アメリカでは、日本のように源泉徴収の仕組みがありません。企業に雇用されている人も、自営業の人も、一定以上の収入がある人は等しく申告をおこなう必要があります。それを税務の面から申告業務をサポートするのが米国税理士(Enrolled Agent:EA)です。
日本ではあまり知名度のない米国税理士(EA)ですが、実はあえて取得するためのメリットがいくつもあるおいしい資格です。今回は米国税理士の資格を取るメリットを解説します。
税理士試験と聞くと、日本の難関試験を思い浮かべてしまう方が多いと思いますが、米国税理士の試験はそこまで難しくありません。というのも、選択問題(四択)のみで、筆記や記述がないのです。
これで大分ハードルが下がったのではないでしょうか。
また、18歳以上なら特に条件なしで受験が可能で、使われている英文も大学生レベルであれば専門用語を覚えれば読み解けるものです。
米国の資格だと真っ先に上がる米国公認会計士(USCPA)に比べても難易度は低く、TAX部分の内容は重複するので、いずれは米国公認会計士(USCPA)を目指そうという人にもおすすめできます。
日常的に英語を使う業務をしていない限り、税務関連の英語というのはなかなか接する機会のないものです。
「いつかは英語を使って・・・・・・」と考えていたとしても、普段から使う機会のない言語については、自ら取り組まないと難しいでしょう。
米国税理士(EA)の試験は選択問題とはいえ、問題文はもちろん英語なので、勉強をすることによって英文の勉強になります。また、税務会計に関する英単語が頻出するため、結果的に仕事で使う英単語も覚えることができるのです。
資格を取ることができれば、国際的な仕事をしたいという場合、絶対見られる英語力については、TOEICなどよりよほど、実務に対する英語力が身についている証明にもなります。
日本ではまだまだ税務に関する英語が得意な人材は多くありません。
実際のところ、アメリカでも日本でも、米国税理士(EA)は米国公認会計士(USCPA)に次ぐ地位と見なされていますが、英語で専門業務ができるということで、いわゆるBIG4や国際的な業務をおこなっている企業に向けて、転職への扉を開く可能性が高まります。
大手会計事務所や税理士法人、国際的な業務のある大手企業や外資系企業の日本社などへの就職を目指している方には特におすすめです。
というのも、今から公認会計士や税理士試験にチャレンジとなると、敷居が高するし、簿記検定はメジャーすぎるので、取得している人も多いため埋もれてしまいます。
また、TOEICスコアが満点でも、実際の英語レベルというのは現地の小学生くらいのものなので、ビジネスに使えるかどうかというと甚だ怪しいです。
資格を持っている人が少なく、さらに合格するまでの勉強時間もそこまで長くなく、取得することで、専門家の少ない米国税務と英語ができることをアピールできると言うことで、米国税理士(EA)はかなりお得な資格といえるのです。
受験は年に4回、日本では東京のみでおこなっていますので、地方の人は遠征が必要ですが、チャレンジする価値はあるでしょう。
もともと米国税理士(EA)はアメリカの資格です。将来アメリカで仕事をしたい人は、そのまま資格を活用できます。
現在アメリカでは、駐在員ですら現地で働くためのビザを取得することが非常に厳しくなっていますが、米国税理士(EA)は日本ではマイナーな資格だとしても、アメリカの国家資格です。
現地の事務所に雇用されれば、働くために必要な就労ビザのうち、H-1B(専門職ビザ)への道がだいぶ近くなります。
さらに、アメリカ人はアメリカの国外に住んでいたとしても世界での自分の所得を毎年申告しなければいけないと義務づけられています。そのようなときに役立つのが米国税理士です。そのため、世界中に住んでいる米国人相手に仕事ができる資格になります。
そのため、米国税理士(EA)の試験は、アメリカだけでなく、日本・韓国・イギリス・カナダ・インドで受験が可能となっています。
米国税理士(EA)はマイナーな資格だとしても、アメリカの国家資格です。
いまは転職のために、そして将来的に海外で仕事がしたい場合も役立つ、おすすめできる資格の一つといえるでしょう。