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税理士試験の合格ボーダーラインとは?!

HUPRO 編集部
税理士試験の合格ボーダーラインとは?!

税理士試験を一度でも受験した方なら、お分かりいただけると思うのですが、税理士試験って、かなり「閉鎖的」といわれています。本試験後に模範解答は非公開です。それなのに、国税庁が定めている合格点は各科目60点以上です。本当に合格のボーダーラインってそれが正しいの?と思ってしまいます。8月に税理士試験を受けた受験生は、12月の合格発表までただただ不安な日々を過ごすことになります。
今回は、税理士試験のボーダーラインについてお話していきます。
受験生の方やこれから受験を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

税理士試験の合格ボーダーラインとは?

税理士試験のボーダーラインとは、合格と不合格を分ける境目の点数のことです。税理士試験は科目合格制のため、科目ごとに合格ボーダーラインがあります。

実際のところ何点取れば合格なの?

この項目では、税理士予備校6校が出しているボーダーライン点と合格確実点の平均値を科目別で紹介していきます。(令和6年実施分)

科目名 合格ボーダー(点) 合格確実(点)
簿記論 53 62
財務諸表論 49 57
法人税法 64 76
所得税法 59 72
消費税論 67 72
相続税法 68 78
住民税 82 88
事業税 49 57
固定資産税 49 57
国税徴収税 49 57
酒税法 81 91

合格ボーダーの低い「財務諸表論」と「簿記論」

税理士試験の中で合格ボーダーの低い科目は「財務諸表論」(49点)「簿記論」(53点)でした。この2科目は初めて受験する科目として選ぶ受験生が多いため、ボーダーラインが低めになりやすいです。例年に比べ、試験が難しかった、あるいは受験者の得点が伸びにくかったという可能性があります。

合格ボーダーの高い「住民税」と「固定資産税」

一方で、「住民税」「固定資産税」はともに82点と非常に高く、得点が取りやすい、もしくは問題が比較的簡単だった可能性があります。また、「酒税法」も81点と高めで、これらの科目は高得点を求められる傾向があると言えます。

得点分布と科目の特性

<「高得点型」科目(例:住民税、固定資産税、酒税法)>
→高得点が当たり前とされ、ミスが不合格に繋がる。
<「難関型」科目(例:簿記論、財務諸表論)>
→ボーダーが低く、合格そのものが難しいため、基礎を確実に固める必要がある。
<差がつきやすい型」科目(例:所得税法、事業税)>
→合格確実点とボーダーの差が大きく、上位層と中間層の差がつきやすい。

総評

この表から、科目ごとに試験の難易度や得点戦略が大きく異なることが分かります。
特に注目すべきは、税理士試験の必須科目である「財務諸表論」「簿記論」です。
これらは全受験生が必ず合格しなければならない基礎科目でありながら、合格ボーダーが他の科目よりも低く設定されています。
一方で、選択科目においては「住民税」「固定資産税」など、合格ボーダーが非常に高い科目もあり、これらは高得点が必須の科目といえます。わずかなミスでも合否を左右するため、正確性と安定感が必要です。

このように、必須科目の難易度の高さと、選択科目ごとの特性を把握することは、合格戦略を立てる上で極めて重要です。
各科目の傾向を踏まえた学習計画を立て、自分の得意・不得意を見極めながらバランスよく対策することが、税理士試験合格への近道といえるでしょう。

税理士試験の概要

令和7年度税理士試験の日程

令和7年度の税理士試験は、2025年8月5日(火)から8月7日(木)までの3日間で実施される予定です。

試験科目と時間割

税理士試験は各科目120分の試験時間で実施されます。

1日目 簿記論、財務諸表論、消費税法/酒税法
2日目 法人税法、相続税法、所得税法
3日目 国税徴収法、固定資産税、住民税/事業税

受験科目に応じて、どの日に試験会場に行く必要があるかを確認しておきましょう。

受験資格

税理士試験を受験するためには受験資格が必要となります。ただ、例外として「簿記論」および「財務諸表論」は受験資格がいらず、だれでも受けることができます。

主な受験資格

(1)学識による受験資格
・ 大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者
・ 大学3年次以上で、社会科学に属する科目(※1)を1科目以上含む62単位以上を取得した者
・一定の専修学校の専門課程(※2)を修了した者で、社会科学に属する科目(※1)を1科目以上履修した者
・ 司法試験合格者
・公認会計士試験の短答式試験に合格した者

(2)資格による受験資格
・日商簿記検定1級合格者
・全経簿記検定上級合格者

(3)職歴による受験資格
・法人又は事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
・ 銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
・税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者

