BIG4税理士法人は税理士法人の中で圧倒的な知名度を誇る業界最大手の組織です。入所できれば高度な専門性だけでなく、自身のキャリアに箔がつくので今後のキャリアアップに役立ちます。そこで本記事では、BIG4税理士法人に転職を希望する方向けにBIG4への転職活動のポイントや年収、そして気になる30代や未経験人材のBIG4への転職事情についても解説していきます。
これから税理士として多方面でのキャリアアップを希望している方は、ぜひ最後までご覧ください!
まずはBIG4税理士法人について簡単に解説していきます。
BIG4税理士法人とは、世界中で活動する国際会計事務所グループのうち日本国内に存在する税理士法人で、次の4つがあげられます。
これらBIG4税理士法人は、いずれも海外に拠点を据える四大監査法人と業務提携を結んでいます。KPMG税理士法人はオランダにあるクリンヴェルド、ピート、マーウィック&ゲルデラー(KPMG)と、EY税理士法人はロンドンにあるアーンスト&ヤング(EY)と、デロイトトーマツ税理士法人はニューヨークにあるデロイト・トウシュ・トーマツ(DTT)と、PwC税理士法人はロンドンにあるプライスウォーターハウスクーパース(PwC)と、それぞれ深いつながりをもっています。
世界の主力監査法人・会計事務所と業務提携をしていることもあって、BIG4税理士法人は顧客クライアントの規模も大きいのが特徴です。大手総合商社や一流メーカー、銀行や証券会社等の金融機関など、日本を代表する大企業がメインクライアントとなっています。また、渉外案件も多く抱えているため、外資系企業のクライアントが多いという特色も見られます。
次に、BIG4税理士法人の主たる業務内容について説明します。クライアント規模が大きく、また、海外案件との関わりが深いことから、以下のように、街の中小規模の税理士事務所とは業務内容が異なる点が少なくありません。
BIG4税理士法人の顧客クライアントは日本国内だけで業務が完結することは少なく、海外に事業拠点をもっていたり、海外との交易が盛んな企業組織ばかりです。したがって、BIG4税理士法人では、タックスヘイブン税制や移転価格税制などの国際的な税制業務を普段から多く取扱います。
このような国際税務は、日本国内で仕事が完結するような顧客を相手にしている中小税理士法人では触れることができない、極めて専門性の高い業務です。税理士として国際的に活躍したいという方は、BIG4税理士法人やそれに匹敵する規模で業務を受注する税理士法人に入所するしかありません。
BIG4税理士法人の顧客クライアントは組織規模が大きなものばかりです。したがって、例えば、M&Aや事業承継等に関連した税務コンサルティングは、企業の業績に直結するだけでなく、将来的な企業の経営方針をも決定づけるほど重要な役割となります。
中小の税理士法人でも組織再編に関するコンサル業務を担当することはありますが、話題になるような大規模なM&Aの案件はBIG4税理士法人が担当することが多いです。
どのような規模の税理士事務所でも、税務代理業務は取り扱っています。ただし、BIG4税理士法人が取り扱う税務は、中小規模の税理士事務所が扱う税務とは扱う数字の大きさがまったく異なったり、連結納税など高度な知識を要求される税務業務を経験することができます。
また、税務に関連する業務として、税務訴訟の相談を受けることもあります。この場合には、法令解釈や過去の判例分析など、租税法に関して極めて高度な専門知識を要することになります。場合によっては、提携する弁護士事務所の力を借りることもしばしばです。
BIG4税理士法人の業務として特徴的なのが、海外赴任をしているクライアント企業の従業員のために所得税や社会保険手続きを代行したり、日本国内で仕事をするクライアント企業の外国人従業員のために所得税等の税務処理を行う点です。
国際的な企業を相手にしているからこそ、そこで働く多国籍の社員のために、きめ細やかなサービスを提供します。
BIG4税理士法人での勤務は、クライアント規模の大きさや国際性から、求められる業務も専門性が高くなる傾向があります。従って大変ではありますが、その分スキルアップに繋がるでしょう。このような専門性の高い業務を普段からこなすBIG4への転職が向いている人として、下記のような人物像が挙げられます。
BIG4税理士法人への転職が向いている人の特徴として、高度な専門知識やスキル習得に対する意欲があることが挙げられます。
先程から説明しているように、BIG4税理士法人のクライアントは、日本を代表する企業がメインです。海外展開をしている会社も多くいるので、扱う業務は必然的に国際税務などの高度なスキルが要求されるものが多くなります。
