未上場企業に対し、成長資金を融資してその成長を促すベンチャーキャピタル。今では世界を席巻するAppleやGoogleも最初はベンチャーキャピタルからの資金提供を受けて飛躍的に成長しました。投資した企業が未来の日本を代表するような企業に成長するかもなんて、夢がありますよね。本記事では、ベンチャーキャピタルを就職先・転職先と考えるにあたって、その種類や仕事内容について解説します。
ベンチャーキャピタルとは、高い成長性が見込まれるベンチャー企業やスタートアップに対し、成長のための資金を株式投資の形で提供する機関です。最終的にその企業がIPOするなどした後に保有株式を売却し、投資額と公開後の株式の売却額の差額であるキャピタルゲインを得ることを目的としています。
ベンチャーキャピタルは、金融機関や事業会社などから出資を受けて投資事業組合を作って投資を行います。その流れには7つの段階があります。
(1)ファンド(投資事業有限責任組合)を組成
(2)出資者を募ります
(3)ベンチャー企業にアプローチして、綿密なデューディリジェンス(企業調査)を行ったうえで、その企業の将来性を判断し、投資するかどうか審査します
(4)投資
(5)ハンズオンと呼ばれる、企業の価値を高めるための様々な経営支援を行います。具体的には、企業が成長するための中長期の成長戦略と事業計画の策定をサポートしたうえで、企業の組織を整えるためのマネジメント人材の紹介、グローバル事業展開の各種サポートなど
(6)エグジット(EXIT)
出資したベンチャー企業が株式上場するなどした場合には、ファンドの保有株式を売却して資金を回収します。
(7)精算 出資者に回収した資金を配布し、ファンドを清算します。
ベンチャーキャピタルは「ファンドの運営責任者」であり、ファンドから得るキャピタルゲインを最大化することが目的です。もし、投資した企業が、そのファンドの期限が近づいても上場できない場合は、投資者にリターンを出すために、ファンドで保有している企業の株式を売却するなどして資金を得る必要があります。
ベンチャーキャピタルでは、成長のための資金を株式投資の形で提供する機関です。では、同じように資金を借りられる銀行とは何が違うのでしょうか?
銀行では、「融資」の形態で資金を供給します。銀行は、企業に貸した融資額に対する金利で収益を生みだすモデルですが、ベンチャーキャピタルは、「出資」の形態で購入した株式の価値が向上することで、その差額を収益とするモデルです。お金を直接回収する銀行と比較して、ベンチャーキャピタルは高いリスクを負うため、企業が成長過程の初期にあれば、より高い利回りを要求することもあります。
日本におけるベンチャーキャピタルは、いくつかの種類に別れます。
MUFJ、SMBC、みずほ、野村、大和、三井住友海上など銀行や証券会社、保険会社、ノンバンクなどといった金融機関の関連会社としてのベンチャーキャピタル
リクルート、サイバーエージェント、伊藤忠、NTTドコモなど、事業会社の関連会社としてのベンチャーキャピタル。
(1)(2)のような親会社が存在せず、独立資本で運営しているベンチャーキャピタルのことです。「freee」や「ジモティー」に投資している「インフィニティ・ベンチャー・パートナーズ」や「メルカリ」「ラクスル」などに投資している「グローバル・ブレイン」などが有名です。
主に政府系機関が運営しているベンチャーキャピタルです。中小企業への支援を積極的に行っています。
「産業革新機構」や「中小企業基盤整備機構」などが該当します。
大学や研究所での新産業の創出によって社会の発展に貢献することを目的としたベンチャーキャピタルです、東京大学や慶應義塾大学などがあります。
これまでベンチャーキャピタルについてお伝えしてきました。では、ベンチャーキャピタルから出資を受けるメリットはなんでしょうか?出資を望むベンチャー企業の立場から考えてみましょう。
ベンチャーキャピタルから資金調達を行うことで、財務状況が改善します。そのため、今まで挑戦できなかった新規事業などに投資を行うことができるようになります。また、有名なベンチャーキャピタルからの出資を受けた場合、「あのベンチャーキャピタルが評価した企業・ビジネスモデルなら将来有望かもしれない」という社会的信頼を得ることができます。その結果、新たに資金調達がしやすくなったり、優秀な人材を採用しやすくなります。
