税理士として就職・転職を検討する際に、どのくらいの企業規模の税理士法人が自分に合っているのか悩むことも多いのではないでしょうか。自らの適性や最終的に独立したいかどうかで、答えは変わってきます。今回は、Big4税理士法人と中堅税理士法人とを比べ、業務内容や特徴について解説していきます。
税理士の転職で名前が挙がることの多いBig4税理士法人とは、次の税理士法人の総称を指します。
・PwC税理士法人
・デロイトトーマツ税理士法人
・KPMG税理士法人
・EY税理士法人
それでは、Big4税理士法人と中堅税理士法人の業務内容を比較してみましょう。
Big4や大手税理士法人の業務内容は、主には次のようになります。
外国との取引に付随して生じる税務関連についての助言を行う業務です。
たとえば、企業が海外進出をする際に、現地に子会社と支店のどちらを作るべきかについて、タックスヘイブン対策税制(CFC税制)や外国税額控除、赤字の所得相殺など、国際的な税務面から複合的なアドバイスを行います。
国内外のM&Aや組織再編における税務アドバイザリー業務を行います。内容は、売り手の資産価値を評価する調査である税務デューデリジェンス、株式売買契約についての折衝サポート、投資ストラクチャーや統合などへの税務的なアドバイスです。企業再生や事業承継についてのコンサルティングも行います。
クライアントは大企業のため、法人税確定申告や、未払税金の計上金額が適正かを判断するタックスレビューなどが多いです。
中堅税理士法人の業務内容は、主には次のようになります。
各種税務申告書の作成、相続における譲渡所得税・贈与税・相続税の申告業務、企業における年末調整業務の代行など、個人から法人まで代理業務を行います。
オーナー企業の事業承継や企業再生、株式公開に伴う資本関係の整理、個人における相続税対策など、税務アドバイスを手広く行います。
税務署が、顧客の確定申告と実際との差異を調査する際に立ち会います。
では、Big4税理士法人と中堅税理士法人で経験できる業務内容の特徴を比較してみましょう。
Big4税理士法人や大手税理士法人の業務内容の特徴は、主には次のようになります。
Big4税理士法人はグローバルに活躍しており、クライアントも国内外の大企業が多いです。そのため、ほかの税理士法人ではあまり経験できない国際税務や、規模の大きなM&Aのアドバイザリー業務、連結納税や組織再編税制など、スケールが大きく高度な業務を経験できます。
業務が膨大で税理士の人数も多いことから、案件やクライアントごとにチームを編成し、分業制で業務を行います。自らの担当分野の専門性を深められる点がメリットですが、業務全体を通した経験を積めない点がデメリットです。
中小零細企業や個人事業主を対象にした業務や、社長とやりとりを行うことがほぼないため、最終的に独立を検討している方にとっては不向きな場合があります。
中堅税理士法人の業務内容は、主には次のようになります。
Big4税理士法人では大企業のクライアントがほとんどなのに対し、中堅税理士法人では個人事業主から大規模な企業まで、幅広いクライアントを担当できます。社長などの経営者と話す機会も多く、独立に必要な経験や人脈を築くことも可能です。
Big4税理士法人とちがって分業制ではないため、業務を最初から最後までトータルで経験できます。また、クライアントの層が幅広いため、多種多様な業務を経験可能です。
分業制ではなく個人単位でクライアントや業務を担当するため、自らの判断がクライアントの業績に直結します。やりがいは大きいですが、ある意味Big4税理士法人よりもコミュニケーションスキルなどを求められる場面もあります。
Big4税理士法人では、グローバルでスケールの大きい、ここでしかできないような専門的な業務を経験できます。しかし、良くも悪くも分業制がメインで、かつ中小企業の業務は経験できないため、最終的に独立を考えているなら、退職後にBig4よりも規模の小さい税理士法人に再度転職する必要があるかもしれません。
自らの適性や最終的な目的を踏まえて、自分に合った企業規模の税理士法人を選ぶようにしましょう。迷う場合は、大規模から小規模まで税理士法人の業務内容や特徴が掲載されている、税理士に特化した転職エージェントの情報を参考することをおすすめします。
Big4税理士法人への転職についてはこちらのコラムも参考にしてみてください。