また、案件も1人でこなせるようなものではなく、大規模なものです。幅広く業務を扱うことには向いていないですが、自分の専門性を磨くのには最適な環境です。専門性を磨くことで自分の強みを身につけることができ、今後のキャリアにも武器として活かすことができます。
そして、ここで重要なのが、このような専門性の高い知識やスキルは、自ら求めなければ習得できないレベルのものであるということです。税理士試験に合格した段階である程度満足しているようでは、BIG4税理士法人で研鑽を積むのは難しいと言えるでしょう。「税理士になってからがスタートだ」という意識こそ重要です。
BIG4税理士法人でバリバリ活躍するには、厳しい仕事をこなして高い収入を得たいというモチベーションをもっていることも重要です。
他の税理士法人に比べるとBIG4税理士法人の給与水準は高いです。そのため収入面を重視する人にはBIG4税理士法人への転職はおすすめです。
もちろん、好待遇の反面、BIG4税理士法人の仕事は非常に忙しいです。特に、税理士の繁忙期である12月〜翌年5月までは、終電で帰宅したり、中には事務所に泊まり込みをしたりタクシーで帰宅するようなケースもあります。ただし、その見返りとして高額報酬を得られます。
したがって、ここまでご覧いただいてわかる通り、忙しくても構わないから高度のスキルを身につけたい、多く年収を得たいというバイタリティにあふれた人が、BIG4税理士法人での勤務に向いています。
BIG4税理士法人は上記の理由から求職者から人気があり、その分選考ハードルは高くなります。そこで、ここからは、BIG4税理士法人で転職採用されるために必要と考えられる能力や条件、スキルなどについて紹介します。
以下のような条件を持ち合わせている方が採用されやすい傾向にありますので、是非参考にしてみてください。
慢性的な人材不足の問題を抱えている税理士業界では、40代、50代でも本来ならば転職は難しい状況ではありませんが、BIG4税理士法人への転職に限って言えば、20代が一番有利で、原則として30歳代半ばまでの人材でなければ転職採用される可能性は低くなります。
従って30代の方は今がラストチャンスなので早めに行動を起こすことをおすすめします。
BIG4税理士法人は、税理士キャリアのトップクラスです。そのため20歳代で税理士試験や公認会計士試験に突破した優れた人材が多く志望するキャリアであるために、一般的な税理士業界の転職市場の水準が当てはまりません。
30代後半以降でBIG4税理士法人への転職を希望するのなら、最低限の業務経験は必須で、中堅の会計事務所での職務歴なども含め、よほど何かしら自身の強みとなる経験やスキルが無いと厳しいでしょう。
BIG4税理士法人に転職採用されるためには、税理士試験に最終合格しているのは当たり前です。
もちろん、3科目以上に合格している段階でも、他にかなり注目すべきスキルを備えているのであれば(高学歴、外国語のスキル等)転職は不可能ではありませんが、できれば5科目すべてに合格していることが望ましいと言えるでしょう。特に、20代で4~5科目に合格できていれば、当然ながら未経験でも採用の可能性はおおいに上がると考えられます。
BIG4税理士法人は、業界トップの税理士法人です。若年層の優秀な志願者との競争に勝つためには、他の転職志願者が有している資格は自身も所有していて当然です。
BIG4税理士法人で働くためには、英語力は必須です。しかも、一般的な転職市場の指針となるようなTOEICなどでスキルを証明するのではなく、より高度なTOEFLやIELTSなどで高スコアを取得しているとようやく有利と言える状況です。
外資系企業のクライアントがある以上英語力は欠かせません。しかも、ペーパーレベルで英語を処理できるだけでなく、ビジネスレベルでクライアントと普通にコミュニケーションが取れなければ意味がありません。
目安として、最低でもTOEIC700点以上、できればTOEIC900点以上でビジネスレベルの英語を有していれば大丈夫、ということが言われますが、転職をより有利に進めるという前提に立つのならば、実地能力を備えているかどうかが最も重要視されるという点をご理解ください。
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BIG4税理士法人の採用活動の詳細については以下の記事を併せてご覧ください。
タイトルでも言及した30代や未経験人材のBIG4への転職事情についてここでは解説していきます。
