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【1年で5科目合格できる?】税理士試験合格に必要な勉強時間とは

HUPRO 編集部
【1年で5科目合格できる?】税理士試験合格に必要な勉強時間とは

税理士試験の合格は、一度にすべての科目に合格する必要はなく、科目ごとの合格でも問題ありません。また、すべての科目に合格していなくても、実務経験を積むことは可能です。とはいえ、できるだけ早くに合格し、他の受験生たちとも差をつけたいところです。各科目合格してしまえばその科目は一生有効なので、今回は、1年で複数の科目に合格できるような勉強方法などをお伝えします。

税理士資格を取得するには

税理士試験の受験資格

まず、税理士試験を受験するためには、受験資格を満たしている必要があります。学位による受験資格、資格による受験資格、あるいは職歴による受験資格の3つの内いずれかを満たしていることで受験資格が得られます。
【学位】
法律学または経済学に所属する科目を1科目以上履修し卒業しているか、大学3年生以上の法律学または経済学に属する科目を含めた62単位以上を取得していることが必須となります。司法試験合格者や公認会計士試験の短答式試験に合格した人も対象です。
【資格】
日商簿記検定1級、もしくは全経簿記検定上級のどちらかを取得していないといけません。
【職歴】
銀行・信託会社・保険会社等において、資金の貸し付け・運用に関する事務、法人又は事業を行う個人の会計に関する事務、あるいは税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務を2年以上経験している必要があります。

ただし、令和5年度から会計学に属する科目(簿記論・財務諸表論)に関しては受験資格の制限がなくなり、どなたでも受験することが可能になりました。

税理士試験の職歴による受験資格についてはこちらのコラムでも紹介しています

関連記事:税理士試験の受験資格の職歴について徹底解説

参考:税理士試験受験資格の概要

税理士試験合格の条件

税理士試験は科目合格制をとっています。会計学に属する科目(簿記論及び財務諸表論)の2科目と税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)のうちの選択する3科目(所得税又は士法人税法のいずれか1科目は必ず選択)の計5科目の取得で合格とみなされます。なので一度に5科目受験する必要はなく、複数回に分けて受験していくのが一般的とされています。

会計科目(必須) 簿記論
会計科目(必須) 財務諸表論
税法科目(選択必須) 所得税法
税法科目(選択必須) 法人税法
税法科目(選択) 相続税法
税法科目(選択) 消費税法または酒税法
税法科目(選択) 固定資産税
税法科目(選択) 国税徴収法
税法科目(選択) 住民税または事業税

税理士登録

一つ注意しなければならない点が、税理士試験に合格したからと言って、すぐに税理士になれるとは限らないことです。税理士試験に合格した者、弁護士、または公認会計士が会計に関する事務(経理する事務)などに従事した期間が通算して2年以上は必要です。試験合格、実務経験の2点の条件を満たしてついに税理士として認められます。

1年で税理士になることは可能?

結論から申し上げると、1年で税理士になることができるかという点について、ルール上、これは不可能ではありません。実務経験を税理士試験受験までに2年間以上積んでおき、1回のテストで5科目合格すれば税理士になれます。
ただ実際には、1年で5科目を取れるほど甘くない試験ということも事実です。合格率が20%を超えているのは必須科目の簿記論のみで、他は10%代となっています。また、合格している半分が30代以上であることからも分かるように、ある程度の年数をかけて取得するのが一般的とされています。そんな中で1年で取得するのは、かなり困難だと考えられます。

5科目合格する難易度については下記の項目で詳しく説明しています。)

