最近は管理会計が着目されています。管理会計は、会社が発展していくために、課題を調べて修正するために必要なものです。非常に大切な役目を担っているので、会計についての高度な経験や知識が管理会計を適切に取り扱うためには求められます。今回は管理会計とは、管理会計についての資格について解説していきます。
管理会計というのは、社内向けの会計で自社の経営に利用するものです。管理会計の情報に基づいて、経営者は自社の方針の決定や施策を打つことができます。
基本的に社内のみで使われる数字なので、データを集める方法や記載する方法、フォーマットなどについては厳密な決まりはありません。また、そもそも実施の義務は無いため、管理会計を導入しない企業も存在します。
管理会計では、取締役会資料、中期経営計画資料、事業計画書と言った資料を作成することが一般的です。
管理会計について詳しく知りたい方はこちらの記事もぜひご一読ください。
管理会計は経営の意思決定と基礎なる重要なご紹介したように、管理会計は必須で実施しなくてはならない業務ではないものの、会社として中長期的な経営方針を決めるのに不可欠であると言えます。
そのため、管理会計を全く知らずに経営者として企業のかじ取りをするのは難しいでしょう。資料作成などの実務スキルは無くても、どのように事業が因数分解されて利益がどのように創出され重要KPIが何なのか、といった部分は知っておく必要があります。
管理会計について、独学で学ぶのも手ではありますが、資格の勉強を通して習得するのもオススメです。ここでは管理会計に関わる資格を、6つご紹介します。
日商簿記検定は、ご紹介する6つの資格の中でも特に知名度が高く、転職にも有利な資格です。
会社の経理に必要な財務諸表と会計知識に関する理解力、基礎的な分析力や経営管理を検定するものです。
なかでも、原価計算などの深い知識を学ぶことができる2級が転職に活かせておすすめです。
日商簿記には初級・3級・2級・1級がありますが、初学者は3級の勉強から始めるのが一般的です。3~1級の合格率は以下の通りです。
3級の必要とされている勉強時間は、50~100時間で、合格率は40.7%です。
2級の必要とされている勉強時間は、150~300時間で、合格率は26.9%です。
1級の必要とされている勉強時間は、550~900時間で、合格率は10.1%です。
この日商簿記1級は、極めて難しく、合格率も低いため、資格学校や通信講座を使って勉強することをおすすめします。
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2級と1級があり、管理会計についての総合スキルを検定するものです。簿記や後述するビジネス会計と範囲が重複するところもありますが、管理会計を経営的な視点で活用するため、経営感覚のマスターまで視野に入れられるという特徴があります。
2級の必要とされている勉強時間は80時間で、合格率は84.1%です。
1級の必要とされている勉強時間は280時間で、合格率は20.8%です。
2級の勉強時間が少なく、合格率が高いので多くの人がこの資格をはじめに目指します。会計管理を学びたい人にはぴったりの資格でしょう。
認定管理会計士検定は、管理会計検定1級の合格者のみが受験できる資格です。ここでは、管理会計検定2級・1級の知識に加え、面接におけるコミュニケーション能力が必要になります。
この資格の必要とされている勉強時間は、管理会計検定1級合格後で400時間です。合格率は16.7%です。
1級と比べて新たに論述問題と1時間程度の面接が加えられていて受かるのは非常に難しくなっています。
3級~1級があり、財務諸表についての分析力や知識を検定するものです。
基本財務諸表としての損益計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書の構造と項目についての知識や応用力、理解力が問われます。
3級の必要とされている勉強時間は、50~100時間で、合格率は67.2%です。
2級の必要とされている勉強時間は、100~200時間で、合格率は53.3%です。
1級の必要とされている勉強時間は、300~500時間で、合格率は10.8%です。
3級、2級までは、必要とされている勉強時間が比較的少なく、合格率も高いためスムーズにいきますが、1級から一気に難易度があがります。
この資格はよく、ビジネス会計検定と混同されることがありますが、別の資格になります。ビジネス会計検定では、会計と財務の知識に特化しているのに対し、このビジネス・キャリア検定では、ビジネス全般の知識とスキルにフォーカスしています。
ビジネス・キャリア検定には、BASIC、3級、2級、1級があります。
BASICの必要とされている勉強時間は、30~50時間で、合格率は70%~90%です。
3級の必要とされている勉強時間は、50~100時間で、合格率は35~80%です。
2級の必要とされている勉強時間は、100~150時間で、合格率は25~70%です。
1級の必要とされている勉強時間は、200~300時間で、合格率は10~55%です。
難易度が4つに分かれているので次の階級まで挑戦しやすく、ビジネス全般の知識を学ぶことができ、さらに合格率も比較的高いので多くの人が挑戦している資格になります。
USCMA(米国公認管理会計士)は、その名の通りアメリカの管理会計士資格で、USCPA(米国公認会計士)と並んで2大国際会計資格の1つであり、世界的に認知度の高い資格です。USCMAは、USCPAと比べて必要な勉強時間が少なく管理会計に特化しているため、管理会計の習得には、よりおすすめの資格といえます。
必要とされている勉強時間は、300~500時間で、合格率は45%です。
なお、英語のレベルは、TOEIC500点レベルがあれば安心でしょう。英文はいたってシンプルであり、専門用語以外の難しい単語はでてきません。
この試験は、会計管理の知識にプラスしてある程度の英語力が必要ですが、取得できれば世界で活躍することもできるかもしれません。
数字に強く管理会計を重視している経営者の会社は、非常にアグレッシブであり業績も良い印象があります。経営者の重要仕事である人事評価についても管理会計なしには語ることができません。適切かつ明確な数字に基づいた公平な人事評価は経営に重要な影響を与えることもできます。
さらに、管理会計の業務ができると私生活にも役立ちます。家計管理に強くなったり、株などの投資、資産運用に役立ちます。それに加えて、自分でビジネスを立ち上げる時に強い味方となります。
このように、管理会計を勉強することは、経営者のように視座を高くして自社を見つめなおすことができ、経営の意思決定にも重要な影響を及ぼす情報であります。さらに私生活でも活躍し、転職でも有利になるため、経営者かどうかに関わらず、ビジネスマン全般が習得すべきスキルであると言えるのです。