会社の資産には、「有形固定資産」そして「無形固定資産」があります。無形固定資産であっても減価償却することが可能ですが、原価償却できない無形固定資産も存在します。今回は、無形固定資産とは何なのかという基本的なところから、無形固定資産の減価償却について解説していきます。
法律によって定められている権利は、無形固定資産になります。
特許権は、発明(自然法則を用いた技術的思想の創作のなかで高度なもの)を保護する権利を指します。
実用新案権利は、物品の形状や構造、そして組み合わせによる考案を保護する権利です。特許権と似ているようにも思われますが、特許法には審査があるのに対して、実用新案権は審査無しで取得できます。
商標権は、商品やサービスで使用する商標に対し与えられる独占排他権です。この効力は商標や指定商品に限らず、広い範囲に及びます。商標として保護されるものには、文字、記号、図形、音、立体的形状も含まれます。
商標権について意匠権との違いを含めて詳しくまとめた記事がこちらになります。
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借地権は、建物の所有を目的とした地上権または土地の借地権のことです。借地権には定期借地権というものもあります。
借地権について詳しくまとめた記事がこちらです。
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意匠権は、特徴のあるデザインに対して与えられる独占排他権です。意匠権として保護されるものとしては、物品全体のデザインだけではなく、部分的なもの、画像も含まれます。書作件は絵画などの純粋美術を対象とするのに対して、意匠権は工業利用のデザインが対象になります。
のれんは同じような業種の他の企業と比べ、超過している収益力のことを指します。のれんには「自己創設のれん」そして「有償取得のれん」の2つがあります。ただ、自己創設のれんは賃借対照表への計上はできません。一方、有償取得のれんは無形固定資産として計上が可能です。
のれんについてまとめた記事がこちらです。
研究愛初などにおける会計基準では、ソフトウェアはコンピューターを機能させるために表現されたプログラムなどのことを指します。企業会計上で無形固定資産とされるのは、自社で利用するソフトウェアです。
ソフトウェアについてはこちら。
関連記事:ソフトウェアも減価償却資産!仕訳方法と注意点について
会計上の繰越資産には「株式発行費」「開業費」「創立費」「開発費」「社債など発行費」があります。ただ、これらは会計上では繰越資産として扱わず、無形固定資産として扱います。
減価償却とは、有形無形に関わらず固定資産の使用可能な期間が1年以上であるもの、取得価額が10万円以上であるものの両方を満たすものにつき、行われる会計処理です。これらの取得費を一括にして損金とせず、耐用年数によって分けて経費に計上する会計処理をいいます。経年による劣化に伴い資産価値を減少させ、それとともに売上に費用を配分することが目的です。
ただ、無形固定資産のなかでも、減価償却しないものもあります。具体的には、土地の上に存在をしている「借地権」「地役権」「地上権」です。有形固定資産である土地が減価しないため、土地の上に存在をしている権利についても減価償却はしません。この他、電話加入権についても減価償却は行われないことになっています。
では、どうして無形固定資産は減価償却をするのでしょうか。それは、減価償却をすることでメリットが得られるからです。主なものとしては、次の3つが挙げられます。
償却限度額のなかであれば、減価償却は任意とはされていますが、これはあくまでも法人税法上の考え方です。融資を受けている銀行や取引先などが、減価償却費が計上されていない決算書を見れば、決して良い印象はもちません。なかには利益調整や粉飾決算とした見方をされかねませんので、企業会計原則に沿った適切な減価償却費の計上をしましょう。
有形固定資産が減損処理の対象になることは、よく知られていますが、無形固定資産も同じく減損処理の対象です。無形固定資産とは、将来において企業に利益を生み出すと考えられて資産に含まれています。しかし、その価値が下がったのであれば、決算書上で表示される無形固定資産の金額も減額しなければいけないのです。そして同時に、減損損失が発生することになり、減損処理が行われます。
企業の資産には有形固定資産と無形固定資産があります。そして、無形固定資産でも有形固定資産と同じように減価償却をすることが可能のものもあります。減価償却をしていれば様々なメリットがありますし、信用問題にも関わりますので、しっかりと理解をして処理を勧めましょう。