理想は1年で5科目合格だけど・・・

とはいえ、1年で5科目合格できるなら、頑張りたいと考える人もいるでしょう。しかし、1年で5科目を一気に合格することはほぼ不可能です。最低でも2年、1科目ずつの合格で5年ほどかかることも全然あります。
そのためにも、1年ごとの勉強スケジュールと、2〜3年スパンでの計画を照らし合わせながら進めることが重要になります。
1年間の学習計画で重要なのは、知識を学ぶ期間をきっちり決めておくことです。インプット期間(新しい知識を学ぶ期間)は、8月からスタートして翌年3月か4月までに一巡させるようにしましょう。学習スピードが速い人はこの期間に二巡させることもできますが、通常はまず一巡を確実に完了させることが大切です。これは、ただ単に教科書を読んだ、などではなくしっかりと理解できたというところまで持っていきます。
科目によってボリュームが大きく違うので、その年に受験する科目(複数ならそれら全部)のボリュームを考慮して、4月から逆算する形で計画を立てます。試験が毎年8月に行われることを考慮して、4月までにインプットは終えておいた方が良いのです。税理士試験で最も重要と言われる期間が5月から試験までの直前の期間になります。徹底的に問題を解くことに集中し、解答力を高めていく時期になります。
また、税理士試験は、真面目に全部解こうとしたら時間が足りない場合が多いです。制限時間内にどれだけ確実に得点を増やすかを問われているので、そのことを踏まえて問題を解く練習をしなければなりません。解けない問題が出た場合は、後回しにして、簡単な問題から確実に得点していくなど、問題を解く順番や、それによって集中を切らさないことが大切になります。同じ問題を使用し、繰り返し練習して8月の試験を迎えるというのが1年間の流れです。これだけのことを1年でやりきるために、何科目なら平行して勉強ができるのか、しっかりと自分の能力を見つめ、計画を立てる必要があります。

1年で3科目合格は可能?オススメの合格スケジュールとは?

1年で5科目合格を目指さない場合の合格スケジュール①

できるだけ早く合格したい人は2年間のスケジュールをオススメします。1年目で簿記論(450時間)、財務諸表論(450時間)、選択科目(150時間)、2年目で所得税または法人税(700時間)と選択科目(150時間)。1日3時間の勉強を毎日欠かさずやらないといけないペースとなります。会社員や学生をしながらでも時間的に取ることは可能ですが、2年間毎日続けるのはやはり大変な資格だと感じます。

1年で5科目合格を目指さない場合の合格スケジュール②

時間をかけてゆっくりと合格を目指す方は4年間のスケジュールをオススメします。1年目で簿記論(450時間)、2年目で財務諸表論(450時間)、3年目で所得税または法人税(700時間)、4年目で選択科目2つ(計300時間)。1日1〜2時間の勉強が必要です。会社員や学生をしながらでも十分に時間は取れると思います。

税理士を持っていないと税理士事務所や税理士法人に転職できない?

税理士の資格を持っていなくても税理士事務所や税理士法人への転職は可能です。
会計業界は近年人材不足が続いており、求人のニーズが高まっています。

税理士は税務代理、税務書類の作成あるいは税務相談が主な業務でこれらの業務を非税理士が行うことは法律で禁じられています。よって、税理士資格を保有していない方は「税理士補助」というポジションで税理士の監督下で独占業務の補助的な作業を行います。

税理士資格がなくても「記帳(経理事務)代行」「総務・人事業務の給与計算または年末調整」などができる人は需要が高いです。なので簿記2級を持っている方もこの業界に転職されて多く活躍されています!!

数科目合格されている方などは特に知識が豊富なためニーズが高く、税理士補助としてはもちろん、コンサルティングなどでも活躍が可能となっています。

こういった方々には業界知識をつけるためにも転職をおすすめします

公認会計士試験を選ぶという手も

大学生などが、学位をもって税理士試験を受験しようと考えているなら、税理士試験よりも公認会計士試験を受けた方がリスクが低く、そして早く合格できる可能性が高いという意見もあります。公認会計士試験に合格した者も税理士登録をすることができるという制度があるため、場合によっては公認会計士試験を活用して税理士資格を取るという方法も考えられるからです。

また、近年の税理士試験は会計士試験よりも難易度が高いといわれています。公認会計士試験にも2年間有効な科目合格の制度はあるものの、基本的には全部の科目を1年で受ける場合がほとんどであり、一度に幅広い内容をバランス良く学習しなくてはいけないという面で、税理士試験とは別の難しさはありますが、先述のような1年間の勉強スケジュールをきっちりとこなし、計画的に行っていれば、公認会計士の資格は決して取得しにくいものではないということです。学生や仕事を辞め試験勉強に専念できる環境にある方の場合は、公認会計士試験を受けるケースが多くなっています。
税理士試験と公認会計士試験の違い・比較についてはこちらのコラムで詳しく説明しています。

関連記事:税理士と公認会計士の違いについてそれぞれ解説!

まとめ

税理士試験で1年で5科目合格すれば税理士になれます。ただし難易度はとても高いため膨大な勉強時間と工夫が必要となります。また勉強をしながら実務経験もできる業界であるので、上手く活用していきながら税理士を目指すことをオススメします。

この記事を書いたライター

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