税理士有資格者の転職先として、主にあげられる会計事務所・税理士法人以外にはどこがあるのでしょうか?
今回は、税理士・科目合格者が活躍しやすい転職先について、最新事情をふまえて、キャリア・目的別に紹介します。
転職先をご検討中の税理士の方はぜひご覧ください。
税理士・科目合格者の主な転職先としては、
・BIG4などの大手総合税理士法人
・中堅税理士法人・会計事務所
・一般事業会社(経理部・税務部)
・コンサルティングファーム(財務・会計、企業再生、経営)
・金融機関(バックオフィス・事業継承やM&Aアドバイザリー業務など)
など幅広い業種が挙げられます。
税理士・科目合格者の転職先は、税理士法人や会計事務所だけではなく、事業会社やコンサルティングファームなどもあります。どの企業も経理や税務に関する仕事が必ず存在するため、税理士への需要があるのです。
それでは順番に見ていきましょう。
BIG4 とは、PwC税理士法人、デロイト トーマツ税理士法人、KPMG税理士法人、EY税理士法人 のことを指し、世界的に展開する会計事務所の日本ファームとして大手クライアントを中心に幅広い税務サービスを提供しています。
そのほかに、 BIG4には含まれませんが、辻本郷税理士法人や税理士法人山田&パートナーズなど日本発の大手税理士法人 も存在します。
昔からキャリア志向の税理士の憧れであり、国際的な仕事や高度な業務も多く、転職先の候補としてあげられる事は多いです。一定水準以上の給与があるだけでなく、様々な部署があるため、社内でのキャリアパスも充実しており、人気の転職先となっています。
また大手事務所であるため福利厚生や育児支援制度などは充実していることが多く、その後の転職にも有利になります。
しかしBIG4・大手税理士法人ともなると、周りは税理士試験をパスした人ばかりであることが多いため、競争率はその分激しいです。
科目合格者の場合は、難関ではありますが、以下の要素などがあればチャレンジしてみる価値はあるでしょう。
・年齢が20代まででポテンシャルを見込める年代
・税務だけじゃなく英語力もある(TOEIC750~などスコアで表せるもの)
BIG4税理士法人への最新転職事情については下記記事もあわせてご覧ください。
BIG4や大手ほどの規模ではなく、従業員数名〜数十名で展開する、中堅税理士法人や会計事務所です。
近年、相続や国際税務など特化型の税理士法人が増えていたり、クラウド会計の発展により高収益体質な会計事務所が増えていることから、年収や待遇も大手税理士法人とそこまでの差がないところも多いです。
専門性に特化している税理士法人などは、転職後に取り組める業務が決まっていますので、税理士としてキャリアの意向が明確な税理士の転職先としておすすめです。
また大手事務所と比べて幅広い業務を担当できる他、転職への採用活動も積極的に行われていることが多いです。
科目合格者の場合は、受験に対して協力的な体制のある事務所を選ぶとよいでしょう。
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近年、数十名のベンチャー企業から東証一部上場の大手企業まで、経理担当や税務担当に税理士有資格者・科目合格者を募集することが増えています。その結果、** 一般企業で働く企業内税理士も増加傾向にあります **。
勤務したまま税理士資格を取得しても、今のポジションから大きく昇進・昇給することは難しいです。しかし、平均給与が高い業界の企業に転職することで、最初から高い待遇を狙うことができるのがポイントです。
一方で若い人の場合会計事務所にいた頃よりも給与が下がってしまうパターンもあるので注意が必要です。
一般事業会社は、一つの事業や組織に集中して向き合うことができ、福利厚生や長期就業を促す人事制度も会計事務所に比べて整っていることが多い傾向にあります。
大手企業や人材を大事にすることを掲げる新規企業であれば、しっかりと働き方改革も推進しているため、ワークライフバランスを充実させたい方に人気です。
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コンサルティングファームも、税理士・科目合格者の転職先の代表例としてあげられます。
