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消費税の申告期限が延長される見込みについて

HUPRO 編集部
消費税の申告期限が延長される見込みについて

令和2年度の税制改正大綱に消費税の申告期限の延長が盛り込まれました。 法人税の申告期限を延長することができる企業について、消費税の申告期限を1ヶ月に限って延長する特例が創設される予定です。本記事では、消費税の申告期限の延長について解説します。

なぜ消費税だけ延長ができない?

法人が納める税金には、法人税、法人住民税、法人事業税、そして消費税があります。
これらの税金は、申告・納付期限は、原則として、その事業年度終了の日から2か月以内です。

「法人税法」第75条の2《確定申告書の提出期限の延長の特例》の規定により、法人税、法人住民税、法人事業税については申告・納期限の延長の特例規定が設けられており、申請により申告期限を1か月延長することができます。

しかし、「消費税法」にはこの延長の特例について定めがないため、事業年度終了の日から2か月以内に納付を行わなくてはなりません。決算が確定するよりも先に消費税を納め、もし税額が変更になる場合は、修正申告または更生の請求を行うこととなっていました。

出典国税庁WEBサイト:法人税の確定申告期限の延長と消費税の確定申告期限

消費税の申告期限延長特例の目的

消費税は申告期限までに精査が間に合わないことも多く、とりあえず見込み額を申告している場合、修正申告の前に税務署から税務調査の通知を受けてしまうと、納付すべき税額の5%を過少申告加算税として納める制度が導入されています。

かといって、2ヶ月以内に申告・納付しなかった場合は、無申告加算税や延滞税などのペナルティの対象になります。

いくら法律での決まりとはいえ、消費税を見込みで納め、監査や株主総会で決算額が変更になった場合、修正申告または更生の請求を行う事務手続きの負荷は相当なものがあります。

さらに2019年10月には消費税が改定され、軽減税率も盛り込まれたことから消費税の処理はより煩雑になりました。3月決算の企業の経理担当者については、5月連休は取ることができないだろうとも言われています。
働き方改革を進めようとしているのに、これでは本末転倒です。
そこで、現在二度手間になってしまっている消費税の申告を一度に集約し、事務手続きの負荷を軽減させるために、消費税の申告期限延長特例が設けられることになったのです。

消費税の申告期限が延長できるのはいつから?

今回の税制改正大綱については、
2021年(令和3年)3月31日以後に終了する事業年度の末日の属する課税期間から適用
となります。

また、消費税の申告期限の延長ができるのは、
法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受ける法人であり、かつ
「消費税の確定申告書の提出期限を延長する旨の届出書」を提出することが要件です。

なお、消費税の申告期限の延長を行った場合、延長された期間には利子税がかかります(利子税は令和2年は1.6%に設定され、この引き下げも税制改正大綱に盛り込まれていますが、いくらかはまだ不明です)

消費税の申告期限が延長される特例が創設されるのは、実務上とても助かることではあります。しかし、申告期限の延長の特例が適用できるのは2021年(令和3年)3月31日以後に終了する事業年度からです。

つまり、これから到来する2020年の3月決算については、これまで通り5月末までの消費税の申告が必要になります。ご注意ください。

出典 令和2年度税制改正大綱

出典 国税庁WEBサイト:延滞税の割合

まとめ

2019年(令和元年)12月12日に与党が公表した「令和2年度税制改正大綱」により、消費税の延長特例が以下の通り創設される旨が盛り込まれました。

・2021年(令和3年)3月31日以後に終了する事業年度の末日の属する課税期間から消費税も法人税と同様1ヶ月の延長特例が適用になる予定
・延長できるのは、法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受ける法人
・消費税の確定申告書の提出期限を延長する旨の届出書が必要

※本稿の情報は令和元年12月25日現在のものです。実際の法案については本稿の記載とは異なる内容が制定される場合もありますのでご注意ください。

当コラム内では、消費税についての記事を他にも公開しています。併せてぜひご一読ください。
・消費税の納付時期と支払方法について
・消費税はどうやって納めるの?手続きについて解説します

この記事を書いたライター

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