昨今は様々な分野でグローバル化が進んでいますが、税務の分野においても同様です。国内産業の停滞化などを理由とする日本企業の海外進出も増加しており、国境を超えての税務の需要が急増しています。そうしたニーズに応えられる人材であることを証明するのに役立つ、国際税務のおすすめ資格をご紹介します。
昨今は海外進出や他国の企業との取引が当たり前の時代になっていますが、その一方で国ごとに課税権や税法の内容は異なっています。そのため、2国以上にまたがって取引をする場合に生じる所得をどの国の税法で処理するのか、という課題が生じてきます。
上記のような国際的な税務問題を取り扱う業務が、国際税務です。国際税務についての知識やスキルに精通することで、自分が活躍できるマーケットを国際レベルで大きく広げることができます。
国際税務の仕事内容は、「移転価格税制関連業務」「税務顧問」などがあります。まず、税務代理・書類の作成・相談など税理士が基本とする業務をします。そして、国際税務は移転価格税制の対応が大変になってきます。具体的にいうと、国内外の税務局が取引の適正を検査することです。意図的に低課税地域に移動させた場合は追徴課税を課されたり、他国と税が重複しないように調査します。また、国内に住んでいても海外での収入があれば、日本で税務申告が必要なので、このような処理を国際税務では専門としています。
米国税理士はアメリカ政府によって認定される税理士の国家資格です。略称はEAで、登録制のエージェントであるEnrolled Agentを意味します。
アメリカで課税の申告を業務として代理することがメインの資格ですが、アメリカで税務を行えるだけでなく、米国系の外資企業の経理や税務部門で働きたい場合などにも有効です。
また、日系企業が海外にマーケットを広げるケースと、米系企業が日本にマーケットを求めるケースの両方で活躍することができるので、二国間にまたがっての業務やコンサルティングなどの需要の増加が見込めます。
米国税理士の試験はコンピューターを用いた英語での4択式となっており、試験科目は個人所得税法、贈与税法、相続税法、事業関連の税法、税務代理業務などです。
試験科目は全3科目で、各科目100問で満点は130点、3科目とも105点以上を取得すれば合格ラインになります。3科目の試験に合格すれば、1年24時間の研修のみで実務経験がなくても登録できるのが特徴です。
米国税理士の受験資格は18歳以上であることで、年齢要件を満たせば国籍や学歴を問わず受験することができるのが魅力です。
米国公認会計士はアメリカの各州における公認会計士の資格です。略称はCPAで、公認会計士を意味するCertified Public Accountantですが、日本における公認会計士と混同しないようにUSCPAと記載する場合もあります。
米国公認会計士の資格は、会計分野における国際的な基準であるIFRSに沿っているのが特徴です。欧米を中心に会計基準のグローバル化が進んでいる昨今、世界に広く通用する会計ルールを会得した米国公認会計士の資格は、国際的なスキルとしての評価を得ることができます。
試験は英文による筆記試験で、出題科目は財務会計(FAR)、企業環境と経営理念(BEC)、諸法規(REG)、監査と諸手続(AUD)の4科目です。それぞれの科目で75%以上の点数の獲得が合格の目安です。筆記試験に合格後、アメリカの州ごとに設定されている実務経験を満たすことで資格取得となります。
米国公認会計士は筆記試験の内容はアメリカのどの州でも同じですが、州によって受験資格が異なるのが特徴です。多くの州では4年制大学の学位に加えて、会計等に関連する科目の単位を一定数以上取得していることが必要になります。
国際会計検定は日本東京商工会議所が主催する認定試験です。略称はBATICで、国際コミュニケーションのための簿記及び会計試験を意味する、Bookkeeping and Accounting Test for International Communicationが英語名です。
英語の文章で簿記や国際会計についての知識・能力を測るためのもので、TOEICのような1000点満点のスコア制になっているのが特徴です。
スコアごとに4つのランクに分かれており、スコア要件を満たすことでランクに応じた称号が授与されます。全ての試験問題は日本語を用いず英語のみで出題されるので、スコアによって英語を用いた国際会計のスキルを表明することができます。
BATICの試験科目はSubject1とSubject2の2種類があります。Subject1は英文による簿記の知識を問うもので、勘定科目やディスクロージャーなどが出題分野になります。
Subject2は国際会計について問うもので、現金、預金、負債、デリバティブなどが出題されます。試験方式はマーク式と記述式の併用で、スコアはマーク式が400点満点、記述式が600点満点です。
BATICで高スコアを獲得することで、国際的な会計について知識やスキルを客観的に証明することが可能になります。それによって国際税務を取り扱う事務所に転職する際に高い評価を得ることにつながります。
