3歳までの子を養育する場合、1日の所定労働時間を原則6時間に短縮することができる「短時間勤務制度(時短勤務)」。しかし、元々の働く時間が短くなったことで、気になるのが給与や賞与へ、社会保険などへの影響です。今回は、育児休業後の時短勤務における給与と社会保険について紹介します。
育児・介護休業法では、事業主は、3歳に満たない子を養育する従業員について、従業員が希望すれば利用できる、短時間勤務制度を設けなければならないと定められています。
この短時間勤務制度は、1日の労働時間を原則として6時間(5時間45分から6時間まで)とするものです。
対象者や詳しい内容は、以下の記事を併せてぜひご一読ください。
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出産前よりも、残業も含めて少ない時間で働く場合、給与や賞与はどうなるのでしょうか?
育児時短勤務のをおこなっている社員に元通りの給与を支払うか否かは企業の任意となっています。元通りの給与を払ってももちろん良いのですが、結論から言うと、育児時短勤務中は、短縮している労働時間に応じて給与は減額となることがほとんどです。
例えば、元々のフルタイムの8時間勤務の給与が20万円とすると、6時間勤務になった場合は、以下のように労働時間の短縮分の給与が減額されるのが一般的です。
賞与についても、その計算基準に労働時間や給与が考慮される場合は減額となります。
もともと残業代がある程度あった場合は、給与がかなり少なくなるように感じるのではないでしょうか。
これは、時短勤務の人が出産前と同様の給与をもらうことによる、他の社員が感じる不公平感を払拭する意味合いもあります。
産休→育休を経ている間に、周りの同僚は対象者のフォローをしてきました。出産は極めてプライベートな事情。本来は望んでいるのに得られない人もいるわけです。
そして実際に時短勤務という状況で、出産前と同様には働いていないのは事実です。その分の給与の減額により、本人が感じる申し訳なさを払拭し、制度利用をしやすくしているともいえます。
時短勤務で復帰する場合、産休・育休中は免除されていた社会保険料の支払が再開します。
かつては産休に入る前に、休む期間中の社会保険料をまとめて支払っていたことを考えると、格段に制度としては良くなってはいるのですが、復帰後の給与の減額+社会保険料の引き去りがもたらす家計へのダメージは少なくありません。
具体的に見ていきましょう。
社会保険料は給与・賞与のの金額によって増減しますので、基本給が下がる場合、基本的には減額になります。
また、育休後の給与は、それまで受けていた出産前の給与から比べると減ることが多いため、これまでの標準報酬月額と、復帰後の標準報酬月額との間に1等級以上の差が生じる場合は、育児休業等終了時報酬月額変更届の提出により、標準報酬月額を下げることが可能です。
(1)で述べたように、育児中の時短勤務では、給与や賞与が減額になることに伴い、社会保険料が減額になります。
しかし、厚生年金については、給与・賞与の低下を将来の年金額に影響しないよう子どもが生まれる前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができる仕組みがあります。
それが「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」です。
厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書を提出するように事業主に申し出しましょう。
時短勤務になることによって、残業などもなくなることから、時間外手当をはじめとした他の手当の支給要件から外れることがあります。
育児・介護休業法では、時短勤務を短縮された時間分を超えて働かなかったものとして取り扱うことや、減給などの不利益な取り扱いは禁止されていますが、諸手当については意見が分かれるところです。
就業規則の時短勤務の取り扱いについて、按分支給が明記されているかどうかを確認しておきましょう。
短時間勤務制度(時短勤務)は、育児・介護休業法に定められた労働者の権利です。
時短勤務の希望を申し出たことや、制度の適用を受けたことを理由として、解雇、雇い止め、減給等の不利益な取扱いを行うことは、育児・介護休業法で禁止されています。
例えば、正社員であったものを、契約社員などの非正規社員にすることや、総合職であったものを一般職にするよう強要したり、人事考課において、不当に低い評価をおこない、昇進・昇格・昇給についての処遇を下げることも不利益な取扱に該当します。
時短勤務については、どうしても周りに負担をかけてしまう制度ではありますが、法律で制定され、就業規則にも記載されているのであれば、それを使うことは立派な権利です。
今後のキャリアを考えたときに、産休・育休はもちろん、時短勤務を含めた制度があることももちろんですが、それらをちゃんと利用できるかどうかは、就職・転職前にしっかりと確認しておきたいですね。
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