現在、転職をお考えの方や転職活動中の方の中には、「転職を何度も繰り返すと、転職活動で不利になる」という噂を聞いたことがある方もいるかもしれません。果たしてその噂は本当なのでしょうか?本記事では、転職回数の多さと採用の関係や、転職回数が多い方の履歴書や面接の対策法を解説します。
結論から言うと、企業によっては転職回数の多さを気にして、転職経験の多い人材の採用を見送るところもあるようです。しかし、すべての企業が、転職回数が多い人を敬遠するというわけではありませんし、「転職の理由がポジティブなものであれば、転職回数はあまり気にしない」という企業も多くあります。
一般的に、転職活動の際には、職務経歴書を提出する場合がほとんどでしょう。そして、採用担当者の中には職務経歴書に記されたその人の経歴から、人となりを読み取ろうとする方も少なくありません。
そのような場合、やはり転職回数が多いと採用担当者に「採用したとしても、またすぐに転職するのではないか」という印象を与えてしまうことは否めません。
これは経理職だけでなく全ての職種について当てはまることだと思います。
企業にとって、採用活動にかかる時間と費用は決して小さくはない負担です。「どうせ採用するのなら、長く働いてくれる人を」と考えるのは当然と言えるでしょう。
転職回数が多い人は、「自社で採用しても、嫌なことがあると離職してしまうのではないか」という第一印象を持たれがちです。
特に、経理という職種は会社の機密情報を扱うことも多いですから、すぐに退職されてしまうことは企業側としては避けたいと考えるのが自然です。
こうした印象を払拭するためには、採用担当者を納得させるような退職理由を伝えることが必要です。
退職理由については、前職のネガティブな面を強調するのではなく、「前職でのステージはすでに自分には合わなくなったので、次のレベルに進みたいと考えるようになった」という内容にするのがポイントになります。
例えば、中小企業から上場企業への転職活動の場合は、「中小企業での経理から一歩進んで、よりハードルの高い上場企業の経理に挑戦したかった」という回答が考えられます。
逆に、大手企業から中小企業へ転職した場合は、「会社全体を見渡せるポジションで、経理業務を担いたかったから」といった回答も考えられるでしょう。
このように、その転職をした際の退職理由と志望理由がつながっていることが非常に重要です。
採用側が気になってしまうことのもう一つは、自社の既存スタッフと協力して働いていける人なのかという点です。
経理という職種は、基本的には離職率が低い仕事といえます。
そのため、職場の人間関係はその企業独自のものとなっていることも少なくありません。
志望動機や面接での自己PRでは、社内外とのコミュニケーション能力の高さを思わせるアピールが必要です。
前職の退職理由を「人間関係」においてしまうと、「自社で採用しても同じ理由で退職してしまうのでは」という心配を抱かせてしまいますから、避けるようにしましょう。
ただし、退職・転職した理由が「特定のスキルを身に付けたい」「より大きな仕事に挑戦したい」「経験をより活かせる職場で働きたい」など、キャリアアップのためのものであれば、問題ない場合も多々あります。これまでの経歴について職務経歴書や面接で伝える際には、ぜひポジティブな理由で転職したことを付け加えましょう。
また、「会社が倒産した」「激務で体調を崩してしまった」などのやむを得ない事情で転職をした場合も、その旨を説明すれば悪印象を持たれることも少ないので、安心してください。
さらに、転職回数が多くても職歴に一貫性がある場合は、マイナスな印象を持たれにくくなります。例えば、業種を変えながらも「経理・会計一筋でやってきた」という人の場合は、さまざまな業種の経理・会計を経験していることがプラスの評価になることもあります。
転職回数が多い人に対してネガティブな印象を抱く採用担当者も少なくない中で、実際に転職回数が多い人はどのように挽回していけばいいのでしょうか。
転職回数は必ず正直に伝えなければいけませんが、その中で転職回数の多さをプラスの印象に変え、相手を安心させることが書類選考通過のカギとなります。
自分の経歴を棚卸しして以下のようなポイントが伝えられるように考えてみましょう。
・その会社にいなかったような優れた技術やスキルを持っている
・これまでの転職理由やポリシーに一貫性がある
・希望する業務に具体的なイメージを持っている
・環境適応能力が高く、職場にすぐに馴染める
・本人の人間性には問題がない
