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加入必須!社会保険の強制適用事業所とは

HUPRO 編集部
加入必須!社会保険の強制適用事業所とは

社会保険の未加入について、厚生労働省と日本年金機構が、厚生年金の保険料支払いを逃れる企業への取り締まりを2020年度から4年間を集中して強化するというニュースが発表されました。それと同時に強制適用事業の範囲拡大も検討されはじめました。本記事では、社会保険の加入が必須な強制適用事業所について改めて解説いたします。

強制適用事業所とは

社会保険は、個人ごとではなく、事業所単位で加入するかどうかが適用されます。
条件に該当する次の(1)か(2)に該当する事業所(事務所を含む、以下同じ)は「強制適用事業所」として、事業主や従業員の意思に関係なく、法律によって社会保険への加入義務が定められています。

(1)株式会社などの法人の事業所(事業主のみの場合を含む)
常時、従業員を使用する国、地方公共団体又は法人の事業所

(2)常時5人以上の従業員を使用する事業所(個人事業主含む)
飲食店、接客業、理・美容業、旅館業等 サービス業、法律・会計事務所等は除く

また、適用事業所以外の事業所であっても、従業員の半数以上が厚生年金保険の適用事業所となることに同意し、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受けることによって、任意の適用事業所となることができます。

強制適用事業所における被保険者

強制適用事業所に常時使用されている70歳未満の方は、国籍や性別、年金の受給の有無にかかわらず、厚生年金保険の被保険者75歳未満の方は健康保険の被保険者となります。

「常時使用される」とは、雇用契約書の有無などとは関係はありません。
強制適用事業所で働いて賃金を得ていることが常に行われている場合は、使用されているとみなされ、被保険者になります。
これは、パートタイマー・アルバイト等でも1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事している一般社員の4分の3以上であれば同様に適用されます。

なお、試用期間として雇用される場合も報酬が支払われる場合は、使用関係があるとして適用になります。
就職・転職時に注意したいのが「試用期間」です。正式採用時に社会保険適用の場合は、試用期間にも適用されます。もし「試用期間だから社会保険はない」というようなコメントをされる場合は、その企業はブラックである可能性が高いでしょう。

試用期間については、以下の記事でも解説しています。併せてぜひご一読ください。
関連記事:正社員本採用の前にある試用期間って?

強制適用事業所が未加入の場合のペナルティ

強制適用事業所は、事業主や個人の意思、企業の規模・業種に関係なく社会保険の加入義務が課せられます。しかし、従業員の給与より従業員負担分を控除して、会社負担分の額を加え、社会保険料として納付する負担が大きいことから、いわゆる「加入逃れ」をしている事業所が少なくありません。

現在は、厚生年金の適用を届け出ている事業所に対し、日本年金機構の職員が立ち入り検査し、賃金台帳や出勤記録といった関係書類を提出させていました。
しかし、そもそもの届出をせず、加入逃れが疑われる事業所に対しては書類を要求しても強制力はなく、拒否されると手段がない状況になっているところです。
これから対策を強化するにあたり、新たに雇用保険の加入者情報を使うことで就業状況を把握し、指導や立ち入り検査に従わない事業所には告発も視野に対応するなど、加入逃れを許さない方針で摘発を行うと方針を発表しています。

参考:日本経済新聞 2020/2/21「厚生年金、加入逃れ対策強化 雇用保険の情報活用」

このように、社会保険料の納付に関する通知や指導は年を追うごとに厳しいものになっており、さかのぼって追徴された場合、その金額は事業主にとっても従業員にとっても大きなものとなります。

詳しくは以下の記事をご参照ください
社会保険料は会社にとって大きな負担になっている

国は強制適用事業所の範囲拡大を検討中

ほとんどが零細経営である士業の事務所は、社会保険に入っていないことが多いものです。被保険者に取っては、個人負担の場合、国民年金はともかく、国民健康保険の両立には厳しいものがあります。会計事務所への転職を考えている場合は、社会保険加入かどうかもチェックしておいた方が良いかもしれません。

しかし、今まで強制適用の非適用業種であった士業事務所についても、以下のように士業の事務所については、適用業種とすることが検討課題となっています。

非適用業種のうち、法律・会計に係る行政手続等を扱う業種(いわゆる「士業」)については、被用者保険適用に係る事務処理能力が期待できる上、

事業所に占める個人事業所の割合が高いこと、特に、常用雇用者数5人以上の個人事業所の割合が他の業種に比して高いことから、被用者として働きながら非適用となっている方が多いと見込まれる

制度上、法人化に一定の制約条件があるか、そもそも法人化が不可能であることから、他の業種であれば大宗が法人化しているような規模でも個人事業所に留まっている割合が高く、被用者保険制度上で個別に対応を図る必要性が高いといった要素を考慮し、適用業種とすることを検討。

• 具体的には、制度上、法人化に一定の制約条件があるか、そもそも法人化が不可能な業種として、弁護士・司法書士・行政書士・土地家屋調査士・公認会計士・税理士・社会保険労務士・弁理士・公証人・海事代理士を適用業種とすることを検討。

出典:厚生労働省年金局:被用者保険の適用事業所の範囲の見直し 2019年11月13日

他にも、以下の表の赤文字の業種について、非適用業種から適用業種への変更が検討されています。

出典:厚生労働省年金局:被用者保険の適用事業所の範囲の見直し 2019年11月13日

今後、強制適用事業所の基準が変更になる可能性があり、注意が必要です。

社会保険の加入義務については以下の記事でも解説しています。併せてぜひご一読ください。
関連記事:社会保険の加入義務について解説します

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