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経理担当なら知っておきたい!管理会計におすすめの資格6選

HUPRO 編集部
管理会計に関する資格6選をご紹介!

管理会計は、企業活動を適切に管理して課題を数字で表すことができるため、経営戦略を策定する上で必要不可欠といっても過言ではありません。拡大を目指す企業とって、管理会計ができる経理は非常に貴重な人材となります。本記事では、その管理会計を学ぶためにおすすめの資格や、求められるスキルなどをご紹介します。

管理会計とは?

管理会計というのは、企業が経営を行う上で自社の財務状況を正確に把握するために、社内向けに行う会計です。これにより、「どこにどのくらい費用がかかっているのか」や「どこでどのくらい利益が出ているのか」、「各月で無駄な出費や不透明な出費はないか」など、細かいお金の流れを把握できるため、経営者は管理会計の情報を基に自社の方針の決定や経営戦略の策定を行うことができます。

財務会計との違い

企業の会計処理には大きく、管理会計と財務会計の2種類があります。
それぞれ企業経営にとって非常に重要な役割を果たしますが、目的が異なります。

財務会計は、主に投資家や金融機関などの外部に自社の財務状況を報告することを目的としています。そのため、企業の業績や財務状況を外部が評価しやすいように、決められたガイドラインに沿って財務諸表を作成します。

一方で管理会計は、前述にもある通り社内向けの会計処理となっており、財務会計のフォーマット内では表しきれないような細かい数字や、その企業ならではの財務状況を把握するものです。そのため外部に公開されることはなく、基本的には社内のみで使われる数字なので、データを集める方法や記載する方法、フォーマットなどについては厳密な決まりはありません。また、そもそも実施の義務は無いため、管理会計を導入しない企業も存在します。そのため、必ず管理会計をできる必要はないものの、管理会計ができる人材は非常に重宝され、転職でも有利になります。

また、管理会計では、取締役会資料、中期経営計画資料、事業計画書と言った資料を作成することが一般的です。
管理会計について詳しく知りたい方はこちらの記事もぜひご一読ください。

管理会計におすすめの資格6選と難易度

管理会計について、独学で学ぶのも手ではありますが、資格の勉強を通して習得するのもオススメです。ここでは管理会計に関わる資格を、6つご紹介します。

①日商簿記検定

日商簿記検定は、ご紹介する6つの資格の中でも特に知名度が高く、転職にも有利な資格です。
会社の経理に必要な財務諸表と会計知識に関する理解力、基礎的な分析力や経営管理を検定するものです。
日商簿記には3級・2級・1級がありますが、初学者は3級の勉強から始めるのが一般的です。3~1級の合格に必要とされている勉強時間と、合格率は以下の通りです。

階級 勉強時間 合格率
3級
50~100時間
40~50%
2級
150~300時間
20~30%
1級
500~800時間
10%前後

特に簿記1級は、極めて難易度が高く合格率も10%前後と低いため、資格学校や通信講座などを上手く活用して勉強することをおすすめします。

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②管理会計検定

2つ目は「管理会計検定」です。
これは日本管理会計教育協会(JEIMA)が実施している民間の資格で、1級と2級があり、管理会計についての総合スキルを検定するものです。簿記や後述するビジネス会計と範囲が重複するところもありますが、管理会計を経営的な視点で活用するため、経営感覚のマスターまで視野に入れられるという特徴があります。

階級 勉強時間 合格率
2級
20∼30時間
80%前後
1級
150~250時間
20%前後

2級の勉強時間が少なく合格率が高いことから、多くの人がこの資格をはじめに目指します。働きながら隙間時間で会計管理を学びたい人にはぴったりの資格でしょう。

③認定管理会計士検定 

認定管理会計士検定は、管理会計検定1級の合格者のみが受験できる資格です。ここでは、管理会計検定2級・1級の知識に加え、面接におけるコミュニケーション能力が必要になります。

この資格で必要とされている勉強時間は、管理会計検定1級の合格後で約400時間です。合格率は15%前後です。
1級と比べて新たに論述問題と1時間程度の面接が加えられており、合格難易度は格段に上がります。

④ビジネス会計検定

ビジネス会計検定は、大阪商工会議所が主催する検定で、財務諸表についての分析力や知識=「会計の読解力」を検定するものです。
基本財務諸表としての損益計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書の構造と項目についての知識や応用力、理解力が問われます。

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階級 勉強時間 合格率
3級
50~100時間
60~70%
2級
100~200時間
40~50%
1級
500~800時間
10%~15%後

3級、2級までは、必要とされている勉強時間が比較的少なく、合格率も高いためスムーズに取得できますが、1級から株主や投資家を相手にすることを想定して企業価値評価などの知識も問われるため、急激に難易度が高くなります。経理職で将来的に幹部クラスへのキャリアアップを狙っている方はビジネス会計検定の取得を目指してみるのもおすすめです。

⑤ビジネス・キャリア検定

この資格はよく、ビジネス会計検定と混同されることがありますが、別の資格です。ビジネス会計検定では、会計と財務の知識に特化しているのに対し、このビジネス・キャリア検定では、ビジネス全般の知識とスキルにフォーカスしています。

