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収益性分析とは?各指標を知れば徹底した企業分析が可能に!

HUPRO 編集部
収益性分析とは?各指標を知れば徹底した企業分析が可能に!

収益性はより少ない資本で、より大きな利益を生み出す力のことで、収益性が高いほど少ない資本で、大きな利益を上げることが可能です。そのため、収益性が高いと経営戦略や経営状態が優れていると判断されます。こうした企業の収益性分析を行うことにより、企業の収益力を見極めることが可能です。収益性についての説明を行った後、収益性分析の方法などについて触れながら解説を行います。

収益性について

収益性を一言で表すと、企業の稼ぐ力を判断するものです。企業は、株主から自社の株式を購入してもらい、銀行などをはじめとした金融機関から集めた資金を利用して活動を実施し売上を作ります。この売上から費用を引いた値が利益です。そして、少ない資本から利益を生み出す力、売上から利益を残す力が収益性となります。資本を利用し売上を上げる力を示す指標が資本回転率です。売上から利益を残す力は利益率で計算します。
計算式は下記の通りです。

利益率 (%) = 利益 ÷ 売上高 × 100

また、利益と言っても、売上総利益、営業利益、経常利益、当期純利益など様々挙げられます。該当する利益率がどの利益を対象にしたものなのかによって、呼び方や計算方法も当然変わってきます。各利益率について詳しく下記にて説明していきます。

収益分析の指標

収益分析の指標として、取引収益性と資本収益性の大きく2つに分けて考えることができます。
取引収益性は売上をベースにして考える一方、資本収益性は株主や金融機関などから集めた資本をベースにして考える点が違います。それぞれ解説します。

取引収益性

取引収益性は売上高に対し、どの程度利益を上げたかを判定する指標で、売上高利益率を使います。売上は費用と利益により成り立っているため、売上と利益が把握できれば、費用も分かります。そのため、売上高利益率が分かれば、売上高費用率が分かるため、経済性を確認する指標としても使用可能です。経済性とは費用に対する利益の割合のことで、少ない費用で利益を上げれば経済性は向上し、費用に対して利益が少なければ経済性が低くなります。

収益性分析の売上高利益率

先ほどから説明している利益ですが、これらは5つの種類に分類されており、利益の分類は下記の通りです。

・売上総利益(売上高から原価を引いた金額)
・営業利益(総利益から販売費を引いた金額)
・経常利益(営業外収益を足し、営業外費用を引いた利益)
・税引前当期純利益(特別利益を足し、特別損失を引いた利益)
・当期純利益(税引き前当期純利益から税金を引いた金額)

なぜこのように各利益が分類されているのでしょうか?
その理由は総売上から総費用を差し引くと全体的な利益は出るもののどこで費用がかかり、どこで費用が効率よく使用できたのか把握できません。
そこで、利益を計算する損益計算書では、費用の性質ごとに利益を記載する方式がとられています。

この方式により、売上高利益率を求めることができます。売上高利益率の指標と計算式に関しては次のようになります。

・売上高総利益率(粗利率)
売上高総利益率 (%) = 売上総利益 ÷ 売上高 × 100

・売上高営業利益率
売上高営業利益率 (%) = 営業利益 ÷ 売上高 × 100

・売上高経常利益率
売上高経常利益率 (%) = 経常利益 ÷ 売上高 × 100

・税引前当期純利益率
税引前当期純利益率 (%) = 税引前当期純利益 ÷ 売上高 × 100

・売上当期純利益率
売上高当期純利益率 (%) = 当期純利益 ÷ 売上高 × 100

このように売上高利益率は5つに分類されています。

売上高総利益率は、企業が提供する商品やサービスの競争力の高さを判断できます。一般的には高いほど良いと言われるものの業種などにより異なるのが特徴です。売上高営業利益率は、企業の主たる業務における実力を表しており、企業が提供するサービスの競争力が高い、もしくは無駄な資金を使わずに効率的な経営ができていると値が高くなります。売上高経常利益率は、企業の総合的な収益性を示す指標で、金融資産が豊富な企業であれば、経常利益率の値は営業利益率を上回ります。売上当期純利益率は企業全体の収益力を示す値です。

各利益率の目安などはこちらのコラムにて詳しく説明しているので、参考にしてみてください。

関連記事:利益率とは?その計算式と、目安について

資本収益性

資本収益率は資本に対して、どの程度利益が出ているかを判定する指標です。つまり、企業が持っている資本をどれだけ効率的に投入・運用されたのかが分かります。資本収益性は売上高利益率と資本回転率に分けられるため、経済性と資本効率の両方の性格のある指標と言えます。

従って、資本収益性は財務管理、経営分析の手法として多くの企業に利用されているのです。代表的な手法として、ROA(総資本経常利益率)ROE(自己資本当期利益率)があります。ROAは総資本に対して、経常利益をどれだけ獲得できるかを示す指標で、経営状態を表す総合指標です。
計算式は下記の通りです。

ROA(%) = 当期純利益 ÷ 総資本 × 100

ROEは、資本に対しての当期純利益の割合を示しており、企業に投資する価値を客観的に判断できます。
計算式は下記の通りです。

ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

ROEからわかること

ROEを分解すると、ROE=当期純利益率 × 総資本回転率 × 財務レバレッジ と表すことができます。
(当期純利益率= 当期純利益÷売上高×100/総資産回転率= 売上高÷総資産/財務レバレッジ= 総資本÷自己資本)
レバレッジとはてこの作用を表し、つまり自己資本にプラスして借入金によって大きな売上を出す力のことです。また、ROEは株主が投じた資本に対してどれだけの利益を生み出したかを示しています。そして、この利益というのは株主への配当金になるものも含んでいるので、ROEはその企業の配当能力も表しています。

ROEについてはこちらのコラムでも詳しく説明しています。

関連記事:企業の収益性判断に役立つROEとは?その計算式をわかりやすく解説!

収益性分析から見えてくること

収益性分析を行うことにより、企業は自社の収益性を把握できます。それにより、企業は収益性の向上を実現するための課題と改善方法が見えてきます。
例えば、収益率が数年に渡り低下しているのであれば、経営戦略の大幅な見直しが必要です。また、同業他社との比較を行うことで、自社の経営面における強みや弱点を把握することが可能です。自社の期間ごとの比較を行えば、その期間実施していた企業活動の成果を把握することができます。
また、同じ事業年度でも比較ができるため、迅速に戦略の見直しを行うことが可能です。このように収益性分析を行うことで、企業は自社の事業における課題や改善方法の確認が可能になります。

この記事を書いたライター

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