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社会保険労務士の漆原香奈恵さんに聞く、努力で叶えられるキャリア形成

HUPRO 編集部2019.05.15

現在、社会保険労務士、行政書士、キャリアコンサルタントの資格を持ち、ご自身で開業された社会保険労務士事務所の代表として活躍されている漆原香奈恵さん。
学生時代の失敗経験を乗り越え、その後どのように資格を取得され、また、ママさんでありながらご自身で事務所を開業し、毎日どのように働かれているのかを、HUPRO編集部の堀澤が聞いてきました。

社労士事務所代表としての普段のお仕事について

ーまず、普段のお仕事についてお伺いしたいのですが、現在は社労士としてどのような業務をされていますか?

2010年にかなえ社会保険労務士事務所を開業して、今年で10年目に入ります。最初、行政書士の資格を取得したのですが、その後、事業会社と事務所に勤めた後、社会保険労務士の資格を取得し、29歳のときに社労士事務所を開業しました。

代表社労士の自らがプレイヤーとして、人事・労務の専門家の立場で経営者の支援をしており、労働保険や社会保険に関する手続きのお手伝い、就業規則作成、助成金の申請代行、その他、労務管理・採用に関する手続きやご相談など幅広く受けています。また、障害年金の請求代理業務に注力し、著書の出版、講演会やセミナー講師のお仕事もさせていただいてます。アットホームな雰囲気の事務所で、女性の起業家や経営者の方からのご相談が多いです。

ー『ママ士業の会』というのも主催されているのですか?

はい、ママ士業の会は事務所を開業した翌年の2011年に発足して、今年で9年目を迎えます。行政書士や社労士に限らず、弁護士や公認会計士、税理士など、仕事、育児、そして主婦として、全てに真剣に向き合う法律・会計系の士業領域で活躍するママさん同士で、2ヶ月に1回集まり会を開いています。

私自身が現在2児の母なのですが、仕事の話に限らず、本当に気兼ねなく育児の話もでき、皆さんお互いに相談し合える環境です。この会は私自身のライフワークとして考えていて、普段の仕事とは別の存在で捉えていますが、でも結局はこの会がきっかけで仕事に繋がることもあります。

学生時代に行政書士を目指したきっかけ

ー学生時代に行政書士を目指したとのことですが、きっかけはどんなことでしたか?

実は学生のとき大学受験に大失敗してしまい、ストレスによるもの凄い肌荒れやコンプレックスを抱え、もう誰にも会いたくないという気持ちで過ごしていた時期がありました。
また、ちょうど平成の大不況の時期と重なり、テレビのニュースでもそういった情報ばかりで、自分自身もこのままではいけないという先の見えない恐怖心がありました。

でもそんな時に落ち着いて考えてみて、時代や周囲に振り回されず自分の足で立って生きていこうと覚悟を決めて、また、もしものときの選択肢を増やしたいとも考えました。
そして、女性ならではの結婚、出産、育児というライフステージの変化や社会環境に左右されずに、何度でもゼロからスタートできるよう、資格という武装を得ることに励もうと思ったのが、行政書士を目指したきっかけです。

今考えると、大学受験失敗の経験は、受動的な生き方から主体的な生き方に自分自身を変えてくれた大きな出来事の一つだったと思います。また、19歳の時に10年計画も同時に立てて、今ほぼ計画通りに進めることができています。

ー資格試験合格のためにどのように勉強をされましたか?

大学卒業後、結果として社会人2年目のときに行政書士試験に合格することができ、その次に社労士を目指して試験勉強を始め、そちらは6ヶ月で合格することができました。それだけ聞くと順調なように思えますが、行政書士試験の合格は3回目にしてやっと受かりました。学生のときはお試しで受けて、2回目の試験は今までで一番勉強したのに落ちてしまって、でもこのままだといけないと思い3回目にトライしてようやく合格することができました。この時は働きながらでしたので、試験合格のために仕事終わりに家に帰らず、漫画喫茶で勉強してました。

ー漫画喫茶で試験勉強されていたのですか?

