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損害賠償金に消費税がかかる場合がある!

HUPRO 編集部
損害賠償金に消費税がかかる場合がある!

損害の発生に伴って受ける損害賠償金。消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡や貸付け、役務の提供が課税の対象になりますが、果たして損害賠償金は消費税の対象になるのでしょうか?本記事では、損害賠償金の消費税について解説します。

損害賠償金とは?

「損害賠償」とは、「債務不履行」と「不法行為」を主な原因として、他人に与えた損害を填補することです。

民法および自賠法の規定により、故意または過失(仮に過失がなくとも「無過失責任」として責任を負うことがあります)によって他人の身体または財物に損害を与えた場合、その損害について原則として金銭(損害賠償金)で賠償する責任が生じ、これを「損害賠償責任」といいます。

損害賠償金が生じる場合は、大きく分けて2つあります。

(1)財産的損害

被害によって失った財産や利益に対しての損害は「財産的損害」です。例えば自動車事故であれば車の修理代や治療にかかった費用、仕事を休んだ間のお給料などが該当します。

(2)精神的損害

これに対し、事故被害によって受ける精神的苦痛については「精神的損害」です。
具体的には以下のような状況が該当します。

・ケガをして入院や通院が必要な障害を受けた事による精神的な苦痛
・事故による後遺症や障害が残ってしまった場合の精神的苦痛
・被害者死亡により遺族が受ける精神的苦痛

被害者が受けた精神上の打撃は「無形損害」ともいわれ、その賠償金は「慰謝料」とも呼ばれることが多いです。つまり「慰謝料」は「損害賠償金」に含まれる概念になります。

損害賠償金と消費税の関係

消費税が課せられる原則としては、国内において「事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等と輸入取引」となっています。

損害賠償金については、資産を譲渡しているわけではなく、失ったものを補てんしているため、この対価には該当しませんので、通常消費税はかかりません。

しかし、損害賠償金の内容によって資産の譲渡等の対価に当たるかどうかは、実態に即して判定すべきものと考えられています。

例えば、次のような損害賠償金は、その内容からみると「資産の譲渡又は貸付けの対価」にあたるとみなされ、消費税の課税対象となります。

①損害を受けた棚卸資産である製品が加害者に対して引き渡される場合において、その資産がそのまま、または軽微な修理を加えることによって使用することができる場合

例えば、棚卸倉庫にあった洋服に飲み物をこぼしてしまい、弁償したとします。しかし、その商品は染み抜きすれば充分使えるというような状況であれば、損害賠償金はその商品を買い取ったものとみなされるのです。

この時、もともとの洋服を保有していた所有者が受け取る損害賠償金は、その商品を販売したものと同じ扱いになり、消費税が課税されます。

②無体財産権の侵害を受けた場合に権利者が収受する損害賠償金

このケースに該当するのは、特許権商標権です。

例えば、特許や商標登録されている商品を無断でコピーされて使用されたような場合に、無断使用の損害賠償金を請求するとします。この損害賠償金については、受け取った時点で特許や商標の使用料とみなされ、課税の対象になるのです。

③事務所の明渡しが遅れた場合に賃貸人が収受する損害賠償金

賃貸契約する際に、契約期間が過ぎているにもかかわらず、退去していない場合については、貸主が損害賠償金を請求することがあります。

この時の損害賠償金は、家賃の補てんとみなされますが、住居なのか事務所なのかによって扱いが異なります。
住居の場合は、もともと消費税がかからない取引なので、非課税です。
しかし、その物件を事務所として賃貸している場合は、もともと消費税のかかる取引のため、課税対象となります。
出典:国税庁WEBサイト タックスアンサー:No.6257 損害賠償金

損害賠償金を受け取った場合の税務処理

損害賠償金を受け取った場合は、原則すべて収益となります。
雑収入」などの勘定科目を用い、処理するのが一般的です。損害賠償金が多額になる場合は、受け取るまでに時間がかかることもありますが「受け取ることが確定した時点」での処理になります。

上述のように、消費税の課税対象となる場合については、消費税の処理も必要ですので注意しましょう。

損害賠償金を支払った場合

次に、損害賠償金を支払う場合です。
支払う場合は、経費にできるものとそうでないものがあります。

経費にできる損害賠償金は、業務遂行時に起こった事故などに関するものです。例えば、営業中に取引先に向かう際に起こした事故などで生じた損害賠償金が対象になります。

このような場合は「雑損失」で処理を行います。

業務遂行中でも、事故について明らかに故意や過失がある場合やプライベートでの事故などは、経費にできません。

事業主や法人が負担する場合は「貸付金」として処理を行います。
貸付金は債権に該当しますが、返却が不能の場合は最終的に「貸倒れ」になることもありますので、注意しましょう。

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