CIAはCertified Internal Auditorの略であり、公認内部監査人と日本語訳されます。内部監査人というように、内部監査のスペシャリストとなりますが、これは内部監査の需要の高まりによって1974年より資格認定が始まり、1999年から日本語でも認定されるようになった資格です。2018年には日本人の認定者が9000人程度存在し、徐々に認知度が上がっている資格であるといえます。それでは、なぜこのような資格が存在するのか。またCIA(公認内部監査人)になるためにどのような過程が必要なのか、あわせてご紹介していきます。
CIA(公認内部監査人)になるには、まずその資格を取得する必要があります。試験は主要大都市のテストセンターにてパソコンを使っての受験となります。3部構成となっており、①内部監査に不可欠な要素、②内部監査の実務、③内部監査のためのビジネス知識について、それぞれ四択で問われます。試験時間はそれぞれ①2時間半、②2時間、③2時間であり、概ねそれぞれ75%以上の正答率で合格となります。
資格認定に際しては、試験合格に加えて4年制大学卒業もしくは3年以上在学の大学生である等、教養の存在を求められます。また、実務経験も求められます。内部監査、監査役監査、外部監査、内部統制に関する業務経験が2年以上必要となります。さらに、上司等の推薦状も求められます。これらを全て揃えることによって資格が認定され、晴れてCIA(公認内部監査人)を名乗ることができます。
試験概要については下記のコラムにて詳しく紹介しています。
《関連記事》
・公認内部監査人(CIA)とは?試験概要と資格取得のメリットを徹底解説
CIA(公認内部監査人)の仕事内容は内部監査を行うことが基本です。内部監査というのは、社長直轄の組織として従業員が企業の規程通りに業務を行っているかどうかを検証したり、法令を遵守しているかどうかを検証したりします。
また、上場企業には内部統制監査という内部統制が適切に構築されているか、また適切に運用されているかを検証する義務があり、これを評価するのも内部監査人です。内部監査人はこのように様々な角度から内部監査を行いますが、最終的に作業内容とその結果をまとめて監査対象部門から改善報告書を受理する役目があります。
このように、内部監査の仕事を行う際に、CIA(公認内部監査人)の資格を持っている場合は高度な知識を持っていることが認められるため、一般的により管理者としての仕事が多くなるといえます。
CIA(公認内部監査人)は、内部監査人としての能力が求められることは当然ですが、幅広い業務内容であるため何らかの能力のスペシャリストであると重宝されます。最も愛称の良い資格は日米の公認会計士と言えるでしょう。
というのも、公認会計士の仕事の一つに内部統制監査があり、企業の内部統制が有効であるかどうかについて監査証明を発行します。内部統制について精通している為、CIA(公認内部監査人)との相性はとても良いと考えられます。また、会計のスペシャリストであるため、経理関係の内部監査をする際にはその能力を発揮することができるでしょう。
CIA(公認内部監査人)の取得人数は近年大幅に伸びていますが、まだまだ日本では取得者が少ない資格であるため、重宝されます。では、気になる年収はどのぐらいなのでしょうか。
漠然とした答えとなりますが、企業によって異なるというのが正解です。まず、誰もが知る超有名企業であれば、海外展開もしていることや仕事内容も高度であるため年収が1500万円を超えるところもあります。しかし、その際は公認会計士資格やビジネス英語が使えるなどのCIA(公認内部監査人)以外の高度なスキルが必要であるといえます。CIA(公認内部監査人)の資格単体では就職が難しい上に求人が公表されていることも少ないというのが実情です。
また、これから上場したい会社の内部監査室もCIA(公認内部監査人)が就職する先としてはあります。これから上場したい会社は内部統制がしっかりと構築されていない上に、そもそも規程があまり存在しないこともあります。最終的には内部統制を評価する仕事をすることになりますが、内部統制を構築することが重要な仕事となります。このポジションはとても大変な仕事ですが、これから上場する会社では内部監査に対する認識もあまりなく、年収は大企業よりも下がる傾向にあります。具体的には500万円から700万円程度が平均的と言えるでしょう。
それ以外にも一般企業の上場会社での内部監査室の仕事があります。一般企業では、ある程度内部統制が構築されていることが多いため、前任者が行っていたことを塗りなおす作業が多くなります。年収としては会社規模や担当するポジションによって異なります。管理者であれば800万円程度の会社が多いといえますし、実務担当者としての配属であれば600万円から700万円が相場といえましょう。
なお、この他にも監査役等のポジションもあります。ただし、CIA(公認内部監査人)単体でのポジションは少なく、どちらかというと監査役に就任する会社に精通していたり、公認会計士等の高度な専門知識が必要となったりします。上場会社の役員であれば1000万円前後の年収は確保されると言ってよいでしょう。
以上、公認内部監査人ことCIA(公認内部監査人)の概要について説明しました。CIA(公認内部監査人)は日本人の認定者が9000人程度とまだまだ人数は少ないですが、徐々に認知が広がっており、活躍できる場もこれから増えていきます。ぜひこの機会にCIA(公認内部監査人)の資格取得過程や、どんなキャリアを歩めるのか参考にしてみてはいかがでしょうか。