経理や会計の担当者にとって避けては通れないのが、この決算書の作成です。多くの書類が求められる大変な作業ですが、企業にとってはとても重要なものなのです。今回は、決算書の作成方法や業務におけるポイント、そして決算書の作成に携わるにはどのような勉強をしておけばいいのかといったことを解説していきます。
決算書を作成しなければいけない理由としては、国民そして企業の義務とされている税金を正しく申告をするためだといえます。さらに、株主に対して事業の年間報告をするためでもあります。株式会社の場合であれば、事業年度終了から3ヶ月以内に株主総会が開かれますが、この場で株主に会社の現状を伝えるために必要となるのです。他には、与信に影響をするからといった理由もあります。銀行から融資を受ける際にも決算書は確認されますし、取引先の信用調査としても使われるのです。
決算書の作成には、多くの書類が必要となります。書類名と簡単な解説を記載しましょう。
財務諸表と決算書を併せて決算報告書といいます。損益計算書、賃借貸借表のほか、株主資本等変動計算書、キャッシュフロー計算書、製造原価計画書などです。企業の財務状況や経営状況をわかりやすく表している書類といえます。
「主要簿」ともいい、すべての会社で作成することが義務付けられています。現金、預金、仕入、売上などの勘定科目ごとの元帳であり、会社のすべての取引がまとめられた書類です。企業したてであっても膨大な量となるため、手書きで作成するのは大変でしょう。会計ソフトを利用すれば、作成しやすいです。
「科目明細書」ともいいます。損益計算書と賃借対照表に記載がある勘定科目について、内訳をそれぞれ記載されている書類です。資産ついては残高のあるもの、損益科目については主要なものを作成する必要があります。
財務諸表をまとめている決算報告書と、収支の詳細が載っている勘定科目明細書などをひとまとめにしたものです。
課税売上が1,000万円を超える場合は、所得税申告書を作成し、税務署に提出する必要があります。原則課税と簡易課税の2種類の計算方法があり、どちらの計算方法を選択するのかによって、申告書をともに提出をするものが変わってきます。
「事業概況書」ともいいます。事業内容や従業員数、取引についてなどの会社の情報が記載されている書類です。
法人事業税、法人住民税といった地方税の申告に欠かせない書類です。法人の場合は、税務署とは別に、都道府県に対しても提出する必要があります。
会社の取引において、経費として支出したものの領収書を日付順に並べて綴じたものです。総勘定元帳と同じく、すべての会社において作成が義務付けられており、国税庁による税務調査時にも確認が行われます。
申告書の提出、税務調査の立ち会い、問い合わせの対応などに関して、税理士に代行を依頼したということを証明する書類です。ただし、この書類は税理士にしか作成できないことになっています。
このように決算書の作成には多くの書類が必要となります。決算書の作成には期限があるため、何も考えずに進めていては効率が悪く、時間ばかりかかります。しっかりと何から手をつけていくべきか流れを考えていく必要があります。決算書作成の流れは以下の通りです。
決算書の作成には会社に関するデータが必要になります。決算仕訳などの入力に必要とされる領収書や請求書といった書類を整理していきましょう。
データを揃えたら、次は減価償却費、期末棚卸、未払金や前払金などの決算整理仕訳を行います。すべて入力し終えたら、現金、通帳の残高、会計ソフトの残高が同一であることを確認しましょう。
決算の残高の確定を終えたら、税務諸表である損益計算書や賃貸対照表を作ります。
決算書の作成に関する賃借対照表や損益計算書についての作成方法は、日商簿記3級でも学ぶことができます。また、株主資本等変動計算書、附属明細書、個別注記表に関しては、日商簿記1級や、税理士の会計科目(財務諸表論と簿記論)が勉強範囲となります。
決算書の作成には多くの書類が関わってくるため、すべての書類の内容を理解し、効率よく作成を進めていく必要があります。決算書作成について、実務経験もないまますべてを学んで理解することは難しいですが、日商簿記を勉強していくとそれらの内容が学習できます。将来、決算書の作成などを行う経理に携わりたい人は、簿記の勉強を始めましょう。