監査法人でIPOに携わる業務がしたいと思っている方も多いと思いますが、そもそも、IPOをたくさん手掛けている監査法人はどこなのでしょうか?BIG4ならどこも一緒なのでは?と思われがちですが、果たしてそうなのでしょうか?
本記事では、2021年1月1日~12月31日までの監査法人におけるIPO件数をランキング形式でまとめました。
IPOに携わりたい方は必見です!
1位 | EY新日本有限責任監査法人(34) |
2位 | 有限責任あずさ監査法人(19) |
3位 | 有限責任監査法人トーマツ(18) |
4位 | 太陽有限責任監査法人(17) |
5位 | PwC京都監査法人(8) |
6位 | 仰星監査法人(6) |
6位 | 東陽監査法人(6) |
8位 | PwCあらた有限責任監査法人(3) |
9位 | 監査法人A&Aパートナーズ(2) |
9位 | 三優監査法人(2) |
TOP10の監査法人を見ると、BIG4であるEY新日本・あずさ・トーマツがベスト3、そして、2018年に優成監査法人と合併した太陽監査法人が4位につけており、大洋監査法人のIPO件数は実はこの3年間で倍増していて急成長中であることがわかります。
EY新日本は4年連続で首位となっています。また、もともとはEY新日本とトーマツが2強だったところに、現在あずさが件数を伸ばしてきている形となっています。
年間のIPO件数というのはここ数年で増えたとはいえ、全体でも120件ほどなので、全体の割合の内60%程度をTOP3で手掛けていることになります。
もし「IPOを手掛けたい!」という強い希望があるのであれば、新日本・あずさ・トーマツのいずれかもしくは太陽有限監査法人への就職・転職を希望すべきと見えるかもしれません。
1位 | PwCあらた有限責任監査法人(797億) |
2位 | 有限責任あずさ監査法人(396億) |
3位 | KPMG LLP(316億) |
4位 | 有限責任監査法人トーマツ(313億) |
5位 | EY新日本有限責任監査法人(261億) |
6位 | 太陽有限責任監査法人(166億) |
7位 | 監査法人アヴァンティア(163億) |
8位 | 仰星監査法人(158億) |
9位 | EY LLP(151億) |
10位 | 監査法人A&Aパートナーズ(137億) |
こうして見ると、件数ランキングと時価総額の平均ランキングは必ずしも一致していません。初値時価総額の平均額とは手がけているIPO案件の規模感を表しています。
PwCあらた監査法人は3年連続で初値時価総額の平均額で1位になっており、件数は少ないながらも例年大型のIPOを手がけているということがわかります。
企業が上場するにあたっては、その企業の規模や歴史にもよりますが、投資者保護の観点から「上場企業の適格性」を満たす必要が出てきます。
例えばオーナー会社でワンマン経営だったりする場合は、コーポレートガバナンスの仕組みが出来上がっていなかったり、従業員のコンプライアンス意識が低かったりと、社内管理体制を整えるところからのスタートになります。
大手監査法人は、そもそも大企業やその関連会社のIPOを手掛けることが多いことから、この審査体制がかなり厳しい面があります。また、現場での折衝と実際の審査担当が分業制になっていることも多く、そちらでの見解の違いから時間がかかることも。そのため、特に何事もスピーディーに事を進めたいベンチャー企業の社長とのコミュニケーションに支障が生じるケースもあるそうです。
また、大手監査法人自体が人手不足であり、さらにIPOの報酬金額も折り合わないというところもあって大手企業以外のIPO案件を積極的に受注しづらいという背景もあります。そこで注目されてきたのが中小の監査法人です。現場との距離が近く、懸案事項の検討や判断も早く、何よりもIPOに対しての意欲を持っている会計士が多いということから、これからシェアを伸ばしていくかもしれないという予感もあります。すでに太陽監査法人が新たにBIG4の間に割り込んできていますし、これから数年のうちにIPOランキングも変わってきそうです。