専門性が高いと言われる経理は、業務の経験がないと採用されないというイメージがあるかも知れません。でも経理事務からだったら難しい仕事に見える経理職も目指すことができます。この記事では、経理未経験の方のために、経理事務の仕事内容や、未経験者から転職を成功させるポイントなどについてわかりやすく解説します。
未経験でも経理に転職できます。新卒から経理に配属されることも十分あるので、資格や経験がなくても大丈夫です。中途の採用の多くは経験者を求めていますが、未経験OKなどの記載があれば、0から業務を教えてくれます。ただし、簿記の知識を事前に有している方が有利であることは確かです。簿記の考え方は少し特殊なので、全く知識がない人と、知識がある人では、業務を覚える際のスピードも変わってきます。経理という仕事を始める前に、一度簿記を学んでみて自分に合うかどうか試してみるのもいいかもしれません。会社にもよりますが、入社後に簿記検定を取得するよう言われることもあるようなので、検定は取得する気でいることをおすすめします。
一般的に未経験の職種へのチャレンジとなると、20代までというのが年齢的なボーダーラインと言われています。
経理職においても20代はポテンシャル採用(候補者の潜在的な能力や成長の可能性に焦点を当てる採用アプローチ)となるため、それ以上の年齢の方に比べると比較的スムーズに転職活動をできる可能性が高いです。
即戦力が求められる30代や40代ではやはり経験者が有利となるでしょう。簿記2級など経理に関わる資格の取得に加え、管理部門での経験やマネジメントのご経験がある場合は実務未経験でも転職に成功できる場合もあります。
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会社によっても様々ですが、請求書の作成、会計・経理ソフトへの入力、資産管理、月次処理、決算処理、経営管理や資金繰りなどが主な業務です。基本的にお金に関わることが仕事になります。会社の規模によって一人が担当する業務も大きく異なってきます。例えば、小さい会社では、経理と人事の業務を掛け持ちすることもあり、処理範囲が大きくなります。一方大企業では、一部の会社の売上の処理を担当など、処理する範囲は狭くなります。
経理の日次業務とは、毎日行わなければいけない経理の仕事のことです。
日次業務の具体例は、以下のようなものが挙げられます。
・現金や預金の管理(入出金管理や銀行振込みの確認作業など)
・経費の精算(社員が立て替えた交通費の払戻しなど)
・起票(取引伝票などの作成)
・各種管理業務(発注・受注の管理、在庫確認など)
・与信確認業務(取引先調査など)
・経理ソフトなどを使用した仕訳作業(日々の取引内容を会計処理)
日次業務は、経理の仕事内容の中でも最も基本的な業務です。未経験者が経理業務に携わる場合には、まずは日次業務から担当することになるので、しっかり確認しておきましょう。
経理の月次業務とは、1ヶ月単位で行わなければいけない経理の仕事のことです。
月次業務の具体例は、以下のようなものが挙げられます。
・債権債務の履行状態の確認(取引先への支払いや入金管理)
・売掛金の管理(未払い金の管理業務)
・請求書発行業務
・月次決算(毎月の収支をつけ、利益や損失を報告する)
・給与計算や福利厚生関係の処理
月次業務は、日次業務に比べると比較的難易度が上がるので、未経験者は補助業務からスタートします。日次業務が正確に行えていないと月次業務に大きく影響するので、まずは日次業務をしっかりとこなせるようになりましょう。
経理の年次業務とは、1年単位で行わなければいけない経理の仕事です。日次業務の積み重ねが月次業務を成功させ、月次業務の積み重ねが年次業務のためになります。これによって、企業の財政状況が明確になり、会社における経営判断が適切に行えるようになったり、株主や投資家・利害関係者などに対して企業の業績を正しく伝えたりできるようになります。
年次業務の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
・年次決算(決算期が定められているのでそれに応じて)
・連結決算(規模の大きい企業のみ)
・税務申告(法人税等の申告業務)
・開示資料の作成(有価証券報告書や損益計算書など)
年次業務では、監査法人の公認会計士や顧問税理士などとの打ち合わせの機会も増えるので、キャリアを積んでから担当することになります。
経理事務と似た言葉に会計事務がありますが、実は明確な違いはなく、きちんとした定義に基づいて分類されているわけでもありません。ただし一般的には、経理事務は一般企業で行われる業務、会計事務は会計事務所で行われる業務、を示すこととして使うことが多いです。今回はこの使い分けに基づいて、一般事務も含めてそれぞれの業務を比較します。
会計事務所で働く場合はクライアントから依頼を受けて、会計業務をクライアントの代わりに行う、もしくはその補助を行うのが仕事の中心になります。特に決算業務は会計事務所に依頼する企業が多いので、経験を積みやすいです。大手法人を中心に取引している会計事務所などでは、会計事務担当にもコンサルティング業務が任されることもあります。
経理事務は一般企業においてその会社の会計関連業務をすることになりますので、記帳業務から決算業務まで多くの業務を担当する可能性があります。会計事務は担当するクライアントやその依頼内容によって業務が決まるのに対し、経理事務は所属する企業の経理部の人員構成や個人のスキルによって担当する業務が変わります。
