士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所|HUPRO MAGAZINE
士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

カテゴリ

社労士の就職先とは?最新の就職・転職事情を解説します!

ヒュープロ編集部 川辺
社労士の主な就職先とは?業務経験は就職に必要?最新の就職・転職事情を解説します!

難関国家資格と呼ばれる社会保険労務士ですが、実は様々な就職先が選択できます。ただ就職・転職活動においてどれくらい有利に働いているのか、また企業や事務所は実務経験のある人しか求めていないのか、特に未経験の方は気になるのではないでしょうか?
今回は社労士の就職事情や就職活動の進め方について解説します!

社労士は就職・転職に不利?

社会保険労務士は難関国家資格と呼ばれ、2023年の社労士試験については合格率が6.4%という結果でした。
そんな難関資格なのに「就職活動に不利だ」とか「社労士は就職できない」などと言われることがあります。なぜそんなことを言われるのか、またそれは事実なのかを見ていきます。

社労士が就職に不利と言われる理由

社労士が就職に不利と言われる理由はいくつかあります。それぞれ解説していきます。

社労士資格保持者が増えている

全国社会保険労務士会連合会が発表している「社会保険労務士白書 2022年版」によると2021年時点で44,203人が社労士として登録しています。
右肩上がりで登録人数の増加が続いており、今後も増加し2030年には50,000人を超えるとの予測がされています。
これによって相対的に倍率が高くなっていることから、資格取得への険しい道のりに見合うほど有利に働かないというイメージを持たれることがあります。

応募可能な社労士事務所の求人が少ない

社労士の代表的な就職先の一つに社労士事務所が挙げられます。社労士事務所は従業員数10名未満といった小規模事務所が多い傾向にあり、採用などを行う人事担当がいなかったり、欠員が出た時以外で採用する必要が無かったりと、求人が多く出にくい環境です。

よって社労士は増え続けているのに社労士事務所の求人が少ないということになるので、より一層社労士の求人は高倍率であるという印象が強まっているのです。

実際に社労士は就職に不利なのか

では本当に社労士資格を取っても就職や転職において有利にはならないのでしょうか?
率直に申し上げますと、社労士資格は就活や転職活動において不利な要素より断然有利な要素が多いです!社労士の就職先では、専門的なポジションを除くと資格を持っていない求職者も応募している求人がほとんどです。実務経験がない場合でも他の実務未経験者と比べると有資格者はかなり有利に選考を進めることができます
また、求人数についても現在は社労士事務所だけでなく様々な業種の企業や事務所で社労士募集の求人が出されているため、必ずしも「供給過多」という市場動向でもありません
さらに、社労士の知識を持っているということの担保になるだけでなく、向上心や集中力を保って試験勉強をしてきたことの証明にもなりますので、選考でアピールする要素をさらに増やすことができるのです。

社労士になるために必要なこと

実は社労士試験に合格するだけでは社労士になることはできません。何をすれば社労士になれるのか、確認していきましょう。

社会保険労務士試験に合格する

まずは社会保険労務士試験に合格する必要があります。社会保険労務士試験は全国社会保険労務士会連合会試験センターがする国家試験です。2022年度実施の試験の合格率は5.3%で直近10年間は10%未満が続いていることなどから難関国家資格と呼ばれています。

全国社会保険労務士会連合会の名簿に登録する

晴れて社労士試験に合格してもすぐに社労士になれるわけではなく、全国社会保険労務士会連合会(連合会)の社労士名簿に登録する必要があります。そのためには次のいずれかを満たす必要があります。

2年以上の実務を経験する
連合会が実施する事務指定講習を修了する

社労士の就職先

社労士を活用した就職先は社労士事務所だけではありません。ここでは代表的な5つの就職先をご紹介します。

社会保険労務士事務所

社労士の就職先といえば、まずはやはり社労士事務所・社労士法人です。企業や個人のクライアントから人事・労務の相談や依頼を受けるコンサルティング業務や社会保険手続きの代行などが主な業務となります。社労士事務所は独占業務などで社労士の知識をそのまま活かせるので、人気の就職先となっています。
社労士事務所の求人を見てみる

一般企業の管理部門

社労士は一般企業に勤務する形で管理部門に所属することも多いです。主に労務部や人事部、総務部に配属され、企業内の従業員の社会保険手続きや労務業務を行います。働き方が柔軟な企業を選べたり、興味のある業種の企業を選ぶことができることからこちらも人気の高い求人です。
人事・労務の求人を見てみる

コンサルティング会社

企業の人事や労務の課題解決を行うコンサルティング会社も社労士の就職先の選択肢としてあります。クライアントである企業のコンプライアンスを保つために密接に関わることができ、信頼関係を構築できるので、やりがいの大きいことがが魅力です。
なお、同様の業務を行っている社労士事務所に併設されていることもありますが、個人・法人をクライアントに持つ社労士事務所と違い、コンサルティング会社は企業のみをクライアントとすることが多いです。

会計事務所(税理士事務所)

