士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所|HUPRO MAGAZINE
士業・管理部門のキャリアコラムが集う場所

カテゴリ

武士道に精通している熱血弁護士 嘉村孝先生にインタビュー!

HUPRO 編集部
武士道に精通している熱血弁護士 嘉村孝先生にインタビュー!

はじめに

 東京・千代田の一等地に事務所を構えるアーバントリー法律事務所の嘉村孝(かむら たかし)先生にインタビューさせていただきました。嘉村先生は日本の歴史について詳しい方で、特に武士道について研究されています。そんな先生の弁護士業務に対する考え方をお聞きしてきました。

弁護士を目指されたきっかけは?

—今までのご経歴を教えてください。
 私は、1950年に佐賀県で生まれて、中学一年生の時、『次郎物語』を読んで葉隠に興味を抱き、栗原荒野編『校注葉隠』を読み始めまして、それからは武士道の研究がライフワークとなりましたね。その後は進学して、司法修習生から裁判官を経て弁護士になりました。今までは、弁護士として、明治大学大学院非常勤講師、保険・メーカー等の役員、独立行政法人の合同入札監視委員、自治体の情報公開個人情報保護審査会会長、司法試験考査委員などを務めてきました。仕事とは別の観点で話しますと、葉隠を中心に水戸、会津などの武士道を研究しています。そして現在、インターネット上に「武士道バーチャル博物館(http://hagakurebushido.jp/)」を主宰しています。ご興味のある方はぜひリンクからとんでみてください。

ー嘉村先生は学生時代はどう過ごされてきたのですか?
 中学1年生の時に、江戸時代中期に佐賀県で生まれた『葉隠(はがくれ)』という「武士道書」を読みだして以来、歴史や古典に興味を持つようになりましたね。そんなわけで、学生時代は、自分に興味のある歴史や古典などの本を乱読していました。そういった本を読みながら、生徒会をやったり剣道をしたりしていましたので、「勉強」よりも課外活動の方に力が入っていたかもしれませんね。詳しくは、武士道バーチャル博物館というホームページに載せてありますので是非ご覧になってください。私が主宰する『葉隠』を中心とした「武士道」の資料提供の場です。

—なかなか興味深い学生生活を過ごされたのですね!そんな学生生活からなぜ、弁護士になろうと思われたのですか?
 最初は、歴史や政治の根源を究める学者か研究者の道に進みたいと思っていました。しかし、少々民族派になりすぎて英語が大嫌いであったため、高校二年生の時の英語の成績が正に底辺にまで落ちてしまいました。反省して勉強はしたのですが、いざ入試という段階になってから、行きたいと思っていた大学の入試が中止になってしまい、父に勧められ、イヤイヤ
法学部に入りました。大学ではストライキとロックアウトで二年間しか授業はなかったのですが、高校の恩師で有名な刑法学者である草野豹一郎先生のご子息である草野睿三先生から司法試験を受けるように勧められ、結局法律家になってしまったというわけです。
 
—なるほど!弁護士になられてからはどうですか?
 休日は昔は剣道やテニスなどしていましたが、今は水泳や散歩(という書店めぐり)をしています。毎日体を動かすことが年齢的にも必要だと思うので(笑)。スポーツをすることで健康維持に繋がり、リフレッシュもできます。

—弁護士を目指す上での考え方やスキルで必要不可欠だなと思われていることはありますか?
 そうですね。弁護士のみならず、裁判官や検察官になることを目指すについても、まずは試験に合格しなければなりません。
そのために大切なことは、司法試験を知ることであり、それには合格ラインがあるわけではなくて、正に合格ポイントという一点があり、いかに裁判を早く、廉価、そして適正に行うか(分かりやすく言えば、早い、安い、うまい)、という目標を踏えて人類は様々な合理的手法を考えてきました。それに沿うように、合理的な勉強法をして合格をすること。ですかね。その先何になるかについては、様々な要素が加味されて決まることだと思いますが、もし弁護士になるということになれば、依頼者は最初から法律問題を持ってくるわけではありません。要は、様々な「欲求」を持ってくるわけで、これは大会社であろうと個人であろうと同じことです。それをどのように法律的に構成し、その欲求を満たしていくか、ということが、まずは大切なアプローチの仕方になるかと思います。また、今叫ばれているコンプライアンスということを考えるとすれば、本当のコンプライアンスなるものは、その欲求がより高次の人類の理想に適っていなければならないということにもなるでしょう。そういうところまで考えて仕事ができるならば理想的と言えるのかもしれませんが、その点はなかなか難しいこともあろうかと思います。

—熱く語っていただいてありがとうございます。嘉村先生のように自分を熱く保つにはどうすればいいですか?
 昔から、学生運動の一種の民族派として熱かったので(笑)。その学生時代の熱心さが今も残っているということでしょうか。学生時代にそうした熱心になれるものを見つけることはすごく大切だと思います。なお、私の言う民族派というのは、単に日本が一番とかじゃなくて、法律を含めた諸事象を私たちの身の丈に合わせましょうということです。

—そうなのですね!続きまして、嘉村先生個人のビジョンや事務所のビジョンなどをお聞かせ頂けますか?
 個人的なビジョンとしては、真の日本の武士道(行政主体〜現代で言えば国や公共団体)を担う公務員や武士の職業倫理ないしは統治の理念)をもっと行き渡らせることです(笑)。
 事務所としてのビジョンは、ただ淡々とやっていくこと。また、何事にも責任をもってやることを大事にしたいと思っています。
 それが何故かと言うと、我々が資格を持って仕事をしているからです。「お金をたくさん貰うから」やる、ということではなく資格をいただいた「責任があるから」100%やらなければいけないということです。その昔、ある裁判官が、「裁判官には勇気が必要だ、と言う人がいますが、必要ないと思います。泣き虫でも、弱虫でもなんでもいいんです。ただし『責任感』が必要です。」と言われました。この考え方は、弁護士も同じであり、弁護士は資格によって、法律問題の解決の大部分を独占しているのですから、それに伴う責任というものがあると私は思っています。

—またしても熱いお考えをありがとうございます。最後に、弁護士を目指している受験生に向けて一言お願いします。
 立てた目標は貫徹し、実現するまで頑張ってほしいと思います。そして、その目標が実現したら、次のステップを考えてほしいと思います。
また、基本的人権の擁護、社会正義の実現という弁護士法冒頭の文言が、最近はあまり聞かれなくなっているような気がしますが、それは最も大切なことだと思います。

最後に

 以上がインタビューになります。
嘉村先生の弁護士業務に対する熱い思いが伝わってきたのではないでしょうか?
嘉村先生は弁護士になりたいと思って法曹界に入ったわけではないですが、弁護士に対する責任感は人一倍ある人だと感じます。先生のような真剣な弁護士がもっと増えて欲しいものです。

この記事を書いたライター

HUPRO MAGAZINEを運営している株式会社ヒュープロ編集部です!士業や管理部門に携わる方向けの仕事やキャリアに関するコラムや、日常業務で使える知識から、士業事務所・管理部門で働く方へのインタビューまで、ここでしか読めない記事を配信。
カテゴリ:キャリア

おすすめの記事