一般事務は、ほとんどどの企業でも必要な事務全般のサポート業務を指します。おもにパソコンでのデータ入力や、文書の作成および整理、電話やメール・来客対応、会議室の予約、経費精算など、幅広い業務を担当します。業務のバリエーションは多いものの、経理事務や会計事務と違い、専門的なスキルや知識を必要としない業務が大半です。
未経験から転職する際にチェックしておかなければいけないのが平均年収です。どの業界にも言えることではありますが、未経験の段階だと年収はある程度低くなっていきます。それぞれ生活状況もあるでしょうから、得られる平均年収はある程度目安を作っておく必要があります。
「未経験可」の求人を出している企業は少なくはありませんが、未経験者としての採用になる以上、高い年収は望めません。おおよそ年収300〜350万円ぐらいが相場です。
つまり、年齢によっては前職でそれなりの年収を貰っているという方もいらっしゃるでしょうから、転職によって年収ダウンとなることは許容しなければいけないでしょう。
それでも、経理事務から経理のスキルを磨いていくことで、着実に評価を上げることは十分可能です。もしスタート時に年収が下がっても、自分の頑張り次第で年収を上げていくことができます。
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経理職は専門職なので、採用では実務経験が重視されやすいです。経理として働いた経験が全くない場合には、それ以外でのアピールポイントが重要となります。
例えば、前職で営業職を経験していたのならコミュニケーション能力、銀行出身者なら金融機関での業務知識など採用担当者にアピールできるポイントが必須です。
このようなスキルを取得しているのなら、現在未経験であったとしても、将来的に経理業務を習得できる基礎能力があると判断され、転職成功率は高まるでしょう。
また、簿記2級を持っているかどうかは特に書類選考の段階で重要視されています。
専門性の強い経理職ですが、経理はあくまでも事務職です。特に、未経験者の場合、転職後に最初に従事するのは、会計ソフトへの伝票入力などの日次業務なので、PCのタッチタイピング・集計・Word・Excel・PowerPointなどのofficeソフトを使えるスキルは必須です。
なお会計ソフトを前職などで使用した経験がある場合は経理職への転職では評価が上がる可能性が高いので、職務経歴書に記載したり面接で伝えるなど、確実にアピールするようにしましょう。
経理職は机に向かってずっと作業しているようなイメージがあるかもしれませんが、思いのほか人との交流が多いポジションです。例えば、経費精算の件で他の部門とやり取りをしたり、経営層にレポーティングしたり、監査法人との対応があったりというように、業務上他の部門の人と積極的にコミュニケーションを取る必要に迫られます。
業務内容は後から学んでもらうことができたとしても、社内外の人とうまくコミュニケーションできるスキルは営業の経験などがなければ人柄に依る部分が大きく、業務と同時並行での教育は企業側にも負担になることがあります。
したがって、コミュニケーション能力があれば、転職時に高い評価を得られるでしょう。
未経験でも経理への転職を果たしている方は多いですが、全くの未経験となると実際の業務を始めてもかなり苦労します。そのため経理業務の基礎知識を学べる簿記の勉強はしておいた方が良いでしょう。
一般的な経理の求人要項では、「簿記2級必須」という条件が掲げられます。ただ、日商簿記2級はここ数年でかなり難易度が高くなっているので、まずは日商簿記3級からチャレンジをして、段階的に身につけていきましょう。
また、簿記資格取得が転職活動に間に合わなくても、「資格取得のために勉強中です」というアピールを行うことで好印象を与えられます。
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また簿記には、日商簿記や全商簿記など様々な会計系の資格がありますが、それぞれの資格の特徴や社会人で取るべき資格について以下の記事で解説しておりますので、併せてご覧ください。
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FASS検定とは日本CFO協会が実施している「経理・財務サービス・スキルスタンダード」に基づく検定試験で、簿記や会計の知識というよりも実務に役立つ知識について出題されます。
経理の知識をムラなく学ぶことができるのでお勧めです。
未経験で経理に転職する際に重要なのは、いかに説得力のある志望動機を作成できるかという点です。なぜ経理職を志望しているのかとなぜその企業を志望しているのかを明らかにすることができれば、未経験者であったとしても、転職活動はうまくいきやすいでしょう。
・客観性をもって自己分析をする
・希望する企業の求人票やHPで企業分析をする
・転職エージェントのアドバイスを受ける
・自分のキャリアイメージと企業の展望の相性が良い
このあたりのポイントを意識した志望動機を作成すれば、あなたの熱意は伝わりやすくなります。
また
・なぜ未経験なのに経理がやりたいのか
・経理としてどういうキャリアプランを描いているのか
については企業が重視する点なので、伝えられるようにしましょう。
基本的に経理事務の求人が日本に全くない時期など当然ありません。しかし、応募可能な求人が多ければ多いほど、就職先を選ぶ際の選択肢も増えるので、より自分にマッチした求人を見つけやすくなります。ではいつ転職活動するのがいいのでしょうか?
