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経理の転職で評価されるスキルとスキル不足を防ぐ方法

HUPRO 編集部
経理の転職に必要なスキルとスキル不足を防ぐ対策

経理の転職にはどのようなスキルが必要なのでしょうか。ひとことで経理の転職といっても、スタッフと管理職では求められるスキルが異なります。経理業務は企業規模によって異なるため、転職後にスキル不足とみなされてしまう不幸なケースも存在します。

今回は、経理の転職で求められるスキルの詳細と、転職後にスキル不足とみなされて困らないための対策を解説していきます。

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経理スタッフの転職で求められるスキル

経理スタッフの転職では、最低でも2〜3年程度の実務経験が必要です。実務経験が短すぎると、短期離職や必要なスキルが身についていないとみなされる可能性があります。さらに、簿記2級以上の資格を取得していると、どの会社でも通用する客観的なスキルをもっていると評価されます。

経理スタッフは、従業員が10名〜100名ほどの一般的な規模の企業では数名のチーム制になっています。ひとりが全ての業務を担当するのではなく、担当ごとに業務が分かれているケースが大半です。

経理スタッフとして未経験で入社してから経験5年目くらいまでは、経費・売上・仕入などの業務をローテーションし、最終的には全ての経理業務ができるよう経験とスキルを重ねていきます

入社1〜2年ほどで伝票起票や仕訳、売掛金や買掛金の管理といった日常的な経理業務、入社4年ほどで月次・年次決算までスキルを磨いておくと転職でも高評価です。

経験が浅いうちは、自らの担当業務を確実にこなすことを目標とし、慣れてきたら、スケジュールに従って正確かつ迅速に対応することでスキルを高めていきましょう。

経理経験者として経理へ転職する場合に、採用担当者からスキルとして評価される実務は以下の通りです。

・伝票入力スキル
・月次、年度決算スキル
・申告書作成スキル
・監査法人対応
・連結決算スキル

伝票入力

経理に転職する中で最も初歩的なスキルとしては、伝票入力のスキルが挙げられるでしょう。
会社の決算書を作るために、毎日のお金の流れや物品のやり取りを伝票作成しなければなりません。この伝票自体は営業、購買などの他の部署が作成することもあれば、経理が作成することもあります。また、会社の規模や方法によって異なります。
ただし、その伝票を会計システムに打ち込んだりデータを流したりするのは基本的に経理の役目となります。

伝票入力は、会計の勘定科目を正しく入力したり、入力されたデータが合っているかどうかを確かめたりする仕事となります。
伝票入力のための知識としては、簡単なものであれば簿記3級レベル、基本的な伝票ならどれでも入れられるくらいのスキルであれば簿記2級レベルは持っておきたいです。

月次・年次決算

伝票入力がまとまると、月に一度と年に一度は決算を組むことになります。
これらをそれぞれ月次決算、年次決算と言いますが、特に年次決算については経理全体を取りまとめられるスキルが必要となります。

例えば、色々な引当金を計算・入力することや、売掛金が正しいかどうかのチェック、現預金、在庫が実際にある金額と合っているかどうかのチェックなど、幅広い知識と経験が求められます。

その代わり、月次決算、年次決算ができるというのはとても重宝されるもので、簿記2級~1級のレベルは最低限クリアしたいところですが、どちらかというと経験があるかどうかのほうが転職市場では求められるところです。

月次決算、年度決算の業務経験については、職務経歴書に記載すると思いますが、実際にどの程度できるかについては書類だけではわからない部分もあるため、面接で急に聞かれることも想定しておきましょう。また、その際は「前の会社ではこのようにやっていました」というように具体的に答えられると良いでしょう。
ただし、決算の組み方は会社によって違いますので、面接官がもしも急に知らない言葉を発したとしても「前の会社では違うやり方をしていたのでその点についてはやりながら覚えていきたいと思います」と堂々と話せると良いでしょう。

月次、年度決算スキル

申告書作成

決算の中で特殊なものといえば、法人税等の税金の申告書を作成することです。
法人税などの申告書は、中小企業であれば顧問税理士が作成することが多いでしょう。大企業であっても経理内に申告書を作成できる人がいなければ顧問税理士に依頼することもあります。

