近年、日系企業の海外進出に合わせて、税理士が海外で働くチャンスも増えてきています。主にBig4系列の大手税理士法人や大手企業の管理部門で、海外出向メンバーを新規募集しています。今回は税理士のニーズが海外で高まっている要因や求められるスキル、仕事内容やその後のキャリアパスなどについて、ご紹介します。
日系企業の海外子会社設立や海外へ拠点を移す動向は、今後も増え続けると予測されています。そのような企業にとって税理士のサポートは不可欠であり、子会社や拠点のある国に移住して活躍する税理士が増えてきています。
税理士が海外で働く場合、Big4をはじめとした税理士法人や会計事務所の海外支社で働く、もしくは海外進出した企業の管理部門として働くというケースが多いです。
実際そのような税理士法人や企業では、定期的に海外勤務の税理士を新規募集をしています。また社内公募を募っている事務所や監査法人もあり、社内での研修などを経て海外出向を実施しています。
海外勤務地としては、中国の上海、ベトナム、シンガポールといったアジア圏が多いですが、アメリカのロサンゼルスやニューヨークなどでも募集があるようです。
既存の税理士法人や監査法人での海外勤務者募集の場合は、日本国内での語学研修があったり、海外勤務者向けに、海外の現地大学や語学学校での研修などの研修制度を設けていることもあります。
税理士は取得の難易度がかなり高い資格ですが、海外で税理士として働くのであれば、さらにプラスアルファのスキルが必要になってきます。
大前提として必要になってくるのが英語力です。「英語力がある」、「英語ができる」という言葉をよく聞きますが、海外で働く税理士に必要な英語力とはどの程度のスキルにあたるのでしょうか?
英語力を測る指標としてTOEICが一般的ですが、そのTOEICで800点以上のスコアを取得しているかどうかが、1つの目安となっています。
したがって、少なくとも800以上のスコアを取った経験があれば、「英語力がある」税理士として仕事をしたり、就職や転職の際にアピールすることができるでしょう。
税理士に求められる英語力について、詳しくは以下の記事をご参照ください。
海外進出する企業に税理士のサポートが必要な理由として、日本と他の国の税制度の違いに対応する難易度が非常に高いことが挙げられます。そのため、海外で働く税理士は日本の税務知識はもちろん、その国の税務の知識も求められます。
具体的には、現地の法人税申告書作成やレビュー、税務調査の立ち合いなどといった業務が該当し、日本ではBig4や国際税務に特化した会計事務所などでスキルを積むことができます。
それでは、実際に海外勤務をする税理士はどういった仕事内容が多いのでしょうか?
基本的には、日系企業の海外進出の支援業務がメインとなっており、海外子会社の監査や税務上の対応をしていることが多く、親会社にあたる日本の会社に資料などを作成し、レポートするなどの業務となります。
こういった業務を経ていくと、必然的に勤務している海外の税制や会計基準、また仕事をする上での環境面などの知識も増えていく事となります。そういった知識が増えてくると、今後はその経験・ノウハウを提供し、アドバイスしていく立場の業務が増えていくでしょう。子会社を設立するノウハウや注意点などをクライアント企業へアドバイスしていく、コンサルティングの業務にも携われるチャンスも出てくるでしょう。
ご紹介したように、国際税務の経験は日本で積むこともできるものの、現地で実際に対応することで日本で働くよりも何倍も高い経験値を蓄積することができます。日本ではまだ導入している企業が少ないIFRS(国際財務報告基準)を用いた業務を行う機会が増えるため、より多様なスキルを持った税理士になることができるでしょう。
企業の管理職として海外で働く場合、税理士であっても現地のマネジメントを任されるケースも多いです。そのため、税務に関わるスキルだけでなく、国を跨いだ国際的なマネジメントスキルを獲得できます。
日本で社員税理士として働くだけでは、マネジメントスキルを積みにくいため、海外で働く税理士ならではのメリットといえるでしょう。
国際税務に対応しマネジメントも任されるようになれば、当然年収にも反映されるでしょう。日本で年収アップが出来ずに悩んでいた税理士も、海外で働くことによってキャリアアップと年収アップを同時に実現しうるのです。
それでは、海外勤務での経験を経て、日本に帰って来たあとはどういったキャリアパスがあるのでしょうか?キャリアパスは多岐に渡りますが、一部を例として下記に挙げていきます。
上記のように、やはり海外勤務で得た経験を活かす国際業務がキャリアパスのメインとなってきます。
また、元々の募集時点で海外現地採用ではない場合も多いので、ある一定の期間を過ぎたら日本国内に戻り、日本本社での国際事業部などに配属する事が当初から決まっているケースもあるようです。
昨今、税理士業界も競争社会になってきています。一昔前と違い、資格を持っているだけで生きていける時代ではなくなりつつあり、税理士にも差別化が求められる時代に突入してきています。
そんな中で、“税理士”と“海外勤務経験”といった2つのスキルや経験が組み合わされば、差別化が図りやすくなるでしょう。
また、海外勤務の中で国際業務などのスキルが身に付くのはもちろんですが、自身の人生の幅も間違いなく広がります。今までとは全く異なる海外の環境で揉まれながら、仕事や生活をすることは、自分の人生観が変わる経験も出来るのでは無いでしょうか?人生1度きりと考えると、一度は海外で働いて多種多様な価値観に触れるのも貴重な経験になるでしょう。
今回は税理士が海外で働くニーズについて解説しました。
ご紹介したように今後も海外における税理士のニーズは高まっていくとみられるものの、税理士プラスアルファのスキルを事前につけておかないと、そのチャンスを獲得しづらいでしょう。
特に国際税務の知識やスキルに関しては、Big4税理士法人や国際税務特化の会計事務所で獲得する必要があります。
そのような職場に転職するために、ぜひ士業・管理部門特化の転職エージェントである当社ヒュープロをご活用いただければと思います。
海外で働くための経験を積める税理士業界の求人を多く保有しているため、ご希望にマッチした求人をご紹介できます。
もちろん、そのようなスキルを持っている税理士の方向けの求人もお取り扱いしてますので、まずはご相談からお待ちしております。