従来の会計や財務に特化したコンサルティングファームだけでなく、** 総合型の経営コンサルティングファームが税理士や公認会計士を募集するケースも多い **です。
企業経営や、合併・M&Aなど、コンサルティングファームが関わる領域には、必ず税務知識が必要とされます。
それだけでなく、事業・経営に関する知識、説明力やコミュニケーション能力など、知識以外の部分でも評価されることが多いです。
独立を含めて、将来的に経営者としてのキャリアを考えている場合は、有力な転職先となるでしょう。
またコンサルティングファームに転職すると年収が上がるケースが多いです。
銀行や信用金庫、証券会社やリース会社等の金融機関でも税理士が活躍する事例が増えてきています。
金融機関では、金融機関自体の経理・税務業務に携わるバックオフィス業務と、会計・税務の知識を活かして顧客にコンサルティングをするフロント業務の大きく二つの業務があります。金融機関特有の税務に関する業務も多く、新しい経験ができるでしょう。
事業再編・M&Aのコンサルティングや、資産管理の設計業務など、税理士の知識や専門性が求められる場面が多く、会計・金融知識を深めたい方が転職先として選択しやすいです。また、金融機関は他の選択肢に比べて平均年収が高い傾向にもあります。
前述の一般事業会社でもそうなのですが、経理や税務といった仕事は、会社によってそこまで内容に差が出るものではありません。(金融は金融庁検査があるので基準が細かくて厳しいということはありますが……)
待遇アップを狙いたいのであれば、その企業の平均年収や福利厚生などをよく調べておきましょう。
転職先を検討するにあたり、自身の年齢も関係してくるでしょう。20代の場合と40代の場合では、将来に向けてのキャリアプランも異なってきますので、それぞれの年齢に適した転職先の選択が必要となります。
ここでは、20代、30代、40代の各年代別に税理士としてのオススメの転職先をご紹介します。
20代で税理士資格を取得された方は、どの転職先も高確率で選択できるため引く手あまたです。科目合格者でも、ポテンシャル採用が狙えます。
将来独立を考えるのであれば、経営知識を深めることができるコンサルティングファームや、独立時と同じ規模の顧客を持つことができる中小会計事務所がオススメです。
ただ、キャリアアップをしたいが方向性が決めっていない方は、BIG4や大手税理士法人に行くのが無難でしょう。
BIG4などは30代半ばを超えると、よほど知識と経験が優れていないと採用されるのが難しいため、20代のうちに挑戦するのをオススメします。
年齢が若い方が選考通過確率が上がり、また入社後のキャリアの選択肢も多いからです。
その後に転職をせずに勤務しながら変わっていくキャリアプランを実現できる可能性が高いのは20代の特権といえます。
20代のいま、しっかりと将来のキャリアを考えはじめたというのは素晴らしいことです。選択肢が多い分、きちんとご自身の10年後・20年後のキャリアについて考えた上で、転職先を探しましょう。
30代は、どの業界においても最も転職意欲が高くなる年代。税理士についても同様です。
家庭を持ったりする方も多く、年収アップが気になる年代になります。
税理士資格を取ったものの激務が続き、家族やプライベートの時間が取れずで、ワークライフバランスを気にされるという方も多いです。
また、この年代から税理士試験を受験される方も多いので、そうなると試験勉強時間の確保が問題となります。
年収を上げやすく、ワークライフバランスも大事にしたいという点では、ある程度年収の高さが保証されている** 金融機関や特化型の中小税理士法人 **がオススメです。ライフプランも立てやすいでしょう。
また、30代のうちに管理職経験を積んでおき、40代以降の転職に備えるというパターンもあります。
いずれにしても、自分は今後どうなりたいのか、そのために足りない経験やスキルは何かということを明確に見極めることが重要です。
40代は、即戦力を求められるため、今までの業務経験に基づいた転職が一般的です。税理士としての専門知識や顧客対応能力はもちろんですが、入社後にすぐ部下がつくケースも多く、マネジメント能力も問われてきます。
