減価償却資産は建物や機械などをイメージしますが、ソフトウェアも減価償却資産です。ただ、ソフトウェアで注意すべきは、販売目的や社内利用、研究開発などの用途によって計算方法が異なる点です。また、税務上と会計上の取り扱いも違いますので、経理担当者は間違えないようにしましょう。
そもそも、減価償却が何かよく分からないという方は下記のコラムでご確認ください。
固定資産には2種類あり、有形固定資産と無形固定資産に分かれます。
有形固定資産とは、建物やパソコンなど、具体的な形を有する資産価値のある資産です。
無形固定資産とは、ソフトウェアや借地権、特許権など具体的な形を持たない資産になります。
減価償却を行う資産としてよく例題に上がるのが、建物や車両、設備が挙げられますが、ソフトウェアも減価償却の対象である減価償却資産に当たります。
では実際にどのように処理するのでしょうか?順番に見ていきましょう。
ソフトウェアの減価償却をする場合、元となる取得金額を確定させなければなりません。ソフトウェアは、購入する場合とソフトウェアを製作する2種類のパターンがあります。また、購入ソフトウェアと製作ソフトウェアでは、減価償却資産の取得金額に含められる費用は違います。
ソフトウェアの場合、導入する際に会社使用に修正する作業が別途必要になる場合もあります。そのため、その修正作業にかかった費用も、取得価額として含めることが可能です。
一般的な減価償却資産の取得価額に人件費は含まれませんが、自社で製作したソフトウェアの場合には人件費も取得価額に含めます。
ソフトウェアの減価償却は、原則として「定額法」になります。
そして税務上でそのソフトの使用目的によって耐用年数や償却方法が決まっています。
下記で詳しく見ていきましょう。
ソフトウェアの耐用年数は、利用目的によって年数が異なります。また、会計上と税務上の耐用年数も違いますので注意しましょう。
販売目的用のソフトウェア・・・3年以内
自社で利用目的のソフトウェア・・・5年以内
販売用のソフトウェア・・・3年
研究開発用のソフトウェア・・・3年
その他のソフトウェア・・・5年
※その他には自社で利用するためのソフトウェアなどが該当します。
減価償却資産は、毎年一定金額を経費にできるメリットがある一方で、取得した時点で一括で経費に計上できないデメリットもあります。ただ、ソフトウェアの場合には、以下の費用に関しては減価償却の取得価額に算入しないことが可能です。
・製作計画の変更等により、仕損じなど不要になったことが明らかな費用
・研究開発費
※自社利用のソフトウエアについては、その利用により将来の収益獲得や費用削減にならないことが明らかであるものに限る。
・製作等のために要した間接費、付随費用等で、その合計額が少額であるもの
※製作原価のおおむね3%以内の金額
ソフトウェアの仕訳方法には、直接法と間接法があります。会社によって採用している方法は違いますので、注意しましょう。
直接法とは、経費として差し引くことが可能な金額を貸借対照表に記載する方法です。60万円のソフトウェアを3年間で減価償却をする場合、1年で20万円の減価償却をします。直接法を利用した場合には、貸借対照表では残存価額の40万円が無形固定資産として計上します。
固定資産
無形固定資産
ソフトウェア 40万円
間接法は、減価償却資産の金額と減価償却費の累計額の両方を、貸借対照表に記載する方法です。間接法を採用した場合、元々の取得資産と今現在の減価償却した金額が一目で確認できます。
固定資産
無形固定資産
ソフトウェア 60万円
減価償却費累計額 △20万円
直接法と間接法は、貸借対照表の記載方法の違いであり、減価償却費の計算方法は同じです。そのため、いずれの方法を採用しても会計上の問題ありません。
ソフトウェアの耐用年数は、3年または5年の規定はありますが、取得した償却資産が10万円未満であれば、一括償却が可能です。一括償却とは、購入した費用を全額経費として計上できることをいいます。また、10万円以上20万円未満の場合には、3年間の均等償却が可能です。
なお、中小企業の場合には30万円未満の資産は一括償却できるので、経理を行う会社の規模にも注意し、経理業務を行いましょう。
ソフトウェアの減価償却を簡単にまとめます。
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