上記でも少し述べましたが、30代前半で十分なスキルを持っていればBIG4税理士法人への転職は十分可能です。
BIG4税理士法人は20歳代で税理士試験や公認会計士試験に突破した優れた人材が多く志望するキャリアであるために20代の人材と勝負しなければいけないことは覚悟しなければなりません。
一方で30代後半以降でBIG4税理士法人への転職を希望するのなら、最低限の業務経験は必須で、中堅の会計事務所での職務歴なども含め、よほど何かしら自身の強みとなる経験やスキルが無いと厳しいでしょう。
結論から言うと未経験であってもBIG4税理士法人への転職は可能です。
しかしその分未経験だからこそ、資格や一定以上の英語力が求められます。未経験者の場合はやはり税理士資格を有していることが望ましく、もし税理士資格を取得していなくても、3科目持っていると有利にはなると思います。
年齢についてもやはり20代が望ましく、30代で未経験となると厳しくなってきてしまいます。
続いて、BIG4税理士法人に所属する税理士や公認会計士の気になる年収について解説します。BIG4税理士法人レベルになると、税理士試験に合格して税理士として活躍する人だけではなく、最難関国家資格の一つである公認会計士試験に合格したうえで税理士登録をして仕事をしている人も少なくありません。その結果、BIG4税理士法人に所属する税理士の年収はかなり高い傾向にあります。
「令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(厚生労働省)を参考に、職業区分と事業規模のそれぞれの要件をもとに計算すると、おおよその平均年収は800万円と推定されます。
ただし、役職や税理士としてのキャリア、年数ごとに当然年収は違ってきます。通常30代半ばまでに転職すると仮定すると、転職直後につくと予想される役職はスタッフもしくはシニアスタッフ、あるいはアソシエイトというところでしょう。
スタッフの場合、年収のおおよその目安は500~700万円です。シニアスタッフは700~800万円が相場と考えられます。ただし、経歴やキャリア次第では、初年度から高額の年俸を提示されることも少なくありません。また、BIG4税理士法人の中でキャリアを積んでマネージャーやパートナーレベルまで登りつめて行くと、年収1000万円以上はもちろんのこと、数千万円までを得ることも可能になります。
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BIG4税理士法人に転職したら、組織の中で昇格を目指すことになります。出世してパートナーまでたどり着くのは容易ではありませんが、出世すれば数千万円の年収を得ることができます。
また、どこかのタイミングでBIG4税理士法人から別の組織へ転職するのなら、転職先としては、中堅の税理士法人やコンサルティングファームが候補に挙がります。即戦力として活躍が期待できますので、需要はとても大きいでしょうし、要職で迎え入れられる可能性が高くなります。
他には、金融機関や総合商社への転職を成功させている人もたくさんいます。どちらも金融資産を扱ったり、企業分析を行い事業戦略を練るなど、会計や税務知識を有効に活かすことができます。
さらに、ベンチャーのCFOというキャリアも選択肢として十分に考えられます。
以上のように、BIG4税理士法人での勤務は業務負担が多く大変ではありますが、その分積める経験もたくさんあり、今後のキャリアにおける選択肢を増やしてくれます。
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BIG4税理士法人へ転職するのは容易ではありませんが、入所すれば高度なスキルや高収入が得られます。BIG4税理士法人へ転職するには、税理士資格を取得したり、ビジネスレベルの英語力があると有利になります。そのためBIG4への転職を検討している方は前もってこのようなスキルの取得をしておくことが大切です。
BIG4税理士法人への転職は一般的に30代前半までが勝負です。早め早めに動き出しましょう!
応募書類、面接対策などは当然のこと、アピールできるスキル作りには相当の努力を要します。現在仕事をしながら転職チャレンジをするのであれば、普段の業務の合間を活用するより他ありません。ただ、強い覚悟さえあればきっと達成できるはずです。
税理士として希望するキャリアを進むために、ぜひ日々努力を積み重ねてください!
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