企業が在庫を抱えていると、時間の経過とともにその在庫の価値は減少していきます。その価値を会計的に把握するためには、在庫評価損を計上して、価値の減少を貸借対照表に反映させなければなりません。会計的には、この在庫評価損は棚卸減耗損や棚卸評価損と呼ばれます。この記事では、そんな2つの在庫評価損について詳しく解説していきます。
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自動車を販売する会社は、商品である自動車を販売することによって利益を獲得しています。自動車会社がどんなに車を販売する努力をしても、商品である車が売れ残ってしまう場合があります。これは一般に在庫と呼ばれるものですが、この在庫が販売されるまでの間に時間がかかると陳腐化したり、傷がついたりして、価値が下がってしまうことがあります。そうなると、たとえ製造するために100万円かかった車であっても、陳腐化したり傷がついたりして、価値が下がって80万円しか価値がなくなってしまうかもしれません。こうした価値の低下をそのままにしていると、実際の価値は80万円しかない車が、貸借対照表上では商品として100万円の価値があるとして表示されてしまいます。結果として、商品(車)の価値を過大に表示してしまうことになるので、この価値を修正しなければなりません。その修正の方法として在庫評価損を計上するという方法があります。つまり、在庫評価損は、過大に表示されている商品の価値を切り下げる手続きのことを言います。以下では、在庫評価損の計算方法について詳しく解説していきます。
棚卸資産について、企業は期末の在庫の数量を記帳することによってきちんと管理しているはずです。記帳して管理していなければ、在庫が盗難に合っていることもわかりませんし、次回のどれくらい入荷するべきかを考えることもできないからです。
そこで企業は、決算日になると商品の棚卸し(たなおろし)を行ないます。バイト経験がある人は、お店で棚卸しを行った経験があるかもしれません。棚卸しとは、店舗や倉庫に置かれたり、陳列されている商品の数を実際に数えたり,決算日時点の商品の価格(時価)を調べたりすることによって、商品の実際の状況を確認することです。棚卸しをして、それが記帳されている在庫の数と異なる場合というのは、記帳して把握している在庫数よりも実際の在庫の数が多かったり少なかったりしているということです。
棚卸しを実施してみて、実際に在庫数量が不足するとき、その不足分は棚卸減耗と呼ばれます。このような不足が発生している場合には、その金額を棚卸減耗費として把握し、棚卸資産の帳簿価額から切り下げなければなりません。棚卸減耗が発生した時は、発生した期においてこれを費用として損益計算書に計上しなければならないことになっています。棚卸減耗が発生した場合の仕訳は、その発生額を棚卸減耗損もしくは棚卸減耗費などの勘定科目を使い、発生時の費用として処理すると同時に、繰越商品勘定を減額することによって、貸借対照表に計上される資産としての商品を減少させます。
前に述べた棚卸減耗は、紛失や盗難による在庫の数量的減少分です。これを除いた数量が期末に実在する在庫分であるものの、その中には期末の時価が取得原価よりも下落しているものがあります。たとえば、100万円で依然は販売していたものの、現在は80万円で取引がされているものは、取得原価が100万円、時価が80万円となっているため、取得原価よりも時価の方が低くなっている状態です。そのような時価の下落が生じている場合には、資産価値が減少していると考えて、評価損を時価まで切り下げて棚卸評価損を計上しなければなりません。
時価が下落する主要な原因には、物理的な劣化、経済的な劣化、および市場の価格変動の3つがあります。物理的な劣化とは、傷・汚れ・型崩れなど、在庫品の保管や陳列注に品質低下による物理的欠陥が生じたことを言います。また、経済的な劣化とは、物質的に欠損がなくても、流行遅れや新製品の販売による旧式化などによって、資産が経済的に陳腐化して価値が低下することを言います。この他、市場の需給変化に起因して販売価額が低下した場合にも、棚卸評価損が発生します。
商品評価損が発生した場合にも仕訳を行いますが、仕訳するときは、商品評価損の発生額を商品評価損などの勘定科目を使って発生時の費用として処理すると同時に、繰越商品勘定を減額することによって、貸借対照表に計上される資産としての商品の価値を減少させます。
在庫評価損には、棚卸減耗損と棚卸評価損の2種類があります。この2つは、物理的に価値が減少しているのか、経済的に価値が減少しているのかによって使い分けられていますが、いずれの場合でも、端的に言えば、在庫の価値を切り下げているということです。一般に、企業は在庫を抱えないようにします。それは、時間の経過とともに、棚卸減耗損や棚卸評価損が計上されやすくなるからです。そうした状況を避けるためには、きちんとした在庫管理をしなければなりません。
在庫管理に関する記事も公開しています。よろしければご覧ください。
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