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社労士の年収はいくらなのか?勤務形態別にその現実を紹介

ヒュープロ編集部 川辺
社労士の年収はいくらなのか?勤務形態別にその現実を紹介

社労士の年収はどのぐらいなのでしょうか。
社会保険労務士試験を合格したり目指している人にとっては気になることでしょう。開業するのと勤務社労士として働くのではどちらが稼げるのか。男女では差があるのか。今回は社労士の年収について、様々な角度からの比較や、年収アップの方法までご紹介します。

社労士とは?

社労士は社会保険労務士の略称で、労働法や社会保険の専門家です。社労士になるために必要な社労士資格(社会保険労務士資格)は国家資格です。合格までに1,000時間の学習が必要と言われていたり、合格率が一桁台であることなどから難関国家資格と呼ばれています。

社労士の平均年収は?

厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると社労士の平均年収は約496万円です。
国税庁の令和3年分民間給与実態統計調査によれば、給与所得者の平均年収は約443万円ですので、約53万円ほど平均より多いということになります。求人サイトなどでは、社労士を募集している求人の平均年収は450~650万円程度のものが多いです。
合格率10%未満の社労士試験を合格した方は、「もう少し年収が欲しい…」という本音もあるかもしれませんね。
ただ、ひとえに社労士といっても勤務形態個人の経験値やスキルによっても年収に差が出てきます。

社労士の仕事内容

社労士の仕事は多岐にわたりますが、大きく分けると3つの業務があり、それぞれ1号業務2号業務3号業務と呼ばれています。それぞれに分けて見ていきましょう。

1号業務

1号業務は、労働社会保険関係諸法令にもとづく提出書類作成・提出代行業務です。
具体的には、社会保険の資格取得や助成金などの申請書類作成や、申請書等の提出に関する手続きの代行などをします。ミスがあると重大な法令違反になるおそれがあるため、重要な業務といえます。
1号業務は法律や手続きに精通した専門家の社労士のみが請け負える独占業務です。

2号業務

2号業務は、労働及び社会保険に関する法令にもとづいた帳簿書類作成業務です。
具体的には、企業が作成を義務付けられている「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」などを作成します。

3号業務

3号業務は、企業が抱える課題(例えば働き方改革や女性・高齢者の雇用拡大・ハラスメント問題など)の解決を支援(コンサルティング)する業務です。経営者と労働者の利害をうまく調整しつつ解決に導く必要があり、社労士としての知識だけでなく経営者視点でアドバイスをします。

社労士の独占業務とは?

このうち1号業務2号業務社労士の独占業務と呼ばれ、その名の通り、社労士しか行うことができません。3号業務は社労士のみができる業務ではありませんが、高度な能力が問われるため、専門家として社労士が活躍できる業務といえます。

【勤務形態別に見る】社労士の年収

それでは社労士の勤務形態で年収を比較してみましょう。
社労士資格を活かす働き方として「勤務社労士」「開業社労士」があります。
「勤務社労士」は社労士事務所をはじめとした士業だけでなく企業や労務コンサルティングファームなどに雇用されている社労士、「開業社労士」は独立して社労士事務所を開業し、企業などに労務コンサルティングを提供する社労士を指します。
今回はこの2つの勤務形態に分けて解説します。

勤務社労士として働く場合

「社労士事務所などの士業事務所で働くケース」と「一般企業の管理部門で働くケース」の代表的な2つの働き方における勤務社労士の年収について考えてみたいと思います。 

社労士事務所・社労士法人で働く場合

社労士事務所の勤務社労士として働く場合は、あまり高くなく求人をみてもほとんどが300万~600万円程度となっています。特に資格があっても未経験の社労士の場合は、300万円程度に給与水準が抑えられていたりするケースがほとんどです。
一方社労士事務所で勤務社労士として働くメリットとしては、独立開業を目指す方の場合、将来的に開業する場合のイメージがしやすく、準備しながら経験値を積めるなどの点があります。

一般企業で働く場合

社労士が一般企業で働く際は人事部や労務部として就業するケースがほとんどです。業界、給与水準や任される職務内容などによって千差万別ですので一概に言えませんが、場合によっては800万円以上の年収の方もおり比較的高水準になります。

一般企業で働く勤務社労士の場合は単純に給与があがるという点だけでなく、資格取得によって任される職務内容が変化したり、会社へのアピールになるなど、長期的な視点で見てもキャリアアップにつながる可能性が高いという点も大きなメリットと言えます。

開業社労士として働く場合

開業社労士の平均年収は400~500万円であるといわれています。
社労士の平均年収として先述した496万円に比べると少ないですが、一概に開業社労士の方が稼げないというわけではありません

開業社労士は顧客がほぼ0(ゼロ)から始めることも多く、最初の数年は仕事がない分、年収100万円程度になるケースもあります。
一方で多くの\顧客を獲得したり、継続して利用してもらうことで案件数が増えるとその分年収も多くなっていくため、年収1000万円の開業社労士もいます。

このような様々な状況の開業社労士の平均年収が400~500万円という数字なので、開業社労士でも場合によっては勤務社労士より稼げる可能性もあるのです。ただし高年収を実現するには当然それなりにクライアント数を持っている必要がありますが、その為には社労士としての知識だけでなく、営業力マネジメント力があるかどうかも重要になってきます。

勤務社労士と開業社労士、どちらを選ぶ人が多い?