会計事務所に社労士がいるというのはイメージがつきにくいかもしれませんが、実は就職先の一つとして考えることができるのです。所内に社労士を抱えることでクライアントの労務に関するアドバイスを税務に関するアドバイスと併せてワンストップで行うというサービスが増えてきています。業務内容自体は社労士事務所と変わりありません。
会計事務所の求人を見てみる

弁護士事務所・法律事務所

弁護士事務所や法律事務所と社労士も実は関わりが深いのです。労務に関する相談や訴訟に対応する際に、労務のスペシャリストである社労士がいると連携して課題解決することが可能になるからです。クライアントからの依頼を受けるのと併せて、事務所の労務や人事を担当しているケースもあります。

独立開業するという選択肢も

ここまで社労士の代表的な5つの就職先をご紹介しましたが、どこかに勤務することなく独立して社労士事務所を開業するという選択肢もあります企業や事務所で働く勤務社労士に比べ、クライアントを自分で探したり営業力や経営力が高いレベルで求められるので安定した働き方とは言えませんが、軌道に乗せれば高年収が狙えることもあり、魅力的に感じる方も多いようです。

社労士の年収事情

厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると社労士の平均年収は約496万円です。
ただ、企業や事務所に雇用される勤務社労士と独立開業した社労士とで事情が異なっていますので、それぞれに分けて見ていきましょう。
<関連記事>

勤務社労士の場合

勤務社労士は勤務先が一般企業か士業事務所なのかによっても変わってきます。
一般企業の場合は業界や業績、給与水準だけでなく任せられる職務内容やその範囲も千差万別なので一概に言えませんが、場合によっては800万円以上の年収の方もおり比較的高水準になります。
一方で社労士事務所の場合は年収300万円~500万円程度と、社労士の平均に比べると低めであるとされています。特に未経験の社労士の場合、独立するまでの期間は修行や研修であるという考え方が業界的にあったり、少数経営の事務所でお金の余裕が無いなどの理由により、給与水準が抑えられていたりするケースがほとんどです。

独立開業した社労士の場合

開業社労士の平均年収は400~500万円であるといわれています。
社労士全体の平均年収と比べると少ないですが、それは開業したてで顧客がほぼいない状態の社労士も含めた数字であり、営業力の向上や人脈を増やすことで多くの顧客を獲得したり継続して利用してもらうことで事業を拡大できると、年収1000万円などといった高年収も狙えるのです。

社労士の将来性は?

「社労士の仕事はAIにとられてしまう」と言われることがあるのをご存じでしょうか?こういった声を聞くと社労士は将来使えない資格になるのではないかと危惧される方もいらっしゃるかもしれません。しかし現実はその逆で、社労士の需要は高まっているのです。なぜなら、多くの企業が働き方改革労働環境の改善に追われており、その相談が社労士に寄せられているからです。
そういった労務相談労務コンサルティング3号業務と呼ばれ、社労士の独占業務とされています。
この3号業務はAIに奪われない社労士にしかできない業務と言われているため、社労士のニーズは将来的にも高い状態が続くと予測されています。
<関連記事>

社労士はどんな人が向いている?

社労士は営業職のサラリーマンとは違って仕事するイメージが湧きづらいと言われます。どんな人が向いているのかも同様に想像しにくいのではないでしょうか。ここでは向いている人の3つの特徴をご紹介します。全てに当てはまっている必要はなく、いずれかに該当するだけでも適性があるといえます。

数字を扱うことに抵抗がない

給与計算などの業務において必ず数字を扱う機会はありますので、無難に扱えるとよいでしょう。難しい計算をするわけではありませんが、クライアントや勤務先の従業員の給与という重要な数字を扱うので、ミスをしない確実性や同じ業務を繰り返す中での高い集中力が求められます。

ビジネスコミュニケーション力がある

企業の役員以上からの相談も多くあるため、単に良好な対人関係の構築ができるだけでなく、社会人としてクライアントとの会話やメールでのやり取りを正しい言葉遣いでできる能力が求められます。社会人経験がある場合は、基本的には問題ないでしょう。

労務や雇用の問題に対して興味がある

社労士は労務のスペシャリストとして労務や人事の問題には誰よりも詳しくなくてはなりません。そのためには度々改正される法律や時事的な問題を常に把握し、業務に活かせるようにする必要があります。ですのでそのような労務の知識を身に着けるためのモチベーションがある方は、かなり向いているといえます。

未経験からの就職や転職を成功させる4つのポイント

実務経験が重視される社労士の求人ですが、もちろん未経験の求人がないわけではありません。しかし、未経験者向け求人が少ない一方で、未経験からの就職・転職希望者が増えているので、必然的に倍率が高くなっています。そんな中で未経験からどうしたら内定を勝ち取ることができるのか、4つのポイントをご紹介します。
<関連記事>

職種や業界への志望動機を明確にする

まずはなぜ社労士を活かしたポジションに就きたいと考えているのか、自分自身でも理解しておく必要があります。人それぞれのきっかけや志があって応募するので、志望動機に正解はありません。しかし履歴書への記載はもちろん面接時にも聞かれることが多いポイントなので、なんとなくで作成するのではなく、「なぜそう思ったか?」を自問し続けることで明確な志望動機を見つけましょう。また、それを面接時にもアウトプットできるよう準備しておきましょう。

その企業への志望動機を明確にする

次になぜその企業に応募した理由も落とし込みましょう。同じポジションの募集は沢山ある中でなぜその企業を選んだのかは、書類選考でも面接でもほぼ必ず選考基準に入っています。志望動機の完成度が低かったり他の企業でも通用するような内容だと、志望度が低いもしくはもし入社してもすぐ辞めてしまうかもしれないという懸念に繋がってしまいますので注意が必要です。企業情報や求人を仔細に確認し、相手に熱意が伝わるような内容にしましょう。

関連資格も取得しておく

社労士の求人では会計系の簿記やファイナンシャルプランニング(FP)との相関性が強いとされています。
特に日商簿記2級やFP2級などの資格を併せ持っている場合はプラスの評価に繋がりやすいので、必ず履歴書に記載するようにしましょう。

事前に業界でのアルバイト経験をしておく

特に社労士事務所ではアルバイトを募集している事務所もありますので、事前に経験を積んでおくと社員ほどではありませんが、経験を積むことができます。未経験者の中では一歩リードするアピールポイントとして活用できるので、具体的な経験業務の内容を伝えられるようにしておきましょう。

40代から社労士合格を目指すのは遅い?

40代以上で社労士資格に合格する方も多くいるのが現状です。
第54回社会保険労務士の合格者発表によりますと、令和4年に行われた社労士試験の合格者のうち、
40代は全体の31.7%、50代は全体の20.1%、60代以上は全体の7.1%であり40代以上をまとめると全体の58.9%を占めており、最高齢では75歳の方が合格されていると発表されています。ですので40代からでも社労士資格の取得を目指すのは全く遅くないといえます。
しかし、40代以上は社労士資格を取得できても実務経験やスキルが無い場合は、転職活動において経験者との椅子の取り合いになることを考慮する必要があります。

社労士として有利な就職・転職活動をするには

社労士は難関国家資格ですが、所持しているだけで簡単に就職・転職できるとは限りません。どのように就職・転職活動を進めるのがよいのか、見ていきましょう。

実務経験やスキルがある場合はアピールする

社労士資格と併せて実務経験がある場合はかなり選考においては有利になります。経験年数を記載するだけでなく具体的にどのような業務をどのくらい経験したのか、またそれが応募先にどのように活かせるのかを面接官に伝えることが大切です。

英語力をアピールする

本来、社労士が業務内で英語を使うシーンはほとんどありませんが、直近の転職市場においては実は英語力のある社労士人材が求められているのです。ヒュープロでは多くの社労士向けの求人を取り扱っておりますが、TOEIC850点以上を獲得していると英語が使えるという評価になる傾向にあります。
外資系企業の日本進出外国人労働者の増加により実際に英語力を必須・歓迎とする求人も多く、選考でプラスαの評価になったり、年収の提示が通常より高くなるといったメリットがあります。
また、実務経験がなくても英語力があれば応募できるなど、要件が下がることもあります。
<関連記事>

人材エージェントを活用する

就職・転職活動にあたって、自分で応募する求人を探したり面接の日程調整をするのは骨が折れるものです。そこで活用すべきなのが人材エージェントです。

希望の条件やご自身の経歴などを伝えることで効率的に求人を提供され、日程調整もエージェントが実施してくれます。内定を複数社もらった際に断りをいれてくれるなど、心理的負担のある対応もする必要がありません。そういったサービスを無料で受けられるエージェントが多いのも特徴です。
士業・管理部門の転職エージェント「ヒュープロ」では、社労士事務所や社労士法人、一般企業の労務職などでの転職をお考えの皆様のキャリアをサポートさせていただいております。選考にあたって書類添削や面接対策の手厚さや、業界特化だからこそ持ち得ている企業情報や市場感の知識の深さには定評があります。
社労士法人の転職・求人情報を探す

まとめ

今回は社労士の就職先事情について解説しました。社労士資格は難関国家資格と言われるだけあって、就職・転職活動においては有利に働く資格です。社労士事務所以外にも社労士が求められる職場が多くあることも紹介させて頂きました。しかし、持っているだけでどこでも働けるわけではありませんので、しっかり対策をして、希望の就職先から内定を勝ち取れるようにしましょう!

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINE編集部の川辺です。転職エージェントとして多くのご登録者様からご相談をいただく際に伺った転職に際しての悩みや不安、疑問を解消する記事をご覧いただけるよう、日々奮闘中です!士業や管理部門、FASなどの業界に就職・転職をご検討されている方は、ぜひ業界特化の転職エージェントである、「ヒュープロ」をご活用ください!
カテゴリ:転職・業界動向

おすすめの記事