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不課税と非課税の違いとは?

HUPRO 編集部
不課税と非課税の違いとは?

「不課税」と「非課税」という言葉はとても良く似ています。どちらも消費税がかからないことを意味していますので、混乱してしまうことも多いのではないでしょうか?本記事では不課税と非課税の違いについて解説します。

「不課税」とはそもそも消費税の適用の対象にならない取引

まずは不課税です。
消費税の課税の対象は、国内において「事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等と輸入取引」です。

つまり、国外取引、対価を得て行うことに当たらない寄附や単なる贈与、出資など、これにあたらない取引はそもそも消費税の対象外なので「不課税」と呼ばれます。

不課税取引の具体例について

(1) 給与・賃金
(2) 寄附金、祝金、見舞金、補助金等
(3) 無償による試供品や見本品の提供
(4) 保険金や共済金
(5) 株式の配当金やその他の出資分配金
(6) 資産について廃棄をしたり、盗難や滅失があった場合
(7) 心身又は資産について加えられた損害の発生に伴い受ける損害賠償金(※)

(7)損害賠償金でも、例えば次のような場合は対価性がありますので、課税の対象となります。
・損害を受けた棚卸資産である製品が加害者に引き渡される場合で、その資産がそのまま使用できる場合や、軽微な修理をすれば使用できる場合
・無体財産権の侵害を受けたために受け取る損害賠償金が権利の使用料に相当する場合
・事務所の明渡しが期限より遅れたために受け取る損害賠償金が賃貸料に相当する場合

出典 国税庁WEBサイト タックスアンサー:No.6157 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例

損害賠償金の課税については、以下の記事でも詳しく説明しています。併せてご一読ください。
・損害賠償金に消費税がかかる場合がある!

非課税とは本来であれば課税対象から外されている取引

次に、非課税取引です。

非課税取引とは、本来であれば消費税の対象の取引にあたるものです。
しかし土地、有価証券、商品券などの譲渡、預貯金の利子や社会保険医療などは、その内容から、課税対象になじまないものや社会政策的配慮から消費税を徴収しません。

非課税取引の具体的な例

(1) 土地の譲渡及び貸付け

土地には、借地権などの土地の上に存する権利を含みます。
ただし、1か月未満の土地の貸付け及び駐車場などの施設の利用に伴って土地が使用される場合は、非課税取引には当たりません。

(2) 有価証券等の譲渡

国債や株券などの有価証券、登録国債、合名会社などの社員の持分、抵当証券、金銭債権などの譲渡

ただし、株式・出資・預託の形態によるゴルフ会員権などの譲渡は非課税取引には当たりません。

(3) 支払手段の譲渡(注)

銀行券、政府紙幣、小額紙幣、硬貨、小切手、約束手形などの譲渡
ただし、これらを収集品として譲渡する場合は非課税取引には当たりません。
(注) 平成29年7月1日以後、資金決済に関する法律第2条第5項に規定する仮想通貨の譲渡は非課税となっております。

(4) 預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等

預貯金や貸付金の利子、信用保証料、合同運用信託や公社債投資信託の信託報酬、保険料、保険料に類する共済掛金など

(5) 日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡

(6) 商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡

(7) 国等が行う一定の事務に係る役務の提供

国、地方公共団体、公共法人、公益法人等が法令に基づいて行う一定の事務に係る役務の提供で、法令に基づいて徴収される手数料

なお、この一定の事務とは、例えば、登記、登録、特許、免許、許可、検査、検定、試験、証明、公文書の交付などです。

(8) 外国為替業務に係る役務の提供

(9) 社会保険医療の給付等

健康保険法、国民健康保険法などによる医療、労災保険、自賠責保険の対象となる医療など

ただし、美容整形や差額ベッドの料金、及び市販されている医薬品を購入した場合は非課税取引に当たりません。

(10) 介護保険サービスの提供

介護保険法に基づく保険給付の対象となる居宅サービス、施設サービスなど

ただし、サービス利用者の選択による特別な居室の提供や送迎などの対価は非課税取引には当たりません。

(11) 社会福祉事業等によるサービスの提供

社会福祉法に規定する第一種社会福祉事業、第二種社会福祉事業、更生保護事業法に規定する更生保護事業などの社会福祉事業等によるサービスの提供

(12) 助産

医師、助産師などによる助産に関するサービスの提供

(13) 火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供

(14) 一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け

義肢、盲人安全つえ、義眼、点字器、人工喉頭、車いす、改造自動車などの身体障害者用物品の譲渡、貸付け、製作の請負及びこれら身体障害者用物品の修理のうち一定のもの

(15) 学校教育

学校教育法に規定する学校、専修学校、修業年限が1年以上などの一定の要件を満たす各種学校等の授業料、入学検定料、入学金、施設設備費、在学証明手数料など

(16) 教科用図書の譲渡

(17) 住宅の貸付け

契約において人の居住の用に供することが明らかなものに限られます。
ただし、1か月未満の貸付けなどは非課税取引には当たりません。

出典 国税庁WEBサイト タックスアンサー:No.6201 非課税となる取引

課税売上割合の計算上の不課税と非課税の違い

支払う側からすると、同じように思える「不課税」と「非課税」ですが、売上割合の計算においては扱いが異なります。
厳密には、非課税仕入なのか不課税仕入なのかは、しっかりと分けて入力する必要があります。
課税売上割合は、分母を総売上高(課税取引、非課税取引及び免税取引の合計額)とし、分子を課税売上高(課税取引及び免税取引の合計額)としたときの割合です。

非課税取引は、原則として分母にだけ算入しますが、これに対して、不課税取引は、そもそも消費税の適用の対象にならない取引ですから、分母にも分子にも算入しません。

出典国税庁WEBサイト タックスアンサー:No.6209 非課税と不課税の違い

まとめ

不課税と非課税の違いについては「いわれてみれば、確かに消費税を払っていない」という取引については思い当たるものも多いのではないでしょうか。
税金を払わないという結果は一緒でも、その成り立ちが異なる不課税と非課税。どちらかわからない時は、このページや国税庁のサイトで改めて確認してみてくださいね。

この記事を書いたライター

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