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ベンチャーキャピタルに転職したい!求める人材はどんな人?

HUPRO 編集部
ベンチャーキャピタルが求める人って?転職理由について

本記事では、経理や財務職からベンチャーキャピタルへの転職を考える人に向けて、ベンチャーキャピタルの転職事情について解説します。ベンチャーキャピタルでは、どんな経験・スキル・資質を持った人材が求められるのでしょうか?

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ベンチャーキャピタルとは?

ベンチャーキャピタル(VC)とは、ベンチャー企業やスタートアップ企業など、これから高い成長性が見込まれる未上場企業に対して出資を行う組織です。その資金は、機関投資家や事業会社、個人投資家から集めます。

投資するポイントとしては、高い成長を短期間に遂げることを前提とした企業であることです。投資家サイドから見れば、VCに期待するリターンは10年で3~5倍。かなりのハイリスクな投資です。

リスクが高い分リターンも大きく、投資先の企業が上場やM&Aを果たせば、多額のキャピタルゲイン(当初の投資額と株式公開後の売却額との差額)を得ることができます。

ベンチャーキャピタルが利益を得るためには、急速に企業価値を高めなくてはなりません。そのために、資金投下と同時に、ハンズオンと呼ばれる経営支援を行います。

そのため、ベンチャーキャピタルでは基本的に新卒採用は行いません。
投資先を選定する力と、経営者のパートナーとして経営にも携わることのできるマネジメント能力、IPOやM&Aにまつわる知識など、多くの能力が求められるため、それぞれの道で経験がありかつ優秀な人材が求められます。

ベンチャーキャピタルの魅力

新しいサービスを作り出す現場に立ち会える

有能な経営者との出会いや給与水準の良さだけでなく、成功のためのノウハウを手に入れることができるのが、ベンチャーキャピタル最大の魅力です。

ベンチャーキャピタルでかかわるのは、基本的にスタートアップの世界。その目的はこれまで見たこともない体験やサービスを創造することです。

例えば、いわゆるGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)は30年前にはこの世にありませんでした。世界の経済をも動かすかもしれない可能性を秘めたスタートアップの成長に関わることができる、それがベンチャーキャピタルで働く最も大きな魅力ではないでしょうか。

前向きなメンバーたちと一緒に仕事ができる

また、大きな夢を持って新たな価値を創造しようとする前向きなメンバーたちと働くことで、自分の能力も高められ、大きく成長できます。

大企業に比べると自分の裁量が大きいところもベンチャーキャピタルの特徴です。プレッシャーや責任の重圧もありますが「自分の力を試したい」方にとても向いている環境といえます。

自分の力で年収アップ

日本の会社員の平均年収は422万円。それに対してベンチャーキャピタルの平均年収は890万円と高い傾向にあります。これだけみるとVCの年収は高いと思うかもしれません。
しかし、VCの年収は会社によってばらつきがあります。

例えば野村證券系のジャフコは上場企業。その平均年収も1161万円と、上場企業の中でも上位です。しかし、同じく上場しているフューチャーベンチャーキャピタル株式会社の場合は、574万円と決して高くはありません。

しかし、ベンチャーキャピタルの給与は、基本収入以外にも成功報酬の歩合が高いことが特徴です。つまり、自分が担当している企業の業績によって左右されます。実力主義なのです。年収が3000万円以上の人もいれば400万円程度の人もいますので、VCだから高年収というわけにはいきません。しかし、自分の才覚で年収アップができるという夢もあります。

ベンチャーキャピタルそのものについては、以下の記事にも記載しています。あわせてご一読ください。

関連記事:ベンチャーキャピタルとは?その種類と仕事内容を解説します

ベンチャーキャピタルが求める人材って?

では、ベンチャーキャピタルが求める人材とはどのようなスキルや経験を持つ人なのでしょうか。順にみていきましょう。

コミュニケーション力

ベンチャーキャピタルの投資対象は未公開企業です。
つまり、情報が世間に出回っていません。一番に発見するくらいのつもりでアンテナを張り、経営者と良好な関係を築く必要があります。
そのため、交流の幅を広げるネットワーキングや、いざ経営者と出会ったら信頼関係を構築できるコミュニケーション能力いわゆる「営業力」が必須です。

仲良くなるだけではダメで「この人と仕事がしたい」と思わせなくてはいけないのです。

また、出資となったら経営者だけではなく、投資家、そして共同投資をしている他社とも関係を築く必要もあります。
実はVC界では、競合他社はライバルではありません。リスクヘッジのためにほかのVCと共同出資を行うケースも多いため、他社との関係も重要です。

昨今の企業の経営者の年齢層は幅広いです。年長者だけでなく下手すると10代の学生起業家ということもあります。

VCとしては、経営に関するアドバイスをするだけではありません。時には起業家のマインドを支えて寄り添い、時には必要な人材を手配するなど、企業を成長させるという目的に向かって、経営者のモチベーションを保つ必要があります。

数値分析力

ベンチャーキャピタルで働くためには、企業のデータ情報に基づき、高い実証分析力が求められます。
特に最近では、スタートアップの経営者自身が公認会計士だったり、投資銀行やプライベート・エクイティ・ファンド(PE)出身者だったりして、ファイナンス知識を専門家レベルで持っていることも多いです。