全国社会保険労務士会連合会が発表している「社会保険労務士白書 2022年版」によると2021年時点で4万4千人以上の社労士が活躍しており、その内訳は以下の通りです。

開業 法人の社員 勤務等 合計
24,429名 3,354名 16,420名 44,203名

「法人の社員」と「勤務等」を合算した勤務社労士は44.7%、開業社労士は55.3%ということで、どちらかというと開業を選ぶ人が多いようです。

【男女別にみる】 社労士の年収

基本的に社労士業界の転職や就職では経験やスキル、そしてなんといっても資格の有無が重視されるため、女性の社労士も多く存在します。また、年収に関しても女性が不利になるようなことは一切ないといってよいでしょう。
また、ライフイベントによる休職やブランクからの復帰を懸念する方も多いですが、社労士有資格だと市場価値が高くなるので需要が高いため、スムーズに復職することもできることでしょう。

【年代別にみる】 社労士の年収

では年代別ではどうでしょうか?弊社のデータベースでは以下のような相関となっています。

年齢 平均年収
20代 450万円
30代 570万円
40代 670万円
50代 710万円
60代以上 780万円

こちらはあくまで平均年収を表したものですが、社労士の資格さえ持っていれば必ずこれくらいの年収が稼げるという指標ではありません。先述したように、社労士の年収を決める大きな要素は経験やスキルだからです。つまり25歳で社労士資格を取って10年間社労士事務所で働いた35歳の方と、35歳で社労士資格を取って社労士事務所に初挑戦する方であれば、当然前者の年収が高くなります。

つまり、年代が上がるに連れ年収が高くなっているのは、年齢が上がるごとに経験者の割合が増えていくことに起因しているだけなので、年齢と年収の相関はほとんど意識する必要がありません。また実務経験についても、その年数よりは行うことができる業務スキルがどの程度あるのかが重視されます。

社労士が年収をあげるには

ここまでで勤務形態(働く職場)や実務経験によって、社労士の年収がある程度決まるのがお分かりいただけたと思います。
ということは社労士が年収アップを実現するにはスキルを身に着けるか、キャリアチェンジをする、もしくはその両方を実行する必要があります。

スキルアップする

先述した通り、社労士の業務は1号業務から3号業務に分けられます。このうち社労士の独占業務である1号業務と2号業務については、今後AIなどに取って代わられる業務とも言われているため、この業務を極めても年収を上げる要因にはなりにくいです。

一方で、人事制度や人事評価構築など3号業務と呼ばれるコンサルティング業務は、しばらくは人しかできない業務とされているため3号業務をメインとしていくことで、市場価値があがり年収も高くなる傾向があります。
3号業務は社労士の独占業務では無いので、社労士としての価値を上げる要因になるのか懐疑的な方もいらっしゃるかも知れませんが、労務の専門家である社労士にコンサルティングを依頼する企業が多いため、十分に年収を上げる要素になり得ます。
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キャリアチェンジする

社労士事務所などで働く勤務社労士の場合は、やはり開業をして独立することで大きな年収アップを狙うというケースが多くなります。先述したように、1,000万円以上の年収を狙うことも十分に可能です。また場合によっては勤務社労士として働いていた時の担当顧客を独立時にそのまま引き継げるケースもあります。このようなケースであれば比較的早期に高い年収を得られる可能性もあると言えるでしょう。

また、一般企業の管理職も社労士事務所よりは高年収が狙えるだけでなく、福利厚生の充実さや経営面の安定感もあることが多いので、そのような環境で働きたい方にもオススメです。

ただし、独立なら年収が不安定な可能性も大いにありえること、一般企業であれば社労士としての知識やスキルを使う機会が限られている可能性があることに留意していただく必要があります。

もちろん、社労士事務所から別の事務所に転職するのも有効な手段といえます。特に小規模な事務所からの転職であれば、全国展開しているような社労士法人に転職すると年収アップが実現しやすいでしょう。

最後に

難易度が高いと言われる社労士ですが資格をとれば、即座に大幅な年収UPが見込めるというものではありません。開業直後や未経験での就職をした場合の給料などを知っている人に「資格の難しさと見合わないからやめとけ」などと言われたこともあるかもしれません。しかし、資格取得後も「会社から必要とされる領域は何なのか」常に考え実践し経験を積んでいくことで、市場価値が高まり、それが年収にも反映されてきます。近年どんな企業においても働き方改革の重要性は高まってきており、社労士が活躍できるフィールドは大きく広がりをみせており、様々な可能性があることも事実です。せっかく努力をして勝ち取った資格を少しでも活かせるよう今回の記事を参考にしていただければと思います。

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この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINE編集部の川辺です。転職エージェントとして多くのご登録者様からご相談をいただく際に伺った転職に際しての悩みや不安、疑問を解消する記事をご覧いただけるよう、日々奮闘中です!ご相談はヒュープロ公式Xまでどうぞ!
カテゴリ:転職・業界動向

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