仕事終わりで疲れきった顔なので誰にも見られたくないですし、でも仕事が終わって疲れ切って家に帰るとすぐに寝てしまうので、漫画喫茶の5時間パックというのを利用して強制的に勉強してました。(笑) 5時間という時間の制限がある中で、人目も気にせずに集中できるので、自分にとってはそれが良くて、結果この勉強方法を取り入れてからようやく試験に合格することができました。

大学卒業後〜開業までの経緯

大学卒業後はどのような進路を進まれたのですか?

将来独立も視野に入れて、その前にまずは大企業・中小企業・個人事務所、それぞれで勤務経験を積みたいと思いました。大学卒業後の1社目は卸売業の会社でした。そこでは、店舗に配属されれば自動車登録などの行政書士の補助的な業務に携われることも少し期待して入社しました。ただ、実際に配属されたのは、本部の営業推進チームという部署でしたので、行政書士業務に関係する仕事はできませんでしたが、それはそれで自分の未熟さを知る良い経験になったと思っています。

しかし、職場の環境から、行政書士の試験勉強との両立は難しいと考え、退職しました。やはり行政書士試験に絶対に合格したいという思いが強かったため、次の会社に移り仕事と試験勉強を両立させながら、結果として2社目の会社に在籍中に合格することができました。

独立するまでに何社か勤めましたが、開業後に役立つスキルが身につく業務に携ることができる職場を求めました。ある会社では人事・総務部門のホームページの更新が担当業務の一つにあり、そこでWEBサイトについての基礎を学ばせていただいたおかげで、開業してからもその知識が役に立っています。

また、社会保険労務士の資格も会社に勤めながら取得しました。このときは行政書士の試験勉強で学んだ内容やコツが役に立ち、行政書士のときと比べるとスムーズに合格することができました。

私は29歳で開業しましたが、それまでは「勤務経験を通じたスキルアップ」と「何かしらの資格勉強」を常にセットでやるという考えで20代を過ごしました。今振り返ると、少し先を急ぎすぎたとも思いますが、失敗しても何度でも立ち直れる20代のうちにいろいろチャレンジしようと、大学受験失敗から立ち直ったときに覚悟を決めていました。失敗しても気軽に軌道修正できるのは20代まで、むしろ失敗の経験を重ねるぞという気持ちでチャレンジしましたね。

ーご自身で社労士事務所を開業すると決めたきっかけは何だったのでしょうか?

私の性格上、子どもの体調不良や行事などを理由に仕事を休みたい、早退したい、とお願いすることに申し訳ないというストレスを感じてしまい、またそれが言えなかったりで、子どもが小さい頃に会社に勤めるのは厳しいと感じていました。

そして、1人目の出産をした後、乳児を抱えてしばらく身動きができない時期がありました。その時に、「何もしないよりは、小さなことでも何かをしたほうがいい」と思い立ち、そこで、アメブロで育児日記を始めました。ブログによって、ママさんで仕事を両立している士業の方々の存在を知り、それがきっかけとなり、私も開業しようと思い切り、長男が1歳になるとすぐに社労士開業登録をしました。

それまでは、本当は子供が3歳ぐらいになってから開業を考えようと薄々思っていたのですが、結果的に早めに開業して良かったと思います。女性は特に、結婚してからとか、出産してからとか、子どもが何歳になってからとか、何キロ痩せたらとか・・・、何かを始めるのに自分にセーブをかける人が多い傾向にあり、私も典型的にそういうタイプでしたが、今は何かをしながら考えれば良いと思うようになりました。

コネなし、宣伝広告費ゼロ、営業経験もない状態での開業

ー開業当初はどのように仕事の依頼をもらっていたのですか?

はじめは私自身営業ができるわけでもなく、また紹介してもらうツテもない状態でした。そんな状態で、最初に依頼を受けたのはやはりブログでの繋がりでした。2〜3日に1回更新していたブログをきっかけに、税理士さんの紹介で仕事の依頼を受けました。ちなみに、先ほどご紹介したママ士業の会も最初の出会いはブログでの繋がりでした。

開業してから現在まで働き方

ー独立してよかったことや、反対に大変だったことはどんなことがありますか?

