際機構(IOSCO:International Organization of securities Commissions)がIASCの諮問グループに参加し、その翌年の1988年11月にIASCの活動に対して支持を表明したことから状況が一変し、IOSCOが2000年5月に加盟国に対して、他国での上場および起債の際に、IASを認めることを勧告したことによって、IASが広く認知されるようになりました。これを期に、IASCは、2001年に会計士団体を構成員とする組織から、各国の会計基準設定主体との連調整者を中心とした組織に変革し、国際会計基準審議会となりました。

IASBは、2001年に設立された機関ですが、その前身の会計基準設定主体であった国際会計基準委員会(IASC: International Accounting Standards Committee)の理事会が公表した国際会計基準(IAS:International Accounting Standards)をそのまま採用しています。そのため、国際財務報告基準には、IFRSおよびIASという「会計基準」と、IFRICから名称変更された「IFRS解釈指針委員会」(IFRS interpretations Committee)やその前身であった解釈指針委員会(SIC:Standing Interpretation Committee)による解釈指針が含まれています。

IFRSを学ぶにはBATIC

IFRSは原則主義を採用しているため、会計基準と言っても細かいルールについては実は決まられていません。IFRSを学ぶ上で、多くの人がまずIFRS検定を思い浮かべると思います。IFRS検定は年に3回行われ、転職や自身のスキルアップにも活かせる試験なので、人気となっています。
確かに、IFRS検定も良いですが、今回はBATC(国際会計検定)をご紹介します。BATICとIFRS検定の大きな違いは、IFRS検定は日本語で受験することができますが、BATICは英語でしか受験ができないという点です。英語嫌いな方には少しハードルに感じるかもしれませんが、IFRSについて勉強している時点で、英語のスキルも求められるので、いっそうのこと、BATICのように英語のみで受けられる試験にトライした方が後々有利に働くかもしれません。また、IFRS検定は合否で判定が出ますが、BATICはTOEICのようにスコアにて評価が出ます。

なお、IFRS検定についてはこちらのコラムにて詳しく紹介しているので、ご興味ある方はご覧ください。

関連記事:IFRS検定ってなに?試験内容は?独学も合格は可能?
関連記事:IFRS検定の難易度は?どんな職場で有効利用できるの?

BATICとは

それではBATICについて詳しく見ていきましょう。
東京商工会議所が主催しているBATICは、グローバルなビジネスシーンに不可欠な英語力と国際会計スキルを同時に測る検定試験で、社会人のキャリアアップのために受験されることが多い資格となっています。BATICの試験は、試験結果の合否ではなく、1000点満点のスコア制で受験者全員に点数の認定が行われます。200点未満の場合は、称号は付与されず、得点のみの認定となります。

問題はマークシート方式による選択問題および記述問題の2構成となっており、出題はすべて英語となっています。1,000点満点のうち、200〜319点でブックキーパーレベルが認定され、320〜699点でアカウンタントレベルの称号が認定されます。これらのレベルは、日商簿記3級程度の難易度です。さらにその上のレベルとして、700〜879点であると、アカウンティングマネジャーレベルの称号が認定され、このレベルは日商簿記2級程度の難易度です。最後に、880点から1,000点となると、コントローラーレベルの称号が与えられます。コントローラーレベルは日商簿記1級程度の知識が求められます。なお、コントローラーレベル・アカウンティングマネジャーレベルは認定期間があり、資格取得から3年以内が有効期限となっています。これは、最新の会計基準に関する理解度を確認したうえで、認定期間を更新する制度となっているためです。

BATICは難しい?

BATICの試験は、特段難しい試験ではありません。難易度としては、日商簿記試験1級の方が難しいと言えます。ただし、BATICの試験は前述の通りすべて英語で出題されるので、英語で簿記を理解しなければなりません。日本では会計基準の国際的基準への統合が一層進んでいることもあり、各企業も対応に追われています。そうした中で、国際的なビジネスの共通言語である会計知識を身に付けた人材がいる企業は、大きな飛躍のチャンスをつかむことができるでしょう。今後、IFRSを理解している人材に対するニーズはますます高まっていきます。そうしたなかで、BATIC試験で認定されている人は貴重な人材として重宝されることでしょう。
BATICを生かした転職についてはこちらのコラムを参考にしてみてください。

関連記事:BATICは転職の際に有利に働くのか?|経理の転職事情

おわりに

IFRSは国際的に統合された会計基準です。そんな会計基準を勉強するのであれば、BATICの試験を受けてみると良いでしょう。BATICの試験は認定型の試験となっているので、何点以上獲得できたかによって、認定証が発行され、自分の実力を客観的に理解することができます。IFRSに詳しい人材に対するニーズが高まっていることから、今後、BATICの試験を受験することで、キャリアップを目指してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINEを運営している株式会社ヒュープロ編集部です!士業や管理部門に携わる方向けの仕事やキャリアに関するコラムや、日常業務で使える知識から、士業事務所・管理部門で働く方へのインタビューまで、ここでしか読めない記事を配信。
カテゴリ:資格試験

おすすめの記事