上場をめざす新興企業を投資だけでなく経営面においても支援し、その価値を高めるベンチャーキャピタル。ベンチャーキャピタルは激務というイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。本記事では、ベンチャーキャピタルの仕事内容について解説します。
ベンチャーキャピタルは、基本的には、上場を目指す会社に投資をはじめした様々な支援とコンサルティングを行い、上場した際のキャピタルゲインを獲得するというのがその仕事内容です。
そのため、多岐の分野にわたる高い知識と業務遂行能力が求められます。
例えば、投資先の会社は問い合わせや紹介を受けることもありますが、実は自分なりに情報収集して案件を発掘しているケースがほとんどです。つまり営業的なセンスは必須となります。
投資先の審査においては、案件ごとに適格かどうかの調査(デューデリジェンス)を経る必要がありますので、その準備のためのデータ収集や資料を作成する必要があります。
契約を締結する際も、その企業の価値評価額を算定したり、契約書をリーガルチェックしたりと、文書作成能力に加え、会計や法務の知識、それらの専門家と話せる程度の知識もなくてはなりません。
また、投資を行ってからは事業の立案や必要な人材の手配、マーケティング、案件管理といった総合的な経営支援(ハンズオン)を行います。コンサルティング能力はもちろん、クライアントは会社の経営者なので、対等に話ができるコミュニケーション能力と知識レベルも必要です。
ベンチャーキャピタルの業務といっても、多くの業務があり、そして1人のベンチャーキャピタリストが複数の案件を同時に抱えています。
つまり、同時並行で上記の仕事をこなしつつ、それぞれの案件の起業家と同じレベルで会社のミッションに深く携わることになるのです。
また、経営者とのコンタクトが非常に重要なため、サポートするクライアント企業の経営者の都合に合わせて動くと、おのずと空き時間である夜間や週末などが忙しくなってしまいます。
自分の時間よりもクライアント企業に合わせて動くため、ワーク・ライフ・バランスを充実させるのは難しいのが現状です。
投資先は会社の運命がかかっていますので、経営者は常に忙しく働いています。それに合わせて動くことになるので、必然的に拘束時間が長くなり、激務ということになるでしょう。
ですが最近は、フレックスタイムや一部在宅勤務などを導入し、変則的な勤務にも柔軟に対応できるように業務体系を見直すベンチャーキャピタルもでてきています。
ベンチャーキャピタルはもともとの給与ベースは比較的高く、年収700~1000万円あたりが平均値といわれています。これは勤務先のカラーにもよるところが大きいです。
というのも、金融機関や企業グループにおけるベンチャーキャピタルはいわば系列会社なので、親会社の年収にはどうしても劣りますが、その分ある意味安定しています。
投資先が上場して利益を上げた場合は破格のボーナスを得られることもあるので、年収については変動が大きいのが特徴です。このボーナス額については、独立系のベンチャーキャピタルの方が高い傾向にあります。
しかし、経営者とゴルフをしながら情報交換するといったようなお付き合いも中にはあるので、自己啓発や交際費など個人的にも出費が多くなります。
ベンチャーキャピタルに転職するのであれば、例えば、経営やファイナンスといったような自分の核となる強みを作ることが、貢献できる仕事をするためには重要です。
仮に未経験であったとしても、MBAや公認会計士、税理士といった資格があれば心強いでしょう。これらは必須ではありませんが、30代前半くらいまでの比較的若い年齢であれば、将来性を加味してもらえるため、転職の可能性は高いです。
公開されている求人は、どうしても限りがあるので、転職エージェントへの登録と相談をおすすめします。一口にベンチャーキャピタルといっても、どういった分野への出資を行っているのかによって、クライアントのカラーが変わってきます。自分に適した業界の会社を支援しているベンチャーキャピタルの情報などを得るためにも、エージェント経由での転職が向いているのがベンチャーキャピタルと言えるでしょう。
ベンチャーキャピタルは、これからの大きく育つ可能性を秘めた企業を見極めて、その成長の手伝いを行いながら一緒に成長していくという、夢とやりがいのある仕事です。その目標を達成するためには、多くのやるべきことがあり、想定外の出来事やメンタル的に負担の大きな対応を求められることもあります。しかしながら、他の企業では得ることのできない膨大な知識と経験を得ることができるのは、何にも代えがたい魅力と言えるでしょう。