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これで丸わかり!資産除去債務について

HUPRO 編集部
これで丸わかり!資産除去債務について

皆さん「資産除去債務」という言葉をご存じでしょうか。簿記二級で登場する単語ですが、資産除去債務について深く理解できるのを目標に説明してきます。実務や学習において是非参考にしてください。

前提知識となる会計知識を押さえよう

この章の内容は簿記二級を持っている方であれば当たり前の内容ですので、余裕な方は次の「資産除去債務の大枠を理解しよう」に進んで頂いて大丈夫です。経理の方が毎日会計帳簿を付ける目的の一つは、信頼できる決算書を発行することです。そして、殆どのケースでは会社の毎日のお金の支出入を月次・日次でシステム上に記録し、月末締めで一括りにまとめて報告します。

それを最後に年次の報告書でまとめるのが決算ですが、この決算書(財務諸表とも言う)には「売上と利益」という項目と「資産と負債」の項目という二種類の情報があります。この「売上と利益」に該当するのが損益計算書(PL)、「資産と負債」に該当するが(BS)です。PLはProfit& Loss statementの略で「ピーエル」と読み、BSはBalance Sheetの略で「ビーエス」と読みます。上場企業はこのPLとBS(併せて財務諸表と言う)を公開することが義務づけられており、市場において投資家含むステークホルダーが信頼して参照することができるようにわかりやすく正しい会計報告を企業はしなければいけません。

資産除去債務の大枠を理解しよう

資産除去債務は、財務諸表のBS科目である負債に該当します。つまり、「どれだけ借金(将来に支払う可能性が高い義務)があるか」を表す項目の一つです。資産除去債務の文字をなぞると「資産(を)除去(する際に発生することが分かっている)債務」であり、将来に支払うことが分かっている除去費用という意味であることが分かりますね。
具体的には、大型クレーンや裁断機のような有形固定資産を購入する際、それらを長く使用して古くなると捨てる必要が出てきますよね。その捨てる際には、解体費用・粗大ごみとしての撤去費用・業者への回収依頼費用など多くのお金がかかります。こうした将来発生する費用を、発生するとわかっている時点で借金(負債)として計上しようというのが資産除去債務です。

資産除去債務費用をもうちょっと詳しく

資産除去債務は資産を除去する際に計上することができる負債であると言いましたが、例えば機械を使うと機械は老化していき収益性が低下していきますよね。減価償却費とは、機械に投資した金額のうち収益に貢献した分を対応させて費用に計上しようというものですが、現状の会計基準では機械の取得価額に負債額も含めるため自動的に売上に対応されるようになっています。簡単に言うと、「将来の資産除去債務も投資のうちの一つで、売上に貢献した一部になるはずだ」ということです。

また、時間価値という考え方も重要になってきます。20年後の100万円と今現在の100万円は価値が違うというのが投資のルールです。
詳しくは
コラム:投資効率も指標を見て決めるべき?投資に役立つ指標を事例と共に解説!
も参考にしてください。世の中にはリスクがない投資先として「国債」がありますが、20年後の100万円は、今投資するお金92.3万円(国債の利回りが年平均0.4%とする)と同じ意味なので今現在の100万円の価値のほうが高いということです。

少し長くなりましたが、資産除去債務でも同じ時間価値という考え方を用います。20年後に将来発生する除去費用が確定した場合、それを現在まで割り引いて実際に支払う金額ではなくその将来の発生額の現在価値で計上するのです。また、毎年資産除去債務の金額は時間価値の分だけ増えていくわけですから、その増加分は利息費用で処理します。少し専門的ですね。

学習で押さえるポイント

資産除去債務というものについてイメージや大事なポイントを説明してきましたが、会計士受験・簿記検定・税理士試験など多くの資格試験に出てくるのでポイントは押さえておきましょう。ただし、会計士受験の短答式科目である財務会計論では、計算は「資産除去債務の意義を踏まえつつ一連の計算をできること」、理論は「資産除去債務の計上条件」を押さえるなど、科目ごとにプロの講師に確認して対策を練ってください。

実務で押さえるポイント

監査法人や会計事務所において、実務で資産除去債務を扱うことになると、まず間違いなく見積もりの変更や資産除去債務額の計上根拠が大きな論点となります。BIG4ではBIG4独自の監査ガイドラインが存在しているとはいえ、会計上の見積もりなど経営者の恣意的な要素が入る勘定科目は監査法人側がかなりシビアに監査します。その割引率が妥当なのか、見積もり金額が妥当といえるのかをファクトを揃えながら押さえにいきます。

まとめ

資産除去債務について、BS科目としての特徴から実際の学習や実務における内容まで見てきましたが、「どういうときに使う科目なのか、監査上でどれくらいの重みなのか、資産除去債務の根本概念とは」について本記事を通して理解いただけると幸いです。また、学習においても「実務ではどうなのだろうか」という視点も資産除去債務に限らず興味持ちながら学習できると楽しいことでしょう。

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