公認会計士に限らず、転職回数というのは企業が気にするのではないか、ということが気になってなかなか転職に踏み切れない人も多いことでしょう。
では、転職回数が多い公認会計士が気を付けることはどんなところかを現役公認会計士が解説します。
私自身経営者として公認会計士の採用をする際、履歴書を見てまず目につくのは転職回数です。2回程ならさほど気にはならないのですが、3回、4回・・・と増えていくにつれて「この人はうちもすぐに辞めてしまうのではないだろうか」という第一印象を持ちます。
一方で、一度も転職していない人の履歴書を見ても「この人は長年勤めていた企業と文化が違ううちに来てもやっていけるだろうか」という心配もします。
ですので、転職回数が少ないに越したことはありませんが、転職回数が多いからと言って履歴書の段階で不採用とすることはほとんどありません。
転職回数と一口に言っても内容は様々です。
例えば、最初監査法人に就職して、その後一般事業会社の営業を行い、3年間何もしていない期間があり、その後全く違う業種に移っているようなケースであれば、なんとなくその場限りで生きている印象を受けてしまいます。
一方で、監査法人就職から、その後一貫して事業会社の経理、財務等の会計にまつわるポジションを渡り歩いているようであれば「全般的な業務ができそうだな」という印象に変わります。
ですので、転職回数が多くても会計業務の幅を広げるためという印象が持たれるようでしたら問題はありません。
今までの話は採用側が勝手に想像しているもので、実際は転職する人自身が採用担当者に色々と伝えなければなりません。
まず一番大事なことは転職をした理由をそれぞれの会社について具体的に説明できることです。
上司とそりがあわなかったから、ということでもそれだけで辞めたということでは「忍耐力が無いだけの人」と思われるかもしれません。どちらかというと、自身のやりたい仕事が次の会社でできるための理由を積極的に話しましょう。
例えば以前の職場が今回転職希望している先よりも遠かった場合、当然通勤時間は短縮されます。
お子さんがいらっしゃったり共働きであったり、親の介護が必要であったりして、万が一のことがあっても職場が近い方が安心できるというのも良い理由でしょう。万が一のことであって頻繁には起こらないと考えられるのであれば悪いイメージはつかないでしょう。
例えば転職先の会社が連結決算の人員を募集していたとして、今までの会社ではそのような職種の配置はかなわなかったのであれば、転職する理由もうなずけます。
一般的に会計士は向上心が高い人が多いというイメージを持たれるので、そのような向上心をもって業務にあたってくれるというのはとても心強いです。
ただし、その会社でできる業務であっても現在そのポジションが空いていない場合はあまりその点を全面的に出されると、かえって採用されない可能性もあります。
ですが、「将来的には○○のポジションも経験させていただければなおありがたいです」くらいにとどめておけば、会社としてもそのポジションに空きが出た時に配置転換もしやすい為、採用される可能性は高まるでしょう。
色々な理由があって今まで転職をしてきたと思いますが、中には数日で会社を辞めてしまったことが重なって、その当時のことをどう説明して良いのかわからない人もいることでしょう。
もし、転職回数の多さから就職が難しいと考えるのであれば、売り手市場の求人に応募するというのが一つです。
例えば、最近は株式公開する企業がまた増えてきていますが、経理部長や内部監査室長等のポストはなかなか該当するスキルを持った人が応募してきません。そのような時、公認会計士という資格だけでかなり積極的に採用を考えてくれるため、売り手市場の職種に応募するのも一つの手でしょう。
転職回数が多いものの成功した事例として、監査法人勤務→コンサルティング会社勤務→大手会計事務所勤務→投資会社勤務、というものがあります。
この人は監査法人で培った知識を活かして、会計系のコンサルティング会社でコンサルティング知識を学び、大手会計事務所で実際の数字を作る仕事や税務申告まで一般企業の一通りの知識を学び、投資会社で投資先の利益を拡大する戦略を考えるようになっています。キャリアだけ見るとあまり一貫性が無いように見えますが、具体的な業務内容をたどるとクライアントの価値を高める仕事を一貫して行っていることがわかります。
転職回数は少ないにこしたことはありませんが、物は言いようで、全てポジティブに考えることで印象は全く変わります。過去の履歴書は変わりませんが、採用担当者への印象はいくらでも変えられますので、十分に準備して転職先を決めましょう。
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