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BATIC(バティック:国際会計検定)を取得するメリットは?

HUPRO 編集部
BATIC(バティック:国際会計検定)を取得するメリットは?

BATIC(バティック:国際会計検定)は、国際会計基準に対応した経理実務の能力をテストする検定試験です。日本は独自の会計基準を採用している国ですが、国際的な活動を行なっている企業では、国際会計基準(IFRS)によって投資家に対して会計報告を行う企業も増加してきています。そこで今回は、経理担当者としてBATICを取得することによるメリットについて具体的に解説していきます。

BATICとはどのような試験?

BATICは、全文英語での会計知識を問われる検定試験です。
日商簿記検定などと違い、1級・2級・3級といった区分ではなく、スコア制で受験者の理解度を証明する試験となっています(TOEICと似ています)

試験科目は英文簿記(Subject1)と国際会計理論(Subject2)に分かれており、それぞれ400点・600点の合計1000点でスコア評価されます。
取得したスコアによって、おおよそ以下のようなレベルが認定されます。

・スコア880点〜1000点:コントローラーレベル
・スコア700点〜879点:アカウンティングマネジャーレベル
・スコア320点〜699点:アカウンタントレベル
・スコア200点〜319点:ブックキーパーレベル

ごく大まかな目安ですが、国際会計基準への対応が必要な企業内での経理事務担当は、ブックキーパー〜アカウンタントのレベルが求められるでしょう。
一方で、これらの部門長クラスでは、アカウンティングマネジャー〜コントローラーのレベルを取得しているのが望ましいと言えます。

なお、上でもみたようにBATIC試験は英文で出題が行われますが、それほど高度な英語能力が求められるわけではありません。
試験対策としてより重要なのは、英文簿記のルールや国際会計理論への理解度であることを理解しておきましょう。

BATICの受験者データ

2018年のBATIC試験の受験者数は2985人ですので、日本国内でもっともメジャーな会計試験である日商簿記検定と比べると、BATICを選択する人は少数派と言えます。
ちなみに、2019年6月の日商簿記の実受験者数は、3級が7万2435人・2級が4万1995人・1級が6788人でした。日商簿記の合格者数が非常に多いため、日商簿記1級取得者であれば転職市場における差別化要因にはなりますが、2級、3級程度だと、決定的な差別化にはならないのが実情です。

一方で、国際会計基準への対応を積極的に進めている日系企業において、BATICの学習を進めている人は、企業が求める人材像として、よりマッチする可能性があります。つまり、採用担当者への好感触に繋がる可能性があります。将来的に国際企業での経理財務担当者としてキャリアアップしていくことを目指している人は、日商簿記など国内メジャー試験と合わせてBATICの勉強を進めていくことにはメリットがあるでしょう。

なお、直近2018年のBATIC試験結果では、各レベル認定者の割合は以下のようになっています。

・コントローラーレベル認定者数:127人
・アカウンティングマネジャーレベル認定者数:350人
・アカウンタントレベル認定者数:1278人
・ブックキーパーレベル認定者数:827人

BATIC取得のメリット

上記で国際企業の経理財務担当者としてのキャリアアップを目指す人にとって、日商簿記とあわせてBATICを取ると良いと説明しましたが、そのメリットについてより具体的に述べると、BATICを取得することで、国際会計基準を適用しているもしくは適用する予定の日本企業、海外進出を目指す日本企業、そして外資系企業への転職がしやすくなります
また、会計用語に特化して英語も同時に学ぶことができる点も大きなメリットと言えるでしょう。合否判定ではなく、TOEICと同じくスコア形式でレベルが認定されるため、継続した勉強をしやすいという声も受験者からは聞かれます。

日本企業に属する人が国際会計を理解するメリット

当然ながら、日本国内で活動する日本企業に対しては、日本の会計基準が適用されます。そのため、日本国内の企業で働く会計人材にとって、BATICで問われる英文簿記や国際会計理論を習得することは、実務上必須というわけではありません。
採用時に求められるのは、現状は日本の会計基準への知識や実務習熟度に限られると言えます。

当初、2015年に上場企業に対してIFRSを強制適用する予定でしたが、震災の影響などで強制適用は無くなり、適用時期は現状不透明な状態となっています。
そして現在、国際会計基準(IFRS)への対応を進めている企業というのは、一部のグローバル展開している大手企業に限られています。金融庁の発表によると、IFRS任意適用会社は適用予定会社を含めて、2019年6月末時点で計217社となっています。伊藤忠商事やファーストリテイリング、本田技研工業などが挙げられます。

参考:会計基準を巡る変遷と最近の状況|金融庁

実際に業務において、BATICで問われる英文簿記や国際会計理論に関する知識が問題となるのは、IFRS(国際財務報告基準)への対応を進めている、こうした企業で働くケースです。
ただし、IFRSへの対応がいつ必要になるかわからないので、今から必要な知識をつけて準備しておくことで、間違いなく、今後の市場で貴重な人員となることができるでしょう。

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参考記事:BATICは転職の際に有利に働くのか?|経理の転職事情

IFRSとはどういうものか

上記で説明した国際会計基準(IFRS)ですが、これは正確には会計基準(決算書を作るときに強制的に適用されるルール)ではなく、会計の開示基準(投資家にわかりやすい情報を提供するためのもの)です。
独自の会計基準によって会計処理や税務処理を行っている国(日本や米国)では、海外の投資家などに会計報告を行う際には、IFRSへのコンバージェンス(組み換え)というかたちで開示を行っているのが現状です。

今後、海外の金融市場からの資金調達(海外の証券取引所への上場など)を積極的に目指していく国際企業においては、日系企業であってもIFRSの知識を持った会計人材のニーズが高まっていくものと予想されます。
具体的には、日本で日本の会計基準に基づいて作成した財務諸表をIFRSのルールに従ったものに組み替える作業を行ったり、日本の会社とグループ会社の関係になっている海外企業との連結決算を行う場合に、IFRSのルールに従って連結財務諸表を作成したりといったことが行われるようになる可能性があります。

IFRSについてはこちらのコラムで詳しく説明してます。

参考記事:IFRS(国際財務報告基準)とは?日本基準との違いと導入が進む背景を解説

経理実務上のニーズが高いのは日商簿記などの国内会計資格なのが実情ですが、こうしたレベル(例えば日商簿記1級)を超えた会計知識をアピールする根拠として、BATICスコアの取得を目指す受験者は今後増えていくでしょう。

まとめ

今回は、BATIC(国際会計検定)の試験内容や、実務でのメリットについて解説しました。国際企業での経理財務担当者としてキャリアアップしていくことを目指す人にとって、BATICは最適な資格試験と言えますから、日商簿記などと合わせてぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。

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