ですので、申告書を社内で作れるとなるととても重宝されることはわかると思います。
このように聞くと、税理士事務所でなければ作成できないと諦めてしまうかもしれません。ですが、最近は申告書ソフトもかなり高性能化してきて、正直簿記2級レベルがあって、ある程度コツを覚えてしまえば誰にでも作成できます。

とはいえ、一から作るとなると結構な勉強が必要となるため、基本的には昨年の申告書を参考にして作成をしていきます。
一度も社内で作ったことが無い場合は、顧問税理士に教えてもらいながらまずは自分で作ってみて、それをレビューしてもらうというのが王道でしょう。
社内で別の人が申告書を作成している場合には、異動希望を出すときに是非とも申告書を作成したいと言ってみるのもいいかもしれません。

このスキルを表す資格と言えば、税理士試験の税法科目であり、持っているだけで転職市場では有力なスキルと言えます。
ただ、税理士試験も難関資格でそうそう簡単に取れるものではないため、実務上申告書を作成しているだけでもかなり重宝されるでしょう。

監査法人対応

上場会社や一部の大会社は、公認会計士による監査を受けなければなりません。
この対応は誰でもできますが、対応の仕方によって監査に時間がかかるので、経験したことがあるかどうかはとても重要です。

例えば公認会計士が「○○の資料をください」と言った時にないものを必死で探したり、一から作るのではなく「○○はありませんが、××ならありますがいかがでしょうか」と聞くと、意外とあっさり承諾してくれることがあります。
このように監査法人が必要な会社への転職で、自身が経験している場合はしっかりと記載しておきましょう。

関連記事:はじめての会計監査対応。監査を受ける際に担当者が知っておくべきポイント

連結決算スキル

子会社や関連会社を保有している企業では、企業グループを構成する複数の会社の決算を合わせて行う連結決算が必要になります。
連結決算は通常の決算を理解していることに加えて、連結決算独自の処理方法を知っておかなければなりません。

今は簿記2級でも連結決算が試験範囲となっていて、簿記2級を持っていればある程度のスキルはあると評価されますが、以前は簿記2級には連結決算が範囲外であったので、簿記2級を記載しただけでは連結決算のスキルがあるとみなされないことが多いでしょう。

連結決算は簡単に言えば、会社の決算を合算して、必要な消去を行うもので、慣れればある程度の人でも作成できるものですので、積極的に挑戦していきましょう。

関連コラム:連結決算はどうやって進める?担当者がおさえておくべき5つのステップ

経理管理職の転職で求められるスキル

経理管理職として転職する場合には、専門的な経理の知識や実務経験だけでなく、以下のようなスキルが求められます。

・コミュニケーションスキル
・ITスキル
・プレゼンテーションスキル
・英語スキル
・マネジメントスキル

さらに、簿記1級や税理士、公認会計士などの難関資格を取得していると、転職で高評価を得られます。

コミュニケーションスキル

経理管理職の採用で重視されるスキルは、コミュニケーションスキルです。経理といわれると、パソコンに向かってひたすら数字を打ち込んで計算しているようなイメージがあります。
しかし、実際の経理の業務では、上司をはじめとした同じ部門の人はもとより、現場をはじめとした他部署のやりとりや、監査法人との打ち合わせ、さらには経営陣とのミーティングなど、様々な人と接する機会が多いです。

つまり、誰とでも上手くやっていくというスキルが非常に重要なのです。例えば業務ミスが起こった時に、頭ごなしに責めるのではなく

・なぜこのようなミスが起こってしまったのか
・現場でどのような取引が行われこの請求書が出されてくるのか
・この経費精算はなぜいつも遅れるのか

といった、業務上の問題点に常に気を配り、関連部門とのコミュニケーションを重ねて業務改善に至る道を探るといったような、調整スキルというのは非常に強く求められています。

経理管理職として転職を図るのであれば、日次処理のような入力作業を正確に行うことよりもむしろ、経理として社内の問題解決にいかに取り組むか、といった大局観に立った対応ができる人材であることが重要です。

ITスキル

経理管理職として転職するなら、企業によって異なるツールをスムーズに使いこなせるようになる ITスキルは必須です。

業務はどんどんシステム化しています。例えば簿記検定では電卓を叩いて計算を行っていますが、日常の業務ではこのような事を行うことはほぼありません。現在の企業で経理システムを導入していないところはほとんどないといってよいでしょう。日常的な業務を行う際も、 E メールや会議システム、人事の勤怠管理など、様々な業務はいまやシステム化されています。

