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勤務社労士の仕事内容やメリット・デメリットを徹底解説

篠原 夏紀
勤務社労士の仕事内容やメリット・デメリットを徹底解説

現在全国には約4万人の社労士が登録をしていますが、そのうち実に約40%は勤務社労士となっています。登録数では存在感のある勤務社労士ですが、一体どんな仕事をしているのかなどその実態についてはあまり知られていません。今回はそんな勤務社労士として働く場合の仕事内容やメリット・デメリット等ついて詳しく解説をしていきます。

勤務社労士の定義

社労士は大きく分けると開業型勤務型の2種類に分類されています。開業型は自身が一国一城の主となり独立開業をしている社労士を意味します。一方勤務社労士はある特定の企業等に所属し、会社員として働く社労士のことを意味します。さらに勤務社労士のなかでも社労士事務所や社労士法人で働く勤務社労士と一般企業で働く勤務社労士の大きく2つのタイプに分けることができます。

開業社労士と勤務社労士の違い

社労士は社労士法に基づいて独占業務と呼ばれる業務が存在します。具体的には1号業務2号業務と呼ばれるもので、労働社会保険法令基づく書類作成や提出手続き、事務代理などが該当します。この独占業務について、開業社労士もしくは社労士事務所・社労士法人ではない者が第三者の求めに応じ、報酬を得て業として行った場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられることとなります。(社労士法27条、ただし例外あり)つまり勤務社労士は他人のために報酬を得て業として独占業務を行うことはできないということになります。ちなみに勤務社労士が自らを雇用する事業主のために1号・2号業務を行う場合は問題ありません。

また社労士には労務・人事等の相談に応じるなど、3号業務と呼ばれるコンサルティング業務も存在しますが、こちらはそもそも社労士以外でも行える業務であり、基本的に開業、勤務のどちらでも対応することができます。

勤務社労士の仕事内容

勤務社労士がどんな仕事をしているかは社労士事務所や社労士法人で働くか一般企業で働くのかによっても違いがあることが多いようです。

社労士事務所や社労士法人で働く場合

社労士事務所や社労士法人で働く勤務社労士は勤務先の方針にもよりますが、基本的に独占業務をメインとして扱っている事務所や法人が多いため、1号・2号業務に関連する仕事が多い傾向にあります。具体的には就業規則、労使協定や社会保険脱退加入書類等の作成提出といった業務です。また給与計算も扱っており、総じて事務的な仕事が多くなる傾向にあります。ただしここ最近は3号業務に力をいれている社労士事務所や法人も増えてきており、必然的に勤務社労士の仕事内容にも変化が生じてきています。

一般企業で働く勤務社労士の場合

勤務先での1号・2号業務に関連する仕事をすることもありますが、どちらかというとそれ以外の仕事の比重が増える傾向にあります。一般企業で勤務社労士を雇っている法人等の多くは、経営戦略上の理由により、人事制度を変更したり、労使間の労務トラブルが発生した際の対応について、法的な見解を知った上で対応したりしたいというニーズが強く存在します。経営者や幹部クラスの方であっても、労務についてはわからないという方が多く、適切な判断や対応に苦慮することが多いからです。具体的には労務管理、採用、退職、賃金規程、退職金規定や労務トラブルなどの相談・指導を行っています。

勤務社労士として働くことのメリット

勤務社労士として働くメリットは、あくまで特定の企業に雇入れされているため、収入が安定しているということがあげられます。また会社によっては資格手当などで待遇が優遇されるケースもあります。直接的な待遇以外にも、労働法に精通しているという点から、経営幹部層や社員からの信頼を得られたり、こなせる仕事内容の幅も格段にひろがったりするため、会社から頼りにされる存在となります。そのような点から長期的観点でみても社内でのキャリアアップにも有利に働くと言えます。実際に勤務社労士で人事や総務での貢献度が高い人を企業の役員に据える企業も増えつつあり、そういった意味で勤務社労士として働くメリットは非常に大きいといえます。

また安定した給与を得ながら開業する為の準備ができるという点も勤務社労士として働くメリットと言えます。資格で得た知識だけでなく、実務を通して得られる様々な経験や知見は将来開業した際には大きな財産となるでしょう。

勤務社労士として働くことのデメリット

勤務社労士として働くデメリットとしては、開業型のように大きな利益を挙げることが難しい点です。勤務社労士はあくまで企業内で働くサラリーマンであるため、他の社員と賃金的には大きく変わらないというケースもあります。社労士としての登録を行っている以上、社労士会への入会金や年会費を負担する必要もあるため、社労士の資格を維持することによる費用対効果が少ないという点も挙げられます。

最後のまとめ

今回は勤務社労士について現状の仕事内容やメリット・デメリットなどを取り上げましたが、社労士が専門とする人事・労務の分野はここ最近働き方改革、IT、AIなど社会的な動きやテクノロジーの進化に伴い、大きな変化が生じています。そしてそれに伴い社労士に求められる要素も変わりつつあります。労務や社会保険関連の法令に精通しているだけでなく、そういった知見をもとに具体的にどのような施策を打てば会社を発展させられるのか経営層に寄り添いながら、適格なアドバイスや判断をする力が求められてきています。裏を返せばそれだけ活躍の場が広がりつつあるということも言えるでしょう。組織は人なりという言葉がありますが、そこで働く人がいかに生き生きと働けるかは企業にとって最も重要なテーマであると言っても過言ではありません。そして社労士が果たす役割ややりがいはそれだけ大きいという事が言えるのです。

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この記事を書いたライター

東証一部上場の人材会社を経て、現在は株式会社ヒュープロにて、全国の税理士・社会保険労務士の転職サポートを中心に行っています。一人一人にあわせた丁寧なキャリアプランのご提案で、常に高いお客様満足度を頂いております。
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