国際会計検定は受験資格に制限はなく、年齢、学歴、資格等を問わず受験することができます。試験問題の難易度の目安としては日商簿記検定1級~2級、英語レベルはTOEICスコアで750点程度といったところです。
税理士試験は国税庁が主催する国家資格です。税理士試験は受験資格があり(簿記論・財務諸表論は除く)、試験に合格していてもすぐに税理士になれるわけではなく、2年間の実務経験を積まないといけません。また、税理士試験は科目合格制をとっています。会計学に属する科目(簿記論及び財務諸表論)の2科目と税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)のうちの選択する3科目(所得税又は士法人税法のいずれか1科目は必ず選択)の計5科目の取得で合格とみなされます。なので、ある程度の年数をかけて取得するのが一般的とされているほど難しい試験です。
税理士の資格は国際税務と密接な関係にあります。国際税務は日本と海外の税務周りを適切に処理する役割があります。なので、前提として税務のことについての知識を持っていたり、業務が出来なければなりません。国際系に強い税理士事務所が国際税務の業務を担うことが多いので、やはり税理士資格は国際税務をやるうえで有利に働きます。
TOEICは国際ビジネスコミュニケーション協会が主催する認定試験です。TOEICの試験はリスニングとリーディングの2つに分かれています。それぞれ100問づつあり、相対評価で990点満点となっています。
リスニングでは写真・応答・会話・説明文の問題パートで分かれています。パートによって問われるものが異なっていて、1文を聞き取る問題、1フレーズを聞き取る問題などで意識すべきことが異なってきます。一方、リーディングは短文穴埋め・長文穴埋め・文書読解の問題パートに分かれています。穴埋めの問題は単語や熟語が問われる問題が多いですが、文書読解は長文読解能力が問われてたくさん読む練習が必要になってくると思います。
TOEICは英語の能力を測る試験で、国際税務関係で働くにはいい指標になります。国際税務は時に、国内外との連絡が必要となります。そのため700点以上は必要という相場となっています。税理士資格と並行して勉強するとなると非常に大変になりますが、よいスキルアップとなるでしょう。
国際税務に強い税理士のニーズは高いです。国際税務の仕事をするにあたって英語の習得が必要になってきます。そういった面で国内の税務関係の仕事をしようという人が多く存在しています。また、国際税務の業務と国内での税務の業務では、異なってくる場面が多いです。そのため、一度国内の税務関係のお仕事についてしまった方は、国際税務を1から学ぶことになるため、コストも多くかかります。このような理由で国際税務に強い税理士のニーズは高くなっています。
国際税務の経験を得たい場合は、大手で働くのをオススメします。BIG4税理士法人には、国内の税務関連の仕事が多く占めていますが、国際税務の部署も存在します。また昔から存在しているため、データベースも多く、教育にも手厚いです。
また、国際税務に特化している会計事務所もオススメです。こういった事務所は、大手と違って従業員数が少ないため、裁量権を多く持たせてくれる場合が多いです。責任感は伴いますが、国際税務に特化している会計事務所で素早く自身を成長させるのもよいと思います。
国際税務での職場で働きたい場合は、資格を持っている場合受け入れてもらえる可能性が多いです。国際税務は多くがやったことのない業務になると思うので、資格を取得してから初キャリアが国際税務という可能性も多くあります。また、資格を持っていない方でも、税務業務の経験があれば挑戦できる職業です。
国際税務に特化した会計事務所では特に実務経験ありを優遇しているところが多くあります。ただし、資格を持っていない方が、いきなり国際税務の業種で雇ってもらえることは少ないので注意しましょう。
それでは、国際税務業務の経験を積むことができる税理士事務所をご紹介します。ラムチップ・パートナーズ国際税務会計事務所は、タイをはじめとした様々な国の国際税務コンサルティングを行う税理士事務所です。
「会計事務所」の枠にとらわれず、「経営コンサルティング」の分野にまで深く入り込んだサービスをワンストップで提供しています。
約10年前からタイ・バンコクに支店を設置している事務所で、東南アジアを中心としたグローバル展開にも注力しているようです。
繁忙期でも残業時間は30時間以内で、原則、土日出勤はございません。平均年齢35歳で、年齢層はバランスのとれた会計事務所で、先輩から指導も受けることができるので、これから国際税務を身に着けたいという方におすすめです。
ラムチップ・パートナーズ国際税務会計事務所のHPはこちら
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本記事では国際税務について、仕事内容や関連している資格、ニーズなどを紹介してきました。
税務の中でも少し難易度は高いですが、自分の知見を大きく広げられる業務であることは間違いありません。この業界に興味のある方は下のリンクから求人を探してみてください。