また経理システムを通してアウトプットしたデータを、資料にまとめたりするスキルも必要になります。資料作成のためには、Word・Excel・PowerPointといった Office の基本操作は覚えておきたいですね。

プレゼンテーションスキル

プレゼンテーションスキルも、経理管理職として重要なスキルです。

経理関連資料を作成した時、それを見る取締役会などの経営層が、経理や会計の専門知識を有しているとは限りません。どのような知識レベルの人が見ても、わかりやすい資料作成と説明ができるようであれば、あなたの人材価値はより高まるでしょう。

資料の作成ツールを使いこなして、わかりやすい資料を作るだけではなく、さらにプレゼンテーションまでできるスキルを身につけておくことは、経理業務だけでなく、様々な機械で役立ちます。

英語スキル

グローバル企業への経理管理職として転職を考えたいという方であれば、是非身につけておきたいのが英語スキルです。
IFRS対応や、英文会計ができる人材はまだそこまで多くないので、かなりのアドバンテージを見込むことができます。
今後、日系企業でも国際会計基準への適用が求められる傾向にありますので、間違いなく英語ができて損はないでしょう。

マネジメントスキル

経理に限らず、管理職に最も求められているスキルは、マネジメントスキルです。
経理業務は専門職といっても会社組織の中の一部門であることに変わりはありません。実務に対する知識や経験はもちろん重要ですが、管理職の本来の役割は人材のマネジメントになります。

本来であれば30代~40代の層は厚く、管理職になる人材はいるはずなのですが、現在のこの年代はちょうど就職氷河期世代です。企業が採用を控えていたので、バックオフィス経験者でさらにマネジメントスキルを持つ人材はとても少ないのが現状です。

もし、あなたが管理職経験を持ち、マネジメントができる経理担当であれば、転職の際に大きな武器になるでしょう。

経理管理職の転職で求められるスキル

経理の転職でスキル不足と言われないようにするには

大企業の経理スタッフとして、細分化された業務だけ担当していた方が、ひとりで広い業務範囲の担当を求められる中小企業に転職した場合、ミスマッチを生んでスキル不足とみなされる事例があります。

ほかにも、転職前は経理職専任ではなく一般事務と兼任していたり、主担当ではなく補助職だったりなど、さまざまなケースが考えられます。

経理スキルのほかにも、管理職として求められるマネジメント能力やリーダーシップについても、スキル不足とみなされる可能性があります。こうした能力は、企業規模や職場のオープン性といった環境の影響を受けるため、客観的な評価が難しいからです。

経理として転職する際にスキル不足とみなされないための対策として、次が挙げられます。

転職先が求めるスキルを把握する

スキル不足とみなされる状況は、応募者と転職先とのミスマッチで生まれることが多いです。そのため、転職先がどのようなスキルを求めているのかを把握しましょう。

たとえば、経理から総務・人事まで幅広い業務をこなせるゼネラリストを求める中小企業では、大企業での狭く深い実務経験は活かしにくいです。

自らの経験・スキルの方向性とできるだけマッチする企業に転職できるよう、転職前の自己分析と企業研究に努めましょう。

客観的な指標としての資格を取得する

経験年数はあるけれど、実際は他職種との兼任などで十分なスキルがないと自覚している場合には、簿記2級などの資格を取得しましょう。資格を取るための勉強でスキルが磨けるうえ、合格すれば客観的な指標としてアピールできます。

経理に役立つ資格一覧については下記のコラムでも詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
《関連記事》

面接で実力以上のアピールをし過ぎない

転職の面接において、どうしても受かりたいという気持ちから、経験以上のアピールをしてしまう方がいます。たとえば、実際は補助的な役割だったのに主担当だったと答えてしまうケースです。

転職では内定がゴールではなく、入社後に自らの経験やスキルを活かして活躍できるかが重要です。できないことは素直に受けとめ、自らを大きく見せ過ぎてミスマッチを生まないよう心がけましょう。

まとめ

経理の転職で求められるスキルはスタッフと管理職では異なります。どちらの場合でも、転職後にスキル不足とみなされないためには、自らのスキルの方向性とマッチする転職先を選ぶことが重要です。

とはいえ、自らのスキルを客観的に分析するのはなかなか難しいです。そんなときは、経理職に特化した専任エージェントからアドバイスを受けるなど、転職の専門家に相談することで自らの可能性を広げていきましょう

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