ベンチャーキャピタルは、投資先の財務状況や組織構造など、様々な企業の裏側を経営目線で見続けてきたノウハウがあります。適宜社内の様子や悩み事を打ち明けて相談でき、一緒に悩んだりアドバイスを受けることができるのは、ベンチャーキャピタルから資金調達をする大きなメリットだといえます。
資金調達を行う以上、自社の株式は放出する必要があります。持株比率が低下すると、自社や経営者自身の意思決定権が弱まるため、株式の放出は計画性を持って慎重に行う必要があります。
経営陣の目指す方向性とベンチャーキャピタルの目指す方向性が異なる場合、社内の施策や事業について、干渉を受けることがあります。ベンチャー企業は常に業績に気を配る必要があり、ベンチャーキャピタルと常に良好な関係が築けるかは未知数であるからこそ、自社が出資を受ける際はベンチャーキャピタルとの相性を大事にしましょう。
日本ではベンチャーキャピタルは育たないといわれていますが、例えば最近では「ZOZO」のYahoo!による買収や、すっかり日常に溶け込んでいる「メルカリ」など、確実に成長している企業は少なくありません。
ベンチャーキャピタルでは、主にエクイティ投資に関連する支援を行いますが、その成長を共に歩み、投資した企業が将来の日本社会に大きくかかわるような存在になるよう手助けするという夢のある仕事といえます。
また、スタートアップを率いる、気鋭のベンチャー企業経営者と共に仕事を行うということで、様々な人間関係を経ることや、質の高いアウトプットを出し続けることで、自身の経験や実力をアップさせるような成長機会が多いこともその魅力でしょう。
さらに、自身の担当した投資先が、IPOやM&AなどによってEXITに成功すれば、その貢献度に応じたボーナスなどの報酬も期待できます。
ベンチャーキャピタルが求める人材は、そのファンドの投資先や、元々の成り立ち(例えば金融機関系や独立系など)による違いはありますが、かなりハイレベルであるといえます。
主に求められるのは、
・投資銀行出身者や公認会計士などの財務分析力に優れた人材
・コンサルティングファームやM&Aアドバイザリー出身者など、事業の将来性を精査することに長けた人材
です。
さらに、これらに加えて、いくら知識があっても一緒に仕事を行うベンチャー企業の経営者から信頼されなければ意味がありませんので、高いコミュニケーション能力を持ち合わせていることが必要です。
また、転職するときにどういったベンチャー企業を支援したいかという自身の希望も交えてベンチャーキャピタルを選ぶことが重要です。
例えば、業界の違いもそうですが、確実性が何より重視される場合は、危なげない投資のみになってしまうなどあり、その場合「もっと冒険したい」という希望がある方とはミスマッチになってしまうこともあります。
もしベンチャーキャピタルへの就職・転職を考えている場合は、キャリアの構築や内部事情を良く知る人に相談してからの行動をおすすめします。
ベンチャーキャピタルとは、高い成長性が見込まれるベンチャー企業やスタートアップに対し、成長のための資金を株式投資の形で提供する機関です。
日本においては、金融機関の関連会社、事業会社、商社、通信企業などの関連会社、独立系のベンチャーキャピタル、政府系ベンチャーキャピタル、大学系ベンチャーキャピタルなどといった種類があります。ベンチャーキャピタルへ転職を考えた際、かなりハイレベルなものが求められ、財務分析力に優れている、また事業の将来性を精査することに長けた人材であること、そして高いコミュニケーション能力を持ち合わせていることが必要と言われています。
今後のキャリアとしてベンチャーキャピタルを視野に入れている場合は、自身のスキルを磨き、よく知る人やキャリアエージェントに相談をすることでその企業の内部事情や求める人材をしっかり理解してから動くとよいでしょう。
経理財務に特化!専門エージェントにキャリアについてご相談を希望の方はこちら:最速転職HUPRO無料AI転職診断
空き時間にスマホで自分にあった求人を探したい方はこちら:最速転職HUPRO
まずは LINE@ でキャリアや求人について簡単なご相談を希望の方はこちら:LINE@最速転職サポート窓口