ビジネス・キャリア検定には、BASIC、3級、2級、1級があります。

階級 勉強時間 合格率
BASIC
30~50時間
70%~90%
3級
50~100時間
35%~80%
2級
100~150時間
25%~70%
1級
200~300時間
10%~55%後

難易度が4つに分かれているので次の階級まで挑戦しやすく、ビジネス全般の知識を学ぶことができ、さらに合格率も比較的高いので多くの人が挑戦している資格です。

⑥USCMA(米国公認管理会計士)

USCMA(米国公認管理会計士)は、その名の通りアメリカの管理会計士資格で、USCPA(米国公認会計士)と並んで2大国際会計資格の1つであり、世界的に認知度の高い資格です。USCMAは、USCPAと比べて必要な勉強時間が少なく管理会計に特化しているため、管理会計の習得には、よりおすすめの資格といえます。

必要とされている勉強時間は、300~500時間で、合格率は約45%です。

なお、英語のレベルは、TOEIC500点レベルがあれば安心でしょう。英文はいたってシンプルであり、専門用語以外の難しい単語は出題されません。

この試験は、会計管理の知識にプラスしてある程度の英語力が必要ですが、取得できれば世界で活躍できる可能性もあるため、グローバル展開をしている企業でのキャリアアップを目指している方にはおすすめの資格です。

経理での転職に有利なのはどの資格?

前述でもお伝えしている通り、管理会計は企業の発展や維持のためには切っても切り離せない会計手法のため、管理会計ができる人材は転職でも有利になります。上記の資格を取得することで管理会計を学ぶことができますが、実際に経理職で転職をしたいとなった場合に有利になるのは上記の中でどの資格なのでしょうか?

まず1つは日商簿記検定です。
簿記は特にメジャーな資格の1つで、経理での転職をお考えの方なら持っておきたい資格です。特に、経理の経験が浅い方は簿記2級を持っているかどうかが転職活動を大きく左右します。ビジネスに必要な会計の基礎知識を学ぶことができ、1級と比べても比較的取得しやすいことから、2級まではとりあえず取得しておくという方も経理に限らずいらっしゃいます。

また、世界的な知名度が高く権威性があることや、海外基準の会計スキルが身に着くことから、USCMAもおすすめの資格です。特に外資系の企業やグローバル展開をしている大手企業で人気が高く、CFO(最高財務責任者)を目指す方は取得されることが多い資格です。

管理会計に必要なスキルと重要性

上記の資格取得を含め、管理会計を習得するために必要なスキルは大きく分けて3つあります。
それは、原価管理財務会計経営分析です。

原価管理

原価管理は、製品の作成やサービスの提供にかかる費用(原価)を計算する管理手法を指します。主に製造業で使用されることが多く、人件費や原材料費などを正確に把握することで、コスト調整を効率よく行い、利益の最大化に役立ちます。

財務会計

また、財務会計は前述でも説明した通り、外部向けに公開するために貸借対照表や損益計算書などの財務諸表の作成を行います。財務会計と管理会計は別物であるとは言え、企業の財務状況を把握するという点では非常に関連性の強いものであるため、当然ながら財務会計知識は必要となります。

経営分析

また、管理会計の目的が企業の経営戦略策定である以上、経営者視点で財務状況を分析する力は必要となります。経営分析ができるというのは、ただ単純に費用の計算をして数字を算出するのではなく、企業が目指している目標やその時の課題を十分に理解した上で、目標達成や課題解決に必要な数字を算出できる状態を指します。経営者や役員クラスはもちろん、経理でこの能力が身についていると、その企業にとってはかなりの戦力になるはずです。

このように、管理会計は企業にとって非常に重要な役割を果たしており、特に企業経営を行う方にとっては必要不可欠な管理手法と言えますし、経理職でこの管理会計のスキルが身についている方や管理会計を行っていた経験がある方は、転職でも非常に有利になります。

まとめ

数字に強く管理会計を重視している会社は、非常にアグレッシブであり業績も良い印象があります。経営者の重要仕事である人事評価についても管理会計なしには語ることができません。適切かつ明確な数字に基づいた公平な人事評価は経営に重要な影響を与えることもできます。
さらに、管理会計の業務ができると私生活にも役立ちます。家計管理に強くなったり、株などの投資、資産運用に役立ちます。それに加えて、自分でビジネスを立ち上げる時に強い味方となります。

このように、管理会計を身に着けることで、経営者のように視座を高くして自社を見つめなおすことができ、経営の意思決定にも大きな影響を与えることが可能です。さらに私生活でも活躍し、転職でも有利になるため、全ビジネスマン、特に経理に携わる方は必ず習得すべきスキルであると言えるでしょう。

もし上記のようなスキルや資格を身に着けて、さらにキャリアアップを目指したいとお考えの方は、是非一度、士業・管理部門特化の転職エージェントであるヒュープロへご相談ください!

この記事を書いたライター

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