経理職の求人は繁忙期と呼ばれる時期の前に多く出される傾向にあります。繁忙期とは相対的に業務量が増える時期を指し、経理では3月決算の企業だと3~5月がそれにあたります。その繁忙期までに必要な人員を充足させるべく、1~2月に多くの企業が募集を加速させるのです。
ただここで注意しなければならないのが、これらの求人は即戦力を採用するための求人であることです。経理事務の求人の件数はこの時期に最多となりながらも未経験向けの求人はむしろ平均より少なくなってしまいます。
未経験の場合は繁忙期が終わってからの6月~8月が良いでしょう。この時期は繁忙期が終わり、経理部門にとって比較的余裕ができるので、未経験の採用面接や採用後の新人教育に時間を割けるようになります。そのため未経験応募可能な求人が、比較的多くなる傾向にあります。
経理は事務職なので、パソコンの操作や伝票の処理ができれば問題ないかというと、そうではありません。職場の同僚や上司、他部署や取引などとやり取りすることも意外に多いため仕事を円滑に進めるためにはある程度のコミュニケーション能力が必要になります。そのためコミュニケーションを取ることが苦手な人は、経理に向いていません。
経理職に従事する上でどうしても避けられないのが、数字と向き合うことです。数字や計算が好きである必要はありませんが、数字は見るのも嫌だという方には続けることが難しい仕事です。日々の業務で難しい計算式を要することなどは少なく、あったとしてもエクセルなどで管理しているため、セルに入力すれば自動で計算してくれます。ただし、簿記の勉強をする際は難しい計算式などを覚える必要があります。
これは経理職に限った話ではありませんが、パソコンでデータを管理することがほとんどなので、パソコンを使えることが大前提となります。「使える」と一言にまとめても、今このページを閲覧できるくらいであれば問題ないので、あまり深く考える必要はありません。どうしてもパソコンを使って仕事をしたくない、紙で全部管理したいという方には難しい仕事です。
経理では決まりごとが多くあります。例えば、その日までに処理を終わらせなければいけない締めや、必ず毎日行う業務などがあります。それらを怠るといざというときに、とても困るので、決まったことを決まった通りに行う必要があります。その時やらなければいけないことを、先延ばしにしてしまう癖のある人は気を付けましょう。
経理の仕事でミスは許されません。大きい会社であればあるほど、自分のミスが後工程に大きく影響を与えることがあります。初めは小さなミスですが、いつの間にか大きなミスになっていることも少なくありません。場合によっては一円を合わせるために、原因を探すようなこともあります。営業などのように何百万の売上をあげるといったような、目立つ仕事ではなく地道な仕事が多いですが、その一つ一つに責任を持って取り組める人が経理に向いている人と言えます。
転職活動や就職活動において、いくら資格を持っていても、有利に働くアピールポイントを把握していても、企業研究や自己分析は欠かせません。また、履歴書や職務経歴書を作成したり、面接の日程調整をしたりと意外とやることが多いものです。
特に働きながら転職活動をする人にとっては、自分一人ではなかなか難しいものだと思いますので、転職エージェントに相談してみることをオススメします。
書類の添削や日程調整はもちろん、自分自身では気づいていなかった強みや、自己PRを引き出して面接対策を進めてくれるでしょう。
士業・管理部門の転職エージェント「ヒュープロ」では、経理事務の求人を多く扱っており、未経験からでも応募可能な求人も多数取り揃えております。無料電話相談では、今すぐにご転職をお考えでない方もキャリアに関するご相談や、ご自身の市場価値診断、年収診断をすることができます。
未経験者が専門性の高い経理に転職するのは簡単ではありません。転職前に学習すべきこと、転職してから習得すべき知識など、今後もいろいろな努力が必要だからです。
しかし、経理事務であれば、少しハードルは下がるので、そこからキャリアを積んでいくことが可能です。出来るだけ早いタイミングで転職活動を開始し、自分の経理としてのキャリアのファーストステップを踏み出すのをおすすめします。
転職エージェントなどを活用して、ご自身のキャリアにお役立てください!