早くキャリアアップしたいと思っている経理担当者の方におすすめの勉強の一つが英語です。今ある経理の経験に、英語力をプラスすることで、英文経理ができる人材として、国内大手企業や外資系企業などへのさらなるステップアップに役立てることができます。今回は、経理担当者が英語を勉強する有用性と転職事情について解説します。
国内企業で経理を担当していると、「英語ができなくて困る」という状況はあまりないでしょう。もしかすると、社内でTOEICなどの試験に対する評価があるかもしれませんが、差し迫って必要ではないと、英語を勉強することは、あまり意味のないことに感じられるかもしれません。
しかし、その英語がキャリアアップや転職に役立つとしたらどうでしょうか?
既に経理スキルをお持ちの方に、ぜひおすすめしたいのが、英語の勉強をして「英文経理」ができる人材になることです。
「英文経理」とは、経理事務を英語で行うことで、その内容は、英語で行われた会計を日本の会計基準に置き換えて処理を行う場合や、外資系企業で米国会計基準または国際会計基準で処理を行う場合など、企業によって様々です。
「外資系企業」「国内企業」「会計事務所や税理士法人などの会計ファーム」などでは、日本進出やグローバル化に伴い、英文経理ができるスタッフは引く手あまたです。事務系職種の中では断トツの売り手市場といえます。英語ができることで、キャリアの可能性が大きく開けるのです。
ひとくちに「英文経理」と言っても、その業務で求められる英語スキルは日本企業で働く場合と外資系企業で働く場合で異なります。
英語力には、Speaking、Listening、Reading、Writingの4分野がありますが、書類が多くある英文経理で特に求められるのは、Readingです。まずは書類や会計ソフトの表記に何が書いてあるかわからないと、業務を進めることができません。英文表記の会計ソフトに英語の勘定科目で仕訳の入力ができるレベルに到達することは必須です。
日常的に身近に接している以下のような会計用語については、バランスシート、キャッシュフローなど日本企業でも英語で表したりすることも多いのではないでしょうか?
これに加えて、会計用語や勘定科目は、一般的な英和辞典には載っていないような専門用語がよくありますが、これは日常的に経理業務に接していれば、ある程度類推することも可能です。
例えば、「借方」「貸方」は「dr.」「cr.」と表記したり、「AP /AR」とある場合は、それぞれ「Account Payable(買掛)/Account Receivable(売掛)」を表したりといった具合です。
英文経理で使う英語の略称についてはこちらのコラムで詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
日本企業であれば、経理システムへの入力や、文書作成は英語でも、同僚は日本人であることも多く、日本語で業務におけるやり取りも可能ですが、外資系企業の場合は、周りのスタッフとの会話にも英語力が求められることも多いでしょう。
いずれにしても、会計に関わる英単語の勉強のみならず、メールをはじめとした、取引先・他部門とのコミュニケーションが取れる程度の英語力が求められます。(TOEICであれば、730点以上が目安)
外資系企業への転職をする場合には、会話能力もより高いものが求められますが、英文を書くのに比べ、日本人が苦手とするのは発音です。発音は練習するしかありませんので、仕事終わりなどに時間を作り、英会話スクールなどでしっかりと学んでおきましょう。
英文会計には経理・英語スキルに加えて、国際会計基準の知識が求められます。英文経理に役立つ資格としては、「IFRS検定」「BATIC」や「USCPA」などにチャレンジするのもおすすめです。
「IFRS検定」は、国際会計基準(IFRS)に関する知識などの修得程度を測ることができる試験で、具体的に求められるスキルとしては、財務諸表の表示、有形固定資産、財務諸表の作成や表示に関するフレームワーク、キャッシュフロー計算などです。また、日本語で受けることができるのが魅力です。合格率は50%以上となるケースがほとんどで、中には70%を超える場合もあるので、比較的合格しやすい試験となります。
IFRS検定についての詳細はこちらでもご紹介しています。