受験資格の認定

次に掲げるような方については、あらかじめ国税審議会の個別認定を受けることにより、受験資格が認められる場合があります。

(1) 海外の大学を社会科学に属する科目を履修した上で卒業した者について、日本の大学等の卒業者と同等であると認められる場合 

(2) 商工会・青色申告会のおける記帳指導事務に2年以上従事した者

税理士試験の合格率について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

税理士試験の合格率

令和6年度の税理士試験合格者数は5,762人で、合格率は16.6%でした。
科目ごとの合格率は下記のとおりです
令和6年度(第74回)の税理士試験結果表(科目別)

受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
簿記論 17,711 3,076 17.4
財務諸表論 13,665 1,099 8.0
所得税法 1,195 150 12.6
法人税法 3,583 588 16.4
相続税法 2,515 471 18.7
消費税法 7,206 740 10.3
酒税法 528 64 12.1
国税徴収法 1,670 217 13.0
住民税 461 84 18.2
事業税 249 34 13.7
固定資産税 893 161 18.0
合計 49,676 6,684 13.5

合格率が高い科目は、「相続税法」(18.7%)「住民税法」(18.2%)「固定資産税」(18.0%)ということが分かります。しかし、住民税と固定資産税は受験者数が少ないため、一概に合格しやすいとは言えません。また、合格率が低い科目は「財務諸表論」「消費税法」「酒税法」であり、特に「財務諸表論」は受験者数が多く、合格率が8.0%と低いため、合格することが難しい科目と言えるでしょう。

税理士試験合格のためのポイント

受験科目の選択

税理士試験は11科目のうち、受験者が5科目を選択できる選択制の試験制度です。選択科目にはルールやNGな組み合わせがあります。

カテゴリ 分野 科目 科目属性 備考
A 会計学 簿記論、財務諸表論 必須科目 2科目とも選択が必須の科目
B 税法 法人税法、所得税法 選択必須科目 いずれか1科目は選択必須
C 税法 相続税法、国税徴収法、固定資産税 選択科目 2科目まで選択可能
D ミニ税法 消費税法または酒税法、住民税または事業税 限定選択科目 消費税法or酒税法、住民税or事業税はどちらか1科目のみ受験可能

受験科目は「簿記路」「財務諸表論」が選択必須、Bカテゴリから1科目、C・Dカテゴリから任意の科目数を選択する必要があります。Dカテゴリは科目選択の組み合わせが限定されているため、注意が必要です。例えば、消費税法と酒税法はいずれか1科目だけの限定選択科目なので、2つを組み合わせて選択することはできません。

おすすめの科目選択の組み合わせ

まず大前提として、税理士試験において「受かりやすい科目」はありません。
しかし、税理士試験の科目選択でもっとも王道といえる組み合わせは、「簿記論」「財務諸表論」「法人税法」「消費税法」「相続税法」です。これらの科目は、実務での汎用性があり、幅広い税務に対応できるからです。また、各科目の学習内容が相互に関連しあうため、学習計画を立てやすいという利点もあります。

計算問題と理論問題の偏りをなくす

税理士試験には「計算問題」「理論問題」があります。計算問題はその名の通り、計算によって答えを導き出す問題で、国税徴収法を除くすべての科目で出題されます。ちなみに必須科目である簿記論は計算問題が100%です。また、理論問題は受験科目の規則や税法条例を理解・暗記する必要があります。これは簿記論を除くすべての科目で出題されます。計算問題と理論問題で得意不得意があると思いますが、得意な方ばかりに取り組んでいると片方が手薄になり、不合格に繋がります。どちらの問題もバランスよく勉強することが重要です。

過去問を活用する

税理士試験直前期には過去問の活用がオススメです。これまで蓄えてきた知識を確認するために過去問は必要不可欠です。まず過去問を解くことで、実際の試験を想定して時間配分や解答順を考えることができます。試験で高得点を狙うには、時間配分や解答順が重要になります。実際の試験と同じ時間内で過去問を解けば、時間をかけるべき問題や先に解いた方が良い問題などが判断できるようになるでしょう。また、インプットした情報をアウトプットすることによって、覚えた内容が実践的な知識として定着します。

まとめ

税理士試験の合格ボーダーラインは科目によって変わります。まずは、科目ごとの合格ボーダーラインを把握し、それらの点数を超えることを目標に勉強してみましょう。また、科目選択の際に合格ボーダーラインを参考にすることも良いですが、実務での汎用性がある科目や自分が学びたいという科目を選ぶことが大事です。税理士試験に合格すると、転職や就職で有利に働きます。将来の自分のために、合格を目指して頑張りましょう。<div class='markdown__banner--signup'>
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この記事を書いたライター

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カテゴリ:資格試験

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