世界共通の会計ルールであるIFRS(International Financial Reporting Standards 国際財務報告基準)。2005年には EU 内の上場企業で適用が義務化され、 日本でも2015年に強制適用する予定でしたが、震災の影響などで適用は見送りになっています。
しかしながら、これからのグローバル化において会計基準の統一は避けられない課題です。2019年1月1日以後に開始する事業年度には、リース会計においてIFRS基準が適用されたことを皮きりに、再び強制適用への議論が活発化しています。今回は、日本における会計基準の強制適用への動きについて解説します。
出典:会計基準を巡る変遷と最近の状況 令和元年9月3日|金融庁
国際的な会計基準であるIFRSは、世界各国・地域の証券監督当局や証券取引所等から構成されている国際的な機関である「証券監督者国際機構」(International Organization of Securities Commissions :IOSCO・イオスコ)が、2000年に支持を表明し、欧州を起点として世界各国へ広まりました。
現在では、約130カ国で正式な会計基準として採用されています。日本おいては、2010年3月31日以後終了する連結会計年度より、国際会計基準の任意適用を開始しました。2019年6月末現在、上場企業では215社、非上場企業では2社が任意適用しています。
なお、水産・農林業、鉱業、海運業、建設業、電気・ガス業、銀行業、パルプ・紙業、倉庫・運輸関連業については、その業種の全上場企業がIFRSを適用していません。
しかし、親会社が日本基準を採用している場合、海外の子会社は通常 IFRS を適用することが求められています。つまり、これからのグローバル化において、IFRS の適用・理解するということは避けられないことなのです。
出典:会計基準を巡る変遷と最近の状況 令和元年9月3日|金融庁
2019年7月現在の、IFRSの適用状況です。
EUをはじめとした強制適用、もしくは金融機関を除く全ての上場会社に対しての強制適用の国が、世界的にも多いのが見てとれます。任意適用の国は、日本を含めて10ヶ国もありません。
アメリカは「US-GAAP」という独自の会計基準を持っていますが、その内容はIFRSとは少し異なるため、ルール統合に向けた取り組みが行われているところです。
また、中国でも、2006年に公布された「企業会計規則」は、IFRSに非常に近づいた内容になっており、独自基準のみであっても、世界的にIFRSの適用は避けられない流れとなっています。
本コラムでもIFRSの導入状況について取り上げた記事がありますので、ぜひご一読ください。
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・IFRS(国際財務報告基準)とは?日本基準との違いと導入が進む背景を解説
IFRSの改訂内容については、日本の会計基準にも順次取り入れられており、例えば2018年に適用を開始したIFRS15「収益認識」を取り入れた新しい日本の会計基準(企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」)がすでに公表されています。
「適用」と言っても、会計基準の移行には多大なリソースが必要です。社内のオペレーションなども大幅に変わることがあるでしょう。そのため、いきなり全てをガラッと変更するのではなく、基準ごとに取り入れていき、日本の会計基準自体を少しずつIFRSへ歩み寄らせるようにしています。
IFRSと日本基準については、基準がかなり異なる内容があります。
つまり、IFRSを適用することによって、同じ企業でも売上や利益の金額が大きく変わってきてしまいます。
特に、2019年1月に改訂された新リース新基準については本コラムでも取り上げました。
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・新リース会計基準とは?日本基準への適用も?
しかし、刻々と変わる世界情勢の中で、日本のこのスピード感では対応が危ぶまれているのも事実です。もともとIFRSへの切り替えは行われるはずだったため、またその議論も再燃しています。
金融庁はIFRSの導入に積極的ですが、まだ日本ではIFRS基準についての理解がある人材はなかなかいない状況です。
IFRSはこれから必ず必要とされる知識なので、この機会に勉強しておいてはいかがでしょうか。IFRS検定は日本語で受験が可能です。
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・IFRS検定の難易度は?どんな職場で有効利用できるの?
転職でIFRSを採用している会社への足掛かりにもなる資格として、これから注目が高まりそうです。IFRSが強制適用される日が来ないとも限りません、その時のために求められる人材になっておくのは自分の価値を高めることにもなります。
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