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人事コンサルタント、その役割に必要な資格とは?持つべき資格とは?

HUPRO 編集部
人事コンサルタント、その役割に必要な資格とは?持つべき資格とは?

結論として「人事コンサルタント」をするにあたって、なくてはならない資格はありません。ただし、組織の人事へ支援を行うポジションとしてはそれ相応の専門性、知識、責任が要求されます。その裏付けとして保有しておくとよい資格はあります。ここでは人事コンサルタントとして「あると役立つ」資格を解説します。

人事コンサルタントとは

本題に入る前に改めて押さえておきたいのが「人事コンサルタント」の定義でしょう。人事コンサルタントとは様々な経営課題が存在する中で、報酬/等級/評価制度等の構築、M&Aに伴った人事制度の統合、グローバルHR体制構築、育成教育制度の構築、採用代行等、人事領域に特化した課題解決を得意とするコンサルタントを指します。

その組織の従業員の方々が適正に働けるように、様々な面でバックアップするのが組織としての人事の仕事。その人事を外部から支援する人事コンサルタントは人事セクション以上に多様で幅広い知識が求められます。

人事コンサルタント×資格

人事コンサルタントに限らず「コンサルタント」の領域においても、なくてはならない資格はありません。この国のコンサルティング業界は成熟期に入ったと言われていますが、浸透度(知名度)、信頼度、競争力等々、世界的に見るとどれを取ってもまだまだ開発途上です。資格にあっても確立しておらず、関連職種からの派生が主たるものになっているのが現状です。

人事コンサルタント×「あると役立つ」資格

人事コンサルタントで仕事をするにあたって、問われるものは差し当たり実績や知識です。冒頭でもあるように現状はその専門性を担保するために取得していると尚良し的な立ち位置です。その中でも業務に近しく、関連性が高い資格を3つ解説します。

社会保険労務士

「社労士」、「労務士」と呼ばれるこの資格は社会保険労務士法に規定される国家資格で、労働関係法令や社会保障法令に基づく書類作成代行、組織単位での労務異管理、社会保険に関する指導や相談を行う独占業務資格です。弁護士、行政書士、税理士等と共に職務上請求権が認められる「8士業」でもあります。

社会保険労務士は雇用に関する法的規制や就業規則に関する助言支援、労災申請支援、社会保険、労働保険における申請や加入手続き、年度更新時の算定納付手続きを主たる業務としますが、近年は企業年金制度構築、人事評価制度構築、従業員育成プログラム構築と実施、メンタルヘルス対策、労使交渉処理等の割合が増えており、正に組織の人事が担当する業務と交差します。そのため人事コンサルタントとしての業務にも大きく関連し、要所要所でその知見が活かせる資格といえます。

中小企業診断士

中小企業支援法に基づく国家資格です。前身である中小企業指導法からの改正により、一定以上のレベルの民間コンサルタントを認定(差別化)する意味合いが濃くなりました。

中小企業診断士の業務は、組織成長戦略策定につき、専門的知見に基づいて助言支援、実施後の運用支援、行政や金融機関とのパイプ役等が挙げられます。経営コンサルタントの方々が取得されている場合が多い資格ですが、昨今の人事領域の多面化により、必要な知見として重なる部分が増してきています。

参考:J-SMECA|一般社団法人中小企業診断協会

中小企業診断士

キャリアコンサルタント

人事コンサルタントと言えば、キャリアコンサルタントを一番先に思い浮かべる場合が多いのではないでしょうか。職業能力開発促進法において規定された国家資格で、2016年に国家資格認定された比較的新しい資格です。とは言え、認定前から民間資格としては存在しており、国の施策により国家資格化されました。人事領域の中でも育成/教育に特化した資格で、採用時業務ではなく採用後の育成や評価等業務に活かされる傾向にあります。

この資格を所持していないと「キャリアコンサルタント」とは名乗れない名称独占業務でもあります。ここでいうキャリアコンサルタントとは国家資格キャリアコンサルタント(国キャリ)を指しますが、似たような資格には「キャリアコンサルティング技能士」(技能士)なるものもあり、その違いはキャリコンの間でも結構あいまいです。詳しく語ると結構な長文になるため、ざっくり以下の様な違いと捉えてください。

・国キャリは「キャリアコンサルタント」を公的に名乗るための資格
・技能士はキャリアコンサルティングのレベルを表し、認定する資格
・技能士資格は持っていても国キャリは改めて取得登録が必要
(技能士だけでは「キャリアコンサルタント」とは名乗れません)
・逆に国キャリを持っていても技能士資格は改めて取得が必要

番外 言語資格

知識という面では言語資格も持っておきたいものです。日本社会のグローバル化/多様化により働く現場も国際色が濃くなり、付随して従業員管理も日本人だけでは済まない場面を近年よく見かけます。その組織の人事の多言語化が急速に進むと、当然そこを支援するコンサルタントにも言語知識は求められ、英語と母国語の最低2言語のビジネスレベルは必須要件となっていきます。

覚悟と判断

コンサルタントの行う業務は、漠然としたイメージが付きまといますが、その実態は組織の経営に関わる重責な業務です。その分の見返り(報酬、待遇等)が期待できるのは魅力の一つと言えるでしょう。特に人事コンサルタントはその組織の心臓部に切り込むことになるため、コンサルタントの一挙手一投足が組織の将来を左右します。

果たすべき役割と責任、提供するコンサルテーションの価値等を踏まえて支援をしていく覚悟が必要です。その支援に必要な知識が資格で得られるのであれば、その資格は必ず取るべき資格と判断してください。

将来×資格

そもそも資格とはその人の能力を相手に理解してもらうための指標であり、持っていて直接的に利益につながる資格はそれほど多くは存在しません。専門特化していない限り、今後人事コンサルタントとしてどんな職種、業界を担当するかわからない状況であれば、極論どんな資格でも人事コンサルタントとして後々役立つ可能性は充分あります。

もし何らかの事情や状況から何らかの資格取得が必要なのであれば、「人事コンサルタントのための資格」ではなく、「未来の自分への投資としての資格」を取得することをお勧めします。皆さんの今後キャリアは人事コンサルタントのみで完結するものではないと思います。

万が一でも職種や業界を変える必要性が生じた時、指標が「人事コンサルタントのための資格」のみとならないように持ち出せて活きる資格が理想形で、取得損とならないようなキャリアを描けることが重要です。

まとめ(経験×資格)

人事コンサルタントやキャリアの仕事をしてきて一番役に立ったと感じたのはキャリアコンサルタントの資格ではなく、これまでに何度か繰り返してきた転職経験です。経験からくる知識は資格で得られる知識に比べてより具体的で、相手に納得感をより強く与えることができます。

ここでは人事コンサルタントの業務にあるとなお良い資格を解説してきましたが、そういった意味で人事コンサルタントは資格にこだわらなくても知識と経験があれば熟すことが可能な業務と言えるでしょう。

この記事を書いたライター

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