「BATIC」は国際会計検定で、基礎的な試験と専門的な試験に分かれていて、英文簿記のルールや国際会計理論への理解度を測ることができます。また、合否ではなく、TOEICのようにスコアで評価され、スコアに応じて4つのレベルに分けて認定がされます。スコアで結果が出るため、自分の知識向上度合いが確認できて、継続学習に適しているという声も多いです。
BATICについての詳細はこちらでもご紹介しています。
「USCPA」は国際的に国際会計に関する実力を示せる「米国公認会計士」(USCPA)のことです。日本の公認会計士より合格率が高いことと、資格そのものの知名度が高いため、合格することによって大きくキャリアアップへの道を開くことができるでしょう。上記2つの検定よりはハードルは上がりますが、取得できると英語に強い経理担当としてのキャリアに大きくプラスに働くでしょう。
USCPAについての詳細はこちらでもご紹介しています。
日本では、就職活動をする際に「履歴書」と「職務経歴書」を用意しますが、外資系企業では履歴書の代わりに「レジュメ」と呼ばれる書類を提出する必要があります。「レジュメ」は日本の履歴書とは異なり、決まったフォーマットはなく自由に自分をアピールすることができます。レジュメには
・氏名・連絡先
・希望職種
・職歴・学歴
・保有資格
を記載します。日本の履歴書と異なる点は、
・性別
・年齢
・顔写真
の記載が必要ない点です。また、日本では謙遜が美徳とされる風潮もありますが、レジュメでは自分の強みをしっかりとアピールする必要があります。外資系企業で英文経理のポジションを獲得するためには、魅力的な文章に仕上げて、採用担当者に「この人と一緒に働きたい」と感じてもらえるようなレジュメにしましょう。
外資系企業は、3月・9月決算が多い日系企業とは異なり12月決算の企業が多くあります。そのため、秋ごろに次年度の予算が組まれることになります。そこで新年度に新たな人材を迎え入れるために10~12月に求人を出す企業が増えます。こうした背景より、外資系企業での英文経理で転職を考える方は、秋ごろからレジュメ等の準備をするのがおすすめです。
英文経理の経験がない方は、
・英文経理は未経験だが、経理の経験はある
・ビジネスレベルの英語力はあるが、経理は未経験
のパターンに分かれるのではないかと思います。
自分の強みと、足りない部分はこれから補うという高い意欲をアピールしましょう。
すでに英文経理の経験がある方は、即戦力として活躍することを期待されます。
自分の経験や強みがどのように会社に貢献できるか、採用側があなたの活躍を具体的に想像できるかたちでアピールしましょう。
国際化が進む社会で、どの企業も共通で今後ますます英語業務に対応できる人材が求められるようになります。経理についても同様で、上記で説明したような英文経理や国際会計基準に対応した資格を有している方への需要が上がるでしょう。
実際に金融庁が発表しているデータによると、国際会計基準(IFRS)を適用している日本企業の数は2017年の段階で135社あり、これは日本の全上場企業の時価総額に占める割合で22.59%となっています。大手企業で挙げると、伊藤忠テクノソリューションズ、ファーストリテイリング、楽天、双日、三菱商事などが国際会計基準(IFRS)を適用済みとなっています。
このように大手企業を中心に英語ができる経理人材の求人数がさらに増える見込みです。また、大手に限らず中小企業や創業間もないベンチャー企業でも海外進出が積極的に行われていますので、そういった企業からも英語対応した業務ができる人が求められるようになるでしょう。
将来転職を考えている場合は、今から徐々に英語の勉強を始め、上記で紹介したような資格を取っておくことが望まれます。
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以上のように、経理スキルに英語力をプラスすることで、現在より大幅なキャリア・待遇アップが見込めるのが「英文経理」の魅力です。日本では会計基準の国際的基準への統合を進めていることもあり、国際会計基準のスキルもあわせ持った人材へのニーズが高まっていくことは明らかです。今後のステップアップを目指したい方は、国内だけでなく外資系企業も視野に入れ、ぜひ英語力を身につけてみてはいかがでしょうか。
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