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監査とは?目的・種類をわかりやすく解説します!

HUPRO 編集部
監査の目的って何?わかりやすく解説します!

多くの企業にとって重要なものの1つが監査です。監査を行うことによって、会社の経営を適正な状態にすることができ、社外の信用性を高めることができます。しかし、監査とは具体的に何なのか正確に理解していない人は多いです。今回は監査とは何なのか、目的や内容、種類などについて解説していきます。

監査とは?

監査とは何なのか詳しく解説しましょう。

会社の業務などが正しいかチェックすること

監査とは簡単に説明すれば会社の業務などが正しく行われているのかチェックすることです。社内規定や法令など守るべき基準に則って業務などが進められているのかを確認します。そこで、問題があれば指摘をしたり指導したりすることで適正な業務が行われるようにします。これらを総称して監査と呼んでいます。

監査の目的

企業にはたくさんの人が在籍していて、それぞれが与えられた役割をこなすことで企業経営は成立しています。しかし、従業員が業務を進めたり書類を作成したりするときに、不正やミスなどが発生する可能性があります。その結果、粉飾決算や情報漏えいといった問題が起きてしまうと、会社にとって大きな損失であり、株主や投資家、顧客にも損害が発生します。このような事態を避けるために監査をします。そのため、監査を担当する者や機関は、企業とは独立した立場から客観的に業務などをチェックすることが求められます。
また、監査のなかには法的に義務とされているものもあります。その1つが会計監査であり、一定の条件を満たす企業は必ず会計監査を受けることが義務とされています。

監査の種類

監査にはさまざまな分類が存在しています。どのような種類分けが存在するのか説明しましょう。

監査は監査の目的と監査人によって、①「外部監査」②「監査役監査」③「内部監査」と主に3種類に分類できます。

①外部監査とは

公認会計士又は監査法人のような独立した第三者によって、企業の財務状況が健全かどうか投資家に報告する監査のこと。会計上の記録簿である決算書を元に、過去から現時点までに企業活動において不正な活動がなかったかどうか確認します。監査と聞いて一番イメージしやすい業務です。

会計監査

一番オーソドックスな監査として会計監査があります。会計監査は、財務諸表監査と言われることもあります。

会計監査とは公認会計士が、企業の開示する財務諸表について意見を表明するために、監査証拠を集めることです。
企業の経営状態や財政状態は日々の会計取引の集約により算出されています。そのため、その会計情報について不正があったり、粉飾経理がされたりすると、実態に合った企業の状況を把握することができないだけでなく、利害関係のある金融機関や投資家に対しても不適切な情報を提供することになってしまいます。そこで、会計監査を実施することで、それらの情報が適切であることを証明し、不正行為の防止にも繋がるため、利害関係者に適切な情報を提供できるようになります。

監査に関する基準を定める機関である企業会計審議会は、公認会計士が行なう財務諸表監査の目的を次のように定めています。

財務諸表の監査の目的は、経営者の作成した財務諸表が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて、監査人が自ら入手した監査証拠に基づいて判断した結果を意見として表明することにある」
(出典:監査基準 第一 監査の目的)

公認会計士は、監査において、投資家や債権者の判断に影響するほどに重要性のある財務諸表上の不正・誤謬(ごびゅう)がないかどうかをチェックしています。ここで言われている重要な点とは、利用者の判断に影響を与える事項のことを言います。そのため、個別の事項についてではなく、財務諸表全体として利用者の判断に影響を与えるよう虚偽の表示がないことを意見として表明します。

②監査役監査とは

監査役とは、株主総会によって選任された外部の会計士や関連企業の経理責任者です。その会社の取締役や従業員はなることができません。
監査役は取締役の業務内容について問題がないか確認し、もし問題があれば指摘し業務の中止させる権限があります。

経営監査

経営監査については、会計監査と類似する分野でもありますが、経営の意思決定や経営計画がより適切であるものか検証する監査のことをいいます。経営が傾いたり、資金繰りが悪化したりと、マイナスの方向に経営が進む時には、経営の意思決定がその時の状況に適合していないことが考えらます。取り返しのつかない経営悪化に陥る前に、常に経営監査を実施することにより、目前に潜んでいる問題点を可視化することに繋がります。

③内部監査とは

内部監査とは、組織内の人間によって行われる企業が成長する上で欠かせない従業員の労務管理や企業法務などの任意の監査です。

労務監査

近年は、ブラック企業や、働き方改革などといったキーワードが注目を集めています。それらに伴い、労務監査についても注目が集まっています。労働監査を実施することで、従業員においても、よりよい環境で労働することができ、企業・会社においても、従業員からの訴訟の防止や、従業員のモチベーションUPにもつながるため、会計監査や経営監査とはちがった効果が期待されます。

監査から得られる効果

監査を実施することにより、次のような効果が期待されます。

①信憑性・確実性の確保

これは会計監査でよく言われることですが、監査を実施することで決算書の数字や財務状況について信憑性や確実性が確保されるといわれています。

監査とは第三者であるプロが実施する行為であることから、監査が実施されることで評価対象についての数字や結果について、恣意的な評価が除かれることとなります。
これは、監査が実施された企業とされていない企業を比較した場合に、監査が実施された企業の方が、利害関係者などから高い信頼を受けることが可能となります。

②リスク回避

監査から得られる効果はプラスのものは少ないといわれています。監査を実施することにより、企業として付加価値を発見できたり、大きな経営改善に繋がったりする可能性は低いです。しかし、マイナス作用を防ぐ効果は強いといわれています。
監査を実施することで、無駄な税金を納めるリスク回避や、資金ショートのリスク回避、労働環境における訴訟回避、コンプライス違反の回避など様々なリスクを未然に防ぐことが可能となります。
監査は、プラスの効果は薄いですが、それ以上に会社を経営していく上で重要なリスクや危機を事前に防ぐことができます。

意味のある監査とは?

 
監査を実施することで上記の様な効果が期待されるため、意味があるものといえます。
しかし、ただ単に監査を実施することが重要であるとは言えません。監査の中でも「巡回監査」が最も意味のある監査であるといわれています。
巡回監査は、一定の巡回期間において監査を実施することで、経営環境や労働環境の把握と、リスク回避を目的としています。

望ましいのは、毎月の巡回監査を実施することです。会社も人間と同じで、健康状態を常に把握しておかないと、気が付いた時には手遅れとなり、再起不能な状態に陥ったり、多額の治療費を要してしまったり、早く気がつけば良かった思うことが多いです。
不定期の監査の実施や年1回の監査の実施は意味のない監査といえますので、より実態を把握するために、毎月の巡回監査の実施をオススメします。

まとめ

監査は企業活動が適正に行われていることを証明するために大切なものです。一部の会社は会計監査を受けることが義務とされています。適切な監査をすることが企業の信頼性の証となります。

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