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労務の仕事内容とは?人事との違いや活かせる資格、仕事のやりがいなどを解説!

ヒュープロ編集部 川辺
労務の仕事内容とは?人事との違いや活かせる資格、仕事のやりがいなどを解説!

労務は企業の「ヒト」に関する重要な業務であるため、多くの企業で担当者が設置されており、その認知度も高いでしょう。一方で、具体的にどのような仕事なのかについては広く知られておらず、同じ部署が担当しがちな人事と混同されることも少なくありません。本記事では、そんな労務の仕事内容について紹介していきます。

労務とは?

労務とは、企業内の従業員の労働に関する業務を指します。この「従業員」の中には、正社員だけでなくアルバイトやパート業務委託などといった様々な雇用形態の方が該当します。
「ヒト」が働きやすい企業づくりのために労働環境の整備や制度の導入・運用などを行うため、労務以外で働く方にも身近な存在といえるでしょう。

営業部などの直接売上に関わる部門(直接部門)ではないことから、間接部門と呼ばれることがあります。他の間接部門に該当する、経理・財務、人事、法務などとまとめてコーポレート部門管理部門と総称する企業も多いです。

労務の仕事内容

では、そんな労務とは具体的にどのような業務を実施しているのでしょうか?代表的な以下の6つの業務について解説していきます。

・勤怠管理
・給与計算
・年末調整
・社会保険の手続き
・就業規則の作成/管理
・安全衛生管理

勤怠管理

勤怠管理は、営業部など他の部署で働く方が最もイメージしやすい業務でしょう。
従業員の出退勤や休憩、残業などの時間や、欠勤や遅刻・早退、有給休暇などの申請や承認などを管理する業務です。

社会人として働く方の多くは、出退勤の打刻漏れや休暇の申請漏れなどで、指摘を受けた経験があるのではないでしょうか?これらは、従業員の正確な労働状況を把握するために必要であり、企業にとって不可欠な業務なのです。

給与計算

給与計算はそのままの意味ではありますが、従業員の給与がいくらなのかを計算する業務です。日本では月給制を採用している企業が多いため、労務担当者は月次でこの業務を行うことが一般的です。

基本給が決まっているからといって、月給が簡単に算出されるわけではなく、手当や残業代の加算のほか、社会保険料や税金の控除も行わなくてはなりません。従業員の生活に関わる給与を確定させる業務になるので、正しい知識に基づいて正確に計算する力が求められます。

年末調整

年末調整も多くの社会人に馴染みのある言葉の一つでしょう。
年末調整における労務担当の役割は、従業員から提出される扶養控除申告書や保険料控除申告書などの書類を回収し、必要な情報を確認・集計することです。
それらの書類は従業員自身が書くことになりますので、年に一回この書類を書く機会が誰しもにあるため、年末調整の認知度は高いといえます。

この書類をもとに正確な控除額を計算し、その年の納税額を確定させる必要があります。場合によっては過払いの税金が従業員に戻ってくるケースもありますので、企業にとっても働く従業員にとっても重要な業務です。

社会保険の手続き

従業員の加入する社会保険の手続きを行うのも、労務の仕事の一つです。社会保険には健康保険介護保険雇用保険などが該当し、従業員の権利や義務を守るために、法律に則って加入の手続きをしなくてはなりません。また、従業員が加入した保険の適用対象の事象が起きた場合、適切かつ迅速に申請を行うことも重要です。

就業規則の作成/管理

就業規則は、労働基準法によって10人以上の常時労働者がいる事業所に作成と届け出が義務付けられているため、該当企業は適切な届け出を行わないと法令違反となってしまいます。
就業規則には、労働時間や休憩時間、休日・休暇、基本給や昇給など労働賃金の決め方から、退職や解雇に関する条件、労働者が守るべきルールまで、記載します。これらの策定はもちろん、労働基準監督署に届け出を行うところまでが労務の仕事です。

安全衛生管理

安全衛生管理とは、労働者が安全かつ健康的な環境で働けるようにするための業務です。これだと具体的な業務が想起しづらいかもしれませんが、その業務の一つである健康診断の受診手続きやその案内をする仕事などは、イメージしやすい方が多いのではないでしょうか。
2020年以降で発生したコロナウイルスのまん延も影響し、健康診断以外でも従業員の健康を保つことは、円滑な企業活動を維持するにあたって重要性が増しています

労務と人事の違いとは?

ご紹介したように人事と労務は同じ部署や担当者が受け持つことが多いため、その境目が分からないという方もいらっしゃるでしょう。
しかし、実際の仕事内容は大きく変わります。それは、人事の仕事が企業活動に必要なヒトを採用すること、そして採用したヒトが想定通りの活躍をできるような環境を整備するのが目的だからです。
従業員が入社する前の採用広報採用面接求める人物像の決定などは全て人事の業務です。また、入社した従業員に関しても研修や教育フローの策定人材配置(異動)などは人事が行います。さらに、従業員のパフォーマンスを評価し、査定(給与)に反映させる人事評価も人事の仕事です。

労務と人事、両者の仕事の違いについて、以下の記事も併せてご参照ください。

労務として働くやりがいとは?

