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取締役会、監査役の立場とは?欠席するとどうなる??

HUPRO 編集部
取締役会、監査役の立場とは?欠席するとどうなる??

「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)を取得すると、その会社の概要を把握できます。中でも「取締役会設置会社」という文言が会社の住所等の下の欄に記載されています。これは会社法の規定に則っているのですが、それと同時に「監査役」も設置したりしなかったりします。そこで、会社法を基準に「取締役会」と「監査役」について説明します。

会社法の規定にある「取締役会設置会社」とは

取締役で会議を開く会社、と言い換えられます。いつ開催されているのかというと、多くの場合は定時株主総会の後に開催されます。会議の参加者は、取締役の中から株主総会で選ばれた3名以上のメンバーで構成されています。取締役会とは、定時株主総会で決議された内容の執行にあたり、「するのか、しないのか」という判断をする会議です。
この「取締役会設置会社」とは、株式会社であれば必ず開設しておかなければいけないというものではありません。ただし、「譲渡制限なく株の売買ができる株式会社(公開会社)、監査役会設置会社、社外取締役を置きその人数が過半数以上を占める会社(指名委員会等設置会社)、社外取締役を含む3名以上の取締役が監査役会の代わりに活動している会社(監査当委員会設置会社)」の4つは取締役会を設置しなければなりません。
聞きなれない言葉が並んでいますが、一般的に日本に多い中小企業の場合は取締役会設置会社でないことがほとんどです。但し昔の会社法により設置された株式会社で資本金1,000万円以上の場合、取締役会を設置しなければならなかったため、今も残っていることがあります。

「監査役」の必要性の可否はどこにある?

取締役会設置会社の場合、監査役を必ず置かなければいけないという決まりがあります。逆を言えば、取締役会設置会社でなければ監査役を置く必要はありません。日本の多くの中小企業で、尚且つ最近起業したような法人であれば監査役を置く必要性がないため、登記簿謄本をみてもその記載はありません。
もし今の会社に監査役がいるのかどうかを調べたいという場合であれば、履歴事項全部証明書(謄本)を取得することで確認できます。現在誰がどのような役職についているのかも確認できます。
例外的に、取締役会設置会社であっても会計参与と呼ばれる計算書類だけを作成する会社を設置しているような場合は、監査役を設置する必要はありません。
このように必要に迫られて設置する、また会社法の規定上必要だから設置するといったケースがほとんどです。法人企業であれば、必ず置かなければいけないものかと問われればそうではありません。しかし会社法をよく読むと「絶対に要らない」と言っているわけではなく、設置できるのであれば設置する方がよいという解釈に至ります。

取締役会に監査役が欠席!それって大丈夫?

次に気になるのは、「取締役会に監査役が出席しなかった場合はどうなるか。」ということです。会社法では、監査役の出席が原則義務付けられています。定款でどのような定義がされているのか、資本金との関係もありますが多くの中小企業の場合はその監査役の権限が、会計に関するものだけに制限されている場合、このような場合は欠席しても問題はありません。先にも述べたように監査役は定時株主総会で決議された経営等に関する内容を、取締役会で意思決定する際に必要になるものです。定款に定めている監査役の役割が決算書に関するようなものだけであれば、監査役が欠席しても問題ないのです。これは会社法では「出席義務がない」という表現で記載されています。ただし、出席義務がないとはいえ出席しないことが当たり前ではありません。議事録に出席者や欠席者の事跡は残りますから、意図的にそういった行動をとることはよろしくないです。

解釈の違いに注意が必要

旧商法により作成された定款と、会社法により作成された定款には解釈の違いがあります。この時の定款の解釈の違いが、取締役会を設置しなければいけない会社かどうかの判断基準を迷わせることがあります。取締役設置会社についての文言が記載されていない旧商法の下作成された定款の場合は、その一文がなくとも「設置が必要」と解釈することも少なくありません。もし現在の会社法に照らし合わせてみて、当初の規定と現在の会社法で規定の差がある場合、定款を変更するといった方法も考えられます。

取締役会と監査役は密な関係

取締役会設置会社であれば、必ず監査役が必要になるということがわかりました。実際、法人税申告の際に提出する事業概況書には「監査役の有無」を記載する欄があります。「有」を選択すれば、必然的に取締役会が開催される必要がありその後の議事録作成などにも繋がってきます。「取締役会」という1つの会議の種類、「監査役」という1つの役職の種類と安易にとらえると、後々公開数ケースも発生しますから、この点は慎重に扱うようにしましょう。

この記事を書いたライター

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