近年では、BIG4などの大手税理士法人や特化型税理士法人出身で、特定分野の専門性が高い税理士を、中小の一般会計事務所が幹部候補として採用するケースも多いです。
専門的な税務知識を活かしつつも幅広い業務にチャレンジしてみたいという40代の税理士にはオススメの転職先になります。
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(https://hupro-job.com/jobs/categories/4)
次に転職の目的別に転職先を考えてみましょう。
目的としては年収を上げたい、ワークライフバランスを重視したい、専門性を高めたい、将来独立したい、の4つに分けて解説していきます。
年収を大きくあげる方法は、3つあります。
・管理職になる
・専門性を高める
・独立する
もし、あくまで転職を考える場合は前者の2つのいずれかの方法になるでしょう。
管理職を目指す場合は、自分が勤める企業や事務所で着実に成果を残していくことが求められます。また、成長している会社の方が、上のポジションに空きが出やすいので、管理職になりやすいです。
マネジメント経験があるのとそうでないのとでは、転職時の年収に大きな違いが出ます。そういった点も踏まえて転職先を選ぶようにしてください。
専門性を高める場合は、金融機関や特化型税理士法人など選択肢はいくつかありますが、ここ数年の動向では、金融機関や金融関連のコンサルティングファームが圧倒的に年収条件が良い傾向にあります。
ワークライフバランスを重視したい方にオススメの転職先は、大手企業と中小の会計事務所になります。
先述したように大手企業はワークライフバランスや福利厚生が整っているケースが多いです。
しかし大手企業は、経験以外にも年齢や転職回数・学歴等も見られることが多いため、選考ハードルが厳しいです。また、経理や税務職というのは基本的に会社が違っても業務にそこまでの差はありません。そうなると「なぜその企業なのか?」ということを企業研究をした上でハッキリと答えられるようにしておく必要があるでしょう。
中小会計事務所の場合、代表の方の方針に左右されます。しかし、近年は人手不足のため、繁忙期以外の残業を無くし、働きやすい事務所も増えてきています。
資格取得のための勉強時間確保に、協力的な体制を打ち出している事務所も多いです。
税理士として仕事をする中で、特定の分野に興味を持ち専門性を高めたいという方も多いです。
特定分野を極めたい場合は、転職先としては特化型の会計事務所・税理士法人や金融機関がオススメとなりますが、転職先の会社以上に業務内容や配属に注目した方が良いでしょう。
大手税理士法人やコンサルティングファームで、業務内容や部署を固定して募集されているケースもあります。反対に特化型税理士法人でも柔軟性の高い人員配置を敷いていることもあるのです。数年後には自分が希望していた業務内容が変わってしまうということも少なくありません。
30代・40代で目指すキャリアの方向性が固まり専門性を高めたい場合は、入社後のギャップに戸惑うことのないよう、業務内容や条件も含めて納得できる転職先を決断しましょう。
将来独立して働きたいために税理士資格を取得される方は多いです。「独立しやすい」という点は税理士資格取得の大きな醍醐味でしょう。
将来独立を目指す場合は、独立した際のクライアントとなるべく同じような顧客層を経験できる中小の会計事務所で働くのがオススメです。
さらに事務所を大きくしていきたいという方には、経営全般の知識が手に入り、人脈形成にも役立つコンサルティングファームがオススメの転職先です。
一方で、特に会計事務所・税理士法人の場合、従業員の独立をポジティブに公言していない事務所もまだまだ多くあります。独立に対する事務所の見解については、応募や面接時に確認した上で、選考に望むことをオススメします。
税理士・科目合格者の転職については、転職先の勤務体制や業務内容、社風について詳しく知る必要があります。税理士専門の公開求人サイトがまだまだ少ない状況です。 HP や求人サイトには、本当に知りたい情報が記載されていないケースもあります。
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