売上という明確な成果が見えやすい直接部門と違って、数字的な目標が無いことが多い間接部門では、達成感ややりがいを感じにくいと考える方も多いようです。
そんな中で労務の仕事にはどんなやりがいがあるのか、以下に挙げた代表的な3つのポイントをご紹介します。

会社の成長に内部から貢献できる

労務は。会社内部の当事者として課題解決に貢献することができます。所属する会社の構造や経営戦略まで深く把握した上で業務する必要がありますが、その分、当事者として課題解決に当たることで、やりがいを持って働くことができたり、より本質的な課題を発見できたりします。

最前線の現場で労務業務を経験できる

企業の労務として働くことで、様々な課題を知ることができたり、その解決に直接携わることができます。
労務のコンサルティング業務などを行う社労士事務所では企業の労務担当が解決済みの問題についてのコンサルをすることは無いので、現場で起きている問題の一部しか知りえない可能性もありますが、企業の労務は基本的に全ての労務問題を部署内で解決していきますので、経験値は上がっていくわけです。
速いスピードで成長し専門的なスキルを身に付けていけるという点は、やりがいに感じられるという方も多いです。

従業員に感謝される仕事ができる

労務の担当者の中で、この理由が最も大きいと答える方は多いのではないかと考えられます。
労務担当者は、従業員から「こういう場合の手当はいくらくらいもらえるの?」とか「休暇の申請ってどうやるの?」などと、疑問を投げかけられることが日常茶飯事です。それらの身近な疑問を解消するだけでも、十分感謝されるでしょう。

ただ、従業員のより良い働き方を実現するために、労務は他にも様々な課題を解決しようと尽力しています。
働き方改革が進む今でも過度な残業が黙認されていたり、給与体系に不満を抱える人はいまだにいらっしゃるのが現状です。そんな課題を改善することで同じ会社で働く従業員に感謝されるのは、この上ないやりがいに感じる方も多いようです。

労務の仕事に活かせる資格とは?

ご紹介したような労務の仕事に活かせる資格は多く存在します。しかし、その活かせる程度にはバラつきがあるのも事実です。ここでは、そのうち最もオススメの社会保険労務士資格をご紹介させていただきます。

もちろんよく労務に活かせる資格として紹介される、労務管理士、MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)、衛生管理者などの資格も活かせないというわけではありませんが、活かせる度合い、つまり労務における市場価値は社会保険労務士資格が圧倒的に高いといえます。

社会保険労務士資格は難関国家資格と呼ばれ、2023年の社労士試験については合格率が6.4%という結果でした。合格すれば、労務に関する高いレベルの知識を保有していることを証明できるだけでなく、「2年以上の実務を経験する」もしくは「連合会が実施する事務指定講習を修了する」して全国社会保険労務士会連合会の名簿に登録することで社会保険労務士を名乗って仕事をすることができます
また、それと同時に社労士の独占業務を行うことも可能になります。この業務は社労士以外の人が行うことができないため、労務の仕事に直接的に活かせるようになるでしょう。

労務に求められる重要なスキルとは?

労務担当者には、社労士資格労務に関する専門知識、また最新の労務に関する法制度をキャッチアップできるスキルが必要とされます。
ただそれに加えて重要なのは、従業員との対話能力コミュニケーション能力です。労務担当者は社外からコンサルティングを行うのとは違って、会社内部の当事者として問題解決や制度設計をする仕事です。ですので、従業員の悩みや経営陣が感じている労務に関する課題のボトルネック共通認識として持ち、解決に導かなくてはなりません。そのためには、社内でのコミュニケーションを積極的に取る姿勢が不可欠であるといえます。

労務職の転職を検討されている場合は、スキルや資格だけでなく、円滑なコミュニケーションを取れることをアピールできると良いでしょう。

労務職に向いている人

ここまでご紹介した内容を踏まえて、労務職で働くのに向いている人の特徴は以下に該当する人であるといえます。

裏表がなく、コミュニケーション力が高い人

先ほどご紹介した通り、コミュニケーション能力は労務として働くには重要な要素です。労務では社内の従業員との対話が必要なシーンが多く、かつ相談されやすい人柄、つまり信頼できる人柄であるかどうかが大きなカギとなります。

コミュニケーション不足や話しかけづらい雰囲気があると、労務が把握できる範囲外で問題やトラブルが起きてしまうリスクにも繋がりますので、そういった働き方が苦ではない方に向いていると言えるのです。

企業の課題に当事者意識を持って向き合える人

企業によって労務職に求める役割は変わりますが、いずれにしても重要なポジションとして認識している企業がほとんどです。転職を検討する方は、選考を受ける段階でその企業がどんな役割を求めているかを知るために、求人票の情報だけでなく、企業のビジョンやそれに対して今必要なものまで知っておかなければなりません。

ビジョンに共感した上で、その達成に貢献するためにどのような役割を果たしていきたいのか、というところを考えられる人に適性があると言えるのです。

従業員から感謝されることにやりがいを持つ人

労務職として仕事をすることは企業の従業員の権利を守ったり、働き方の選択肢を増やすことに繋がりますので、従業員からの感謝が一番の見返りとも言えます。
ですので、人からの感謝を身近に感じて仕事がしたいという方には適性があります。

まとめ

今回は労務がどんな仕事をしているのか、そしてそのやりがいや向いている人の特徴などについてまとめました。専門性は高いですが、どの企業でもなくてはならない仕事なので、いわゆる手に職をつけられる仕事といえます。
そんな労務職に挑戦したい方や、労務として働いているが別の会社の労務に転職したいという方は、士業・管理部門特化の転職エージェントであるヒュープロをご活用ください。幅広い求人の中からご希望にマッチした案件をご提案するだけでなく、書類添削や面接対策なども手厚くサポートさせていただきます。ぜひご相談から、お待ちしております!

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINE編集部の川辺です。転職エージェントとして多くのご登録者様からご相談をいただく際に伺った転職に際しての悩みや不安、疑問を解消する記事をご覧いただけるよう、日々奮闘中です!士業や管理部門、FASなどの業界に就職・転職をご検討されている方は、ぜひ業界特化の転職エージェントである、「ヒュープロ」をご活用ください!ご相談はヒュープロ公式Xまでお気軽にどうぞ!
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