転職回数が多くても選考を通過するためには、自分に確固たるキャリアビジョンがあり、それが今回の転職活動にもつながっていることをアピールすることが大切です。
同じ職種でいくつもの職場を経験している場合は、職務上のスキルの高さやプロフェッショナルであることを強調しましょう。
ポイント
(1)職務上のスキルの高さや、仕事をする上でのモットーを強調
(2)具体的にどんなことをやり遂げたかについて、数字を交えて説得力を出す
(3)職場にすぐに馴染みたいという意思も大切
これまでにさまざまな職種を経験してきた人は、その経験から多角的な視点やスキルを持っているはず。それをアピールしつつ、一貫した転職ポリシーがあることを明らかにしましょう。
ポイント
(1)どんな軸で転職してきたかをワンフレーズで伝える
(2)志望している仕事と直接関係ある仕事に重点を置いて語る(直接関係のない仕事にはあまり触れない)
(3)これまでの経験が今回の志望職種にどんなふうに生かせるか具体的にアピール
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無事に書類選考を通過することができれば、今度は面接です。転職回数が多い人は、面接で転職回数やそれまでの退職理由について聞かれることも多いです。聞かれたくないと思う人も多いでしょうが、実はその質問は大きなチャンスになります。これまでの経験やスキルを説明するとともに、将来どのように仕事をしていきたいかを話すことで「今度はすぐに辞めない」という姿勢をアピールしてください。
転職回数が多いということについていえば、「色んな企業を知っている」「色んな人たちと働いてきた人生経験がある」というように強みに変えていく事が可能です。
経理という職種は、基本的な部分ではどこの会社でも同じ仕事をしています。
そのため、他社での経理を経験していること(多くの企業の経理処理の方法を知っていること)は強みといえます。
例えば、前職で行った業務フローの効率化などは、新しい職場でも参考事例として共有することができるでしょう。
また、前職で税務調査を受けた経験などがあれば、その際の指摘事項や対策として講じたことがらなども、新しい職場でも有効な知見となります。
中途採用の場合は、多くのケースで1次面接または2次面接で、現場のスタッフとの面談があります。採用後の直属の上司が面接官になる場合も多いですね。
これは上でもみた「入社後に自社スタッフとうまくやっていけるか」を吟味するためのステップです。
この段階でのアピールとして、今までの職場でも人間関係を上手くやってきたということを、具体的なエピソードで伝えるのが有効です。
例えば、面接で、「今までの仕事で成し遂げたことは?」という質問が来たとしましょう。この場合は、今までの業務において、周囲と連携して成し遂げることが出来た業務を答えると良いでしょう。
具体的には、「繁忙期の決算期においても情報共有をこまめに行い、連携することで決算を無事に終えることが出来た」といったような内容です。
また、「経理部員で足りない知識については勉強会を開催し補い合った」というような事でも、連携や協力をとりつつも、仕事を行うことが出来ると面接官は感じます。
現場担当者との面接では、できる限り具体的なエピソードで話ができるように準備をしておくことが大切です。
面接で転職回数が多い理由を聞かれたときは、これまでの転職での軸となる考えをポジティブな言葉で答えます。「あの会社はやりたい仕事をやらせてくれなかった」「給料が安くて不満だった」といったネガティブな答えは避けましょう。
転職の面接ではたいてい退職理由を聞かれますが、転職回数が多い場合はとくにこれまでの退職理由を入念に聞かれる場合があります。たとえ人間関係の問題や待遇を改善したいなどの理由であっても、これからの働き方に焦点を当て、前向きな理由を説明するようにしましょう。
会社が倒産した、体調を崩した、家庭の事情でなど、さまざまな事情で転職せざるを得なくなった結果、転職回数が増えてしまったという人もいます。そういった場合はその理由をはっきりと伝えつつ、消極的な姿勢にならないよう、今後の展望を話してみてください。
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今回は、転職回数が多い方向けに経理転職を成功させるためのポイントを解説いたしました。本文でもみたように、転職回数が多いことは、欠点になり得ますが同時にあなた独自の強みとすることが可能です。過去の実績でアピール材料にできるものを見つけて、転職活動に生かしてみてください。