良かったことは、仕事にやりがいや喜びを感じられることです。仕事は一生懸命やった分はいろいろな形で必ず返ってきます。それは、ありがとうの言葉だったり、わらしべ長者のようなことがあったり、お金だったり、経験だったり、信頼だったり・・・・。大変というか、気をつけなければならないのが、制限時間がないので、いつでも仕事のことを考えてしまうことと、いくら仕事をしても苦にならないので、意識的に健康管理をしないと、体を壊しかねないところです。

ー仕事と子育ての両立・バランスは難しくなかったですか?

子育てが大変だな~と感じるときは、やったらやった分だけ返ってくる仕事のやりがいが心の支えになるし、仕事が大変だな~と思ったときには、子どもが癒しになりますね。いつもいずれかに気持ちの行き場があるので、活力の源にもなっています。ときには仕事しすぎで家族に罪悪感を抱えることもありますが、何だかんだで子どもたちは仕事している私のことが好きなようで、ちょっぴり誇りにも思ってくれているみたいです。

両立するための時間のやりくりについては、お客さまと約束した予定は最優先ですが、予定を入れる順番は、先に子どもの年間イベントや行事をカレンダーに入れてしまうので、子どものことで参加したいものは全て出席しています。大体子どもの学校行事は年度のはじめにはわかるので、ほぼ問題なく調整できていますね。

ー漆原さんの実際の1日のスケジュール教えてください

私の場合、平日は毎朝5時に起床して、まとまった時間に集中したい執筆活動や審査請求の書類作成などの仕事から開始します。朝食のお味噌汁はできるだけ欠かさないように作り、子どもの登校を見送りした後、8時半からメールチェックして、日中は打合せやご相談対応などの外回りが多いですね。17時〜18時半までは仕事や子どもの習い事の送迎など柔軟に時間を使い、18時半から夕食の支度などの家事をして、20時からは子どもの勉強を一緒に見ます。そして自分の時間も欲しいので21時からは休憩(ドラマ見たり、携帯見たり)して、23時からまた少し仕事して就寝という感じですね。
土曜日は平日にできなかった細かな掃除や子どものことで把握漏れしていることが無いか確認したり、やり残した仕事をしたりして、日曜日は決まって家族全員で出かけています。

女性の労働環境について

ーここ10年での女性の労働環境について、女性の起業家や個人事業主をお客様に持ち、実際に現場にいながらどのように感じていますか?

私自身は女性だから損したことや生きづらさを感じたことが今まであまりありません。私が鈍感なだけかもしれませんが、社会全体では、職場で子どもの話が会話に普通に出てきたり、子連れ出勤、育児休業、職場復帰、短時間労働も珍しくはなくなりました。私も、よくよく思い出してみると、開業当初は、お客様に子どもがいることすらお話しすることはほとんどありませんでしたが、今では何の躊躇もなく普通にお話ししています。こういった変化は小さなことのようで、とても大きなことだと思います。育児休業給付金の手続き件数も増えていて、今までは出産したら両立できないから育児休業を取得する前に退職としていた業種の会社でも、育児休業から職場復帰までされる方がでてきています。

ー平成28年に施行された女性活躍推進法についてはどうですか?

日本の幼少期からの教育で染みついた男女の違いに対する強い固定概念や意識を変えるためには、法律や優遇措置によって、無理やり背伸びするところから入り、それがいつか慣習になり、気づいたら当たり前のようになっていた、というようになっていけば良いと思います。女性に下駄をはかせているとか、女性活躍と言っている時点で平等じゃないとか、いろいろな意見があっていいと思いますが、女性活躍推進法は変わるきっかけにはなると思います。女性活躍という視点から、既にダイバーシティーやグローバルに視点を向けて取り組まれているところも増えています。

ー最後に、士業の強みについてのご自身の考えを教えてください

士業に限らないですが、資格を持っていることで信頼してもらえるというのはあると思います。地方自治体や行政機関と一緒に仕事ができるのも資格を持っているからだと思いますし、私が社労士でなければ、やりたい仕事にたどり着くことも、連載などの執筆や本の出版やラジオ出演、インタビューを受けることもなかったと思います。資格はあくまでも武器の一つにすぎませんが、武器を上手に活用することで、目的地への到着スピードは鈍行から特急にもなると考えています。目的地にたどり着いては、次の目的地に向けて走り出す、その過程が人としても成長させてくれると感じています。

ー本日はインタビューさせて頂きまして、ありがとうございました。

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カテゴリ:キャリアインタビュー

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