こうした経営者と良好な関係を築くためには、コミュニケーション能力だけではなく、自身でもファイナンスや資本戦略などにも精通しなくてはなりません。

そのため、最近ではVCにおいても、会計・財務の知識に明るい金融機関出身者を採用することが増えています。

経営・マネジメント能力

ベンチャーキャピタルの社員が経営をするわけではありませんが、出資先の企業に対して経営支援をする場合は、事業戦略だけでなく人材採用・育成・配置といった組織戦略へのアドバイスも求められます。

経営者に頼られるキャピタリストになるためには、企業の課題を発見し解決・成長のための施策を提案できること、そして実行する力が必要です。

経営者視点で、この企業が発展できる目があるのかどうか、現在から数年先までの時流を見ることも求められます。いつ売買・上場すべきかという経営判断も必要です。

ベンチャーキャピタルへの転職と年齢

ベンチャーキャピタルのキャピタリストとして求められる資質は多くあります。
しかし採用側も「全てを兼ね備えた人材」がいるとは、さすがに思ってはいません。
ある程度の資質から判断し、入社後のOJTで教育するというパターンが王道です。
そのため、ベンチャーキャピタルに転職する際に年齢制限はありませんが、20代から30代が中心となっています。

採用判断基準としては、以下の2点が重視されます。
・関連業界などで経験を積んでいるか
・本人のキャピタリストとしての資質

関連業界というと、例えば20代では、金融機関で融資や与信を担当していたり、コンサルティングファーム出身者が採用されるケースが多くなります。30代では、それに加えて、プロジェクトやマネジメントの経験の有無を見ることも多いです。法人営業の経験も重視されます。

ベンチャーキャピタルの転職と経験・資格の有無

ベンチャーキャピタルへの転職をする場合、経験と資格では、経験の方が重要視される傾向にあります。

経験の有無

最近では、新卒採用をするベンチャーキャピタルも見られるようになりましたが、基本的には稀です。転職については、未経験者の場合は何らかの関連業務についている必要があると思っておいた方が良いでしょう。

そのため、VCへの転職希望にも関わらず、現在はまるで関係ない職種についているようであれば、転職して法人向けの営業職につくところから始めるべきでしょう。

資格の有無

実は、ベンチャーキャピタルに転職する際、必要となる資格はありません。
ただし、会社の成長を予測し、投資先を選定した上で実行する仕事であるため、金融に関する専門知識は必須です。

難関資格でもある税理士・公認会計士・中小企業診断士などの資格を持っていれば、十分な知識をアピールすることができます。

また、財務分析力などの金融に関する知識や、海外案件に対応する場合に必要な英語力などの素養があると強いです。例えば、簿記検定や簿記二級や証券アナリスト、TOEICのハイスコアなどで証明できます。

ただし、これらの資格は、あくまで実務経験や本人の志向性がVCにマッチしているという前提で役立ちます。

VCでは、結果を出すことが求められるため、高度な資格を持っていたとしても、経営者とうまくやれない人は求められないからです。

ベンチャーキャピタルが求める人って?転職理由について

ベンチャーキャピタルは激務なの?

ベンチャーキャピタルの出資先は、ベンチャー企業やスタートアップ。いずれにしても新しいサービスを生み出そうとしている企業です。つまり、その経営者も個性豊か。

1日16時間労働は当たり前のような社長もいれば、ほとんど会話をせずプログラミングに熱中する社長もいたりと、さまざまなタイプがいます。

いずれにしてもスタートアップの経営者は仕事命で、夜も昼も仕事をしていることが多いです。プライベートの時間がない人も多いでしょう。

そんな人たちと関わるキャピタリストが忙しくなるかどうかは、経営者がどんなサポートを求めているかによって変わってきます。ですが、経営者に言われるまで何もしないのであれば、キャピタリストとして失格です。

VC自体は、様々な経営者がいることを前提に、割と柔軟な働き方が認められている業界でもあります。激務にするか、自分の時間を調整してプライベートも楽しむかは、個人の裁量が大きくものをいうところでしょう。

関連記事:ベンチャーキャピタルは激務って本当?

ベンチャーキャピタルへの転職時に注意したいこと

いま、多くのベンチャーキャピタルが存在しています。
しかし、VCへの転職は非常に狭き門。転職の倍率も高いです。いずれも「ベンチャー企業・スタートアップを大きく育てたい」という目的は共通ですが、投資対象や投資方法、キャピタリストの関わり方など、各社によって異なります。

そのため、入社後に「自分が思っていたVCではなかった」とせっかく入社しても不満を覚える方も少なくないのです。もともと、VCで定年まで過ごすことはほとんどありません。転職したり、自分で起業したりなどその後のキャリアも様々です。

いま「VCで働きたい」という夢を持っている方は、VCへの転職はゴールではなくスタート。VCで得たキャリアをもとに、その後どうやって自分のキャリアを作っていくかも考えましょう。

VCについては、求人サイトへの掲載もありますが、その募集の多くは転職エージェントを介した非公開のものです。どのような企業が募集しているのか、確認するためにもぜひエージェント登録をおすすめします。

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この記事を書いたライター

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