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通年採用とは?通年採用のメリット・デメリットとあわせて解説!

HUPRO 編集部
通年採用とは?通年採用のメリット・デメリットとあわせて解説!

日本では毎年決まった時期に開催されていた、新卒採用。新卒一括採用とも呼ばれ、従来では企業と学生にとって効率的な仕組みでした。しかし、海外の学生や帰国子女の方などにも採用の幅を広げる企業は、柔軟に学生を確保したいと考えています。そんな状況下で導入されつつある通年採用に関してわかりやすく解説します。

通年採用とは?

通年採用とは、一年を通して、必要に応じて新卒・中途を問わず採用活動を行うことです。
欧米や外資系企業では当たり前の採用方法で、日本でも中途採用については通年採用をする企業は多いのですが、長らく春に新卒者を一括採用する企業が多数を占めてきました。

しかし近年では、国内の学校だけでなく、海外からの留学生や帰国子女の採用における秋採用も増加しており、新卒でも採用時期や対象が多様化しています。

また、新卒獲得の厳しさが増して採用予定数に届かない、内定辞退者の補てんが必要になるなどの理由から、継続的に採用活動を行う企業も増えています。

新卒採用はなぜ決まったスケジュールだった?

日本で主流の「新卒一括採用」は、なぜ横並びで行われてきたのか疑問に思ったことはないでしょうか?

新卒一括採用は1953年に企業側・大学側が「就職協定」を結んだことをきっかけにはじまりました。当時は朝鮮戦争の特需で高度成長期。人手はいくらでも欲しいのでなるべく早く採用を確保したい企業側と、学業を優先させたい学校側がそれぞれの意見を取り入れて策定したものです。学生の本分である勉強を邪魔しないように、卒業予定者の採用の時期を限定する協定を結んだことがはじまりです。

その後も、就職協定の廃止後は経団連主導の「就活ルール」などで、新卒に対する説明会や選考の「解禁日」を儲けることで、一定のルールを作ってきました。しかし、これらはいわゆる紳士協定で、法令ではありません。

そのため、ここ数年は発展が著しい外資系企業やベンチャーなど、経団連に加盟していない企業も新卒採用に参入することで、就職活動の早期化や長期化に拍車がかかり、優秀な学生を囲い込むための「インターン」からの「青田買い」が通例となったことで、結局は企業も学生も負担が増えていました。

そこで、2021年卒の学生の就職活動がはじまる2020年以降は、日本における新卒採用については経団連にかわって政府が主導することになったのです。

しかし、結果的には2021年・2022度卒の新卒入社学生は現行日程を維持することが正式決定となりました。大学3年生の3月に企業説明会、4年生の6月に採用面接、10月に内定がそれぞれ解禁となります。

日本の新卒一括採用は、新入社員を同時に多数入社させる大手企業にとっては、教育も同時に行うことができ社員の質の均一化を図るという面においては、ある意味良い手段でした。例えば、欧米などでは経験者採用が当たり前のため、新卒の場合は無給のインターンで経験を積んだうえで経験者に勝たないと就職できないということが普通のため、若年層の高い失業率につながっていた現状があります。

通年採用に大きく舵を切るかと思われた新卒採用ですが、まだまだその道のりは遠そうです。

通年採用に切り替えるメリット

企業は新卒採用以外の採用を行っていないわけではありません。中途採用だけでなく、海外の大学は9月が始業なのでその時期に合わせておこなうなど、徐々に通年採用への動きは始まっています。通年採用に切り替えるメリットとしては、以下の点があげられます。

①企業の状況に応じて必要な時に人材を採用できる

景気変動や急な業績修正、業務の拡大などで人材が必要な場合、好きな時に採用が可能です。

②留学経験や他社経験などがある多彩な人材を採用できる

海外の大学は9月始業のため、日本の新卒採用スケジュールにあいません。また、早期に採用が決まった優秀な学生が、実際に入社した後にミスマッチを感じて退職しても早めに救いあげることが可能です。

③内定辞退されても、補充がしやすい

一括採用だと、内定を辞退された時点で既にほかの学生も内定してしまっているため、その時点で人数の補充が難しい状況にありました。そのため、企業間で内定を辞退した人のリストが出回り、内定を確保しようとしたのです。
通年採用であれば、学生側も余裕を持って動けるようになるので、内定辞退された後でもまた採用をかけることが可能です。

④企業も学生も慎重に企業を選べる

就活時期が決まっていると「この時期を逃してはいけない」と、学生側も肝心の学業を放り出して活動にいそしみます。しかし、通年採用であれば自分のスケジュールに合わせて就職活動が可能になります。結果的に企業と学生のミスマッチを減らすことに役立つといえるでしょう。

通年採用のデメリット

もちろん、通年採用にもデメリットがあります。

①採用・教育担当の負担が大きい

一年中採用を行うとなると、採用担当が他の業務もこなしている場合は負担が大きくなります。採用の専従が必要となるでしょう。
また、採用者に対して行う研修なども、その都度おこなう必要があるため、コストも増大します。

②カジュアルに辞退されるおそれも

最終的なミスマッチを防ぐことにはなりますが、採用担当は採用人数の目標を決めています。しかし通年採用の場合は、自社が採用人数に達して締めきったとしても、他社での採用が続いている限り内定辞退するケースは増えるでしょう。

③一括採用との競合

まだしばらくは一括採用を続ける企業も多そうです。そうなると、新卒採用においては、逆に早目のスケジュールで動かないと、学生の確保ができません。常に採用市場の動向に気を配り、気が抜けないのが通年採用といえるでしょう。

この記事を書いたライター

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