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為替手形と約束手形の違いは?為替手形の特徴やメリット・デメリットを紹介

HUPRO 編集部
為替手形と約束手形の違いは?為替手形の特徴やメリット・デメリットを紹介

為替手形とはどんなものか改めて、考えて説明していきたいと思います。約束手形については、よく知っていることもあるでしょうが、為替手形についても詳しく知っておきたいものです。約束手形との違いや為替手形の役割、会計処理について見ていきます。

為替手形とは何?

まず、為替手形とは何なのかですが、手形と呼ばれるものには、2つのものがあります。よく聞く、「約束手形」と「為替手形」があります。

「約束手形」は、手形の振出人から手形をもらった相手の受取人に対して、何月何日にいくら払いますと言う約束する手形の有価証券のことです。
「為替手形」は、手形の振出人が第三者の支払人に委託して、相手の受取人または差出人に何月何日にいくら払いますという手形の有価証券となっています。

つまり、「約束手形」と「為替手形」には、大きな違いがあります。
「約束手形」は2者間でかわす手形に対して、「為替手形」は3者間でかわすのが特徴です。手形を振り出した人が支払う人ではないという点が大きく異なります。

振出人A社、支払人B社、受取人C社とすると、振出人A社が受取人にC社に為替手形を渡しますが、実際に支払うのはB社で、B社と受取人C社にはあまり関係がないことが多いでしょう。
振出人A社が支払者B社に売掛金があった場合に、その売掛金をC社に支払ってくれるようにするのが「為替手形」です。

為替手形の特徴、どんな時に発行されるのか

手形取引は多くありますが、一般的には、ほとんどが約束手形を発行されることが多いでしょう。では、どんな時に為替手形が発行されるのか気になります。
為替手形の場合には、3者間になるために、面倒でもあり、実際にお金が受け取れるのかどうかも信頼性が劣ってきます。しかし、それでも為替手形が発行される場合とはどんな時でしょうか。

為替手形が発行されるのは、特殊なケースが多いようです。売掛金、買掛金の3者間の決済手段として使われることもありますが、特別なことにもよく使われます。
本来なら約束手形で受け取りたいが、相手が当座預金の開設ができないなどで、約束手形が発行できない場合に、自分を受取人として、自分が振り出す「自己受為替手形」もあります。それによって、自分の受け取りを確実にすることができるもので、貿易決済などでよく使われます

また、「自己宛為替手形」もあります。こちらは、振出人と支払人が一緒で、遠隔地で決済したい場合などに活用します。例えば、本支店間で、支店が為替手形を振り出して、遠くの本店が支払人となって支払う場合です。これによって手数料削減や支払い期間の短縮ができますので活用されます。
こうしたものでしたら、3者間と言っても実質2者間となり、信頼性もあり、きちんと支払われるので心配いらない為替手形となることもあるでしょう。

為替手形のメリットとデメリット

メリットとしてはまず、約束手形の振出しをすることで支払期日を延ばすことができるため、時間の猶予が与えられます。入金と支払の時間的差異を調整できること、資金繰りのコントロールをできることが大きなメリットと言えます。

また、支払サイトを約束手形で延ばせない場合には、融資を受けて支払いにあてることになります。その場合支払利息を払う必要がありますが、約束手形には金利は不要です。さらに、約束手形を発行するには銀行の与信が必要となるため、社会的信用の証明にもなります。

一方でデメリットとして、支払期日に手形通りの支払ができないこと、つまり不渡りを出すことが挙げられます。一度不渡りを出すと、手形交換所の規則に基づき「不渡り処分」を受けます。処分内容は全金融機関に通知され、6か月以内に2回目の不渡りを出した場合銀行取引停止、つまり当座預金取引と融資が2年間受けられなくなり、事実上の倒産となります。また、約束手形は額面金額に応じて印紙代がかかるため、金額が大きくなったり約束手形の枚数が増えたりすると印紙税がかさむことになります。

為替手形の記入について

気になるのは、為替手形の会計処理をする場合の仕分けについてです。
為替手形の場合には、約束手形と違って「振出人」は、支払う義務がありませんので、簿記上では「名宛人」と言われる支払人、引受人が実際に支払うことになります。約束手形では、この手形の「名宛人」が受取人ですので、その辺が異なることを理解しておきましょう。

そして、簿記上の「指図人」と言われる人が為替手形では、実際の受取人となります。為替手形では「振出人」「名宛人(支払人)」「指図人(受取人)」という関係になりますので、覚えておきましょう。

実際に為替手形で、宛名に大きく書かれるのが支払人で、その下の受取人という欄に小さく書かれるのが受取人となります。そして右下に支払人がサインをすることで支払い義務が発生します。
約束手形とは記入の仕方が異なりますので、よく見比べて見て確認するといいでしょう。

為替手形の会計処理の仕分けについて

為替手形は、3社に関わってきますので、それぞれに仕分けが必要です。為替手形を振り出した日と、それが実際に現金化した時に、3社で会計処理の仕分けが必要となってきます。

振出日には、振出人A社、支払人B社、受取人C社で、
振出人のA社は、買掛金/売掛金
支払人のB社は、買掛金/支払手形
受取人のC社は、受取手形/売掛金
と仕分けします。

そして、現金化した日に
支払人のB社は、支払手形/当座預金
受取人のC社は、当座預金/受取手形
とします。

振り出した日と現金化した日に仕分けを行うのは、約束手形と一緒ですが、為替手形は3社で仕分けが必要なことと、振り出した日に、振出人A社が受取人のC社への買掛金をB社への売掛金で相殺する仕分けが必要となってきます。そこが特徴です。
振り出す時だけに、振出人の仕分けが必要になることを覚えておきます。そこが、為替手形の仕分けの特徴となります。

為替手形は3者間の手形決済になることを頭に

為替手形の特徴は、3者間の手形決済になることが特徴と言えます。
そのことを頭に入れておけば、色々理解しやすくなるでしょう。
約束手形との違いをしっかり確認しておくのがおすすめです。簿記3級レベルで出てくるような問題となりますので、しっかり確認しておきたいものです。
また、どんな時に為替手形を活用するとおすすめなのかも知っておくといいでしょう。

この記事を書いたライター

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