税理士試験を受けるためには受験資格を満たす必要があります。税理士試験の受験資格は複数の種類がありますが、その1つが職歴です。税理士の試験や業務との関連性が高い6種類の事務について、一定以上の期間の業務経験があれば税理士試験を受験できます。今回は、税理士試験の受験資格のうち、職歴について徹底解説していきます。
税理士試験を受験するためには規定された受験資格を満たしている必要があります。受験資格を満たしていない場合は、税理士試験を受験することはできません。
税理士試験の受験資格にはいくつかの種類がありますが、その1つが職歴です。一定期間に特定の事務内容に従事していた職歴を証明することで、税理士試験の受験資格を満たすことができます。
税理士試験の受験資格として認められる職歴は以下の6種類です。
上記の業務はいずれも税理士の業務や試験科目との親和性が高いことから、税理士試験を受験するのにふさわしい経験を有している証明になります。
注意点として、上記のいずれの業務についても通算2年以上従事している必要があります。業務経験があっても、2年以上でなければ受験資格として認められないので注意しましょう。
税理士試験の受験資格となる6種類の業務経験のうち、法人又は事業を営む個人の会計に関する事務については、その業務の範囲が広いため、どこまでが受験資格として認められるかは迷うところです。
この点、法人又は事業を営む個人の会計に関する事務のうち、貸借対照表勘定および損益勘定を設定して経理を行う会計に関する事務に従事した場合は、簿記会計に関する知識と経験が認められるため、税理士試験の受験資格の職歴に該当します。
一方、電子計算機を利用して単純な入出力を行っていただくのみの場合には、簿記会計に関する知識がなくても業務を遂行できるため、税理士試験の受験資格としては認められません。
税理士試験の受験資格について職歴で証明する場合、そのための書類として職歴証明書を提出する必要があります(弁理士や司法書士等の専門職をのぞく)。
職歴証明書に厳密な様式はありませんが、国税庁のHPに用意されている雛形を使うと簡単です。職歴証明書の用紙はA4サイズを用います。
職歴証明書にはまず表題として「証明書」と記載します。職歴証明書の内容として記載する必要があるのは、受験者の氏名、住所、生年月日です。
次に、税理士試験の受験資格を満たす職歴を記載します。いつからいつまでの期間、どのような事務内容に従事していたかを記載します。事務内容以外にも所属や役職も記載します。
注意点として、事務内容はできる限り具体的に記載する必要があります。例えば経理の事務に従事していた場合は単に経理一般と書くのではなく、経理の事務としてどのような内容のことを行っていたかを記載します。
事務内容等が変わった場合には、行を変えて同じように期間と事務内容を記載していきます。
職歴証明書の記載が終わったら、「上記のとおり相違ないことを証明する。」旨の文言を記載し、証明書を作成した年月日を記入します。
職歴証明書で最も重要なことは、自分で記載するだけでは証明書として認められないことです。職歴となる業務を行っていたときに所属していた会社等の所在地、電話番号、会社等の名称を記載します。
そして最後に、その会社等の代表者または人事責任者から、署名と公印の捺印をもらう必要があります。署名と捺印によって、職歴証明書の記載が誤りでないことを証明するためのものです。
税理士試験の受験資格を職歴で証明する場合でも、弁理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、不動産鑑定士等の業務経験に基づいて受験する場合には、職歴証明書ではなく、これらの業務の登録証明書を提出する必要があります。
注意点としては、これらの資格に合格したことを証明する書類ではなく、資格を取得した後に登録したことを証明する書類が必要です。例えば、司法書士試験に合格した証明書だけでは足りず、司法書士として登録した証明書が必要になります。
登録証明書だけでなく、当該業務に2年以上従事したことを証明する書類もあわせて必要になります。書面には業務に従事した期間と業務内容を記載するほか、同業者2名以上の証明も必要です。
なお、受験資格を有することを証明する登録証明書に記載されている氏名と、受験者の現在の氏名が異なる場合は、氏名が変わったことを証明するために戸籍抄本の原本を添付します。
今回は税理士試験の受験資格について職歴を焦点に当てて解説しました。税理士試験の受験資格は職歴以外にも学職や資格、認定などがあります。職歴以外の受験資格について、詳